↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/335

C6.appx6 星3の魔導師という人物 その3

― 星3の魔導師視点 ― 回想


それからどう魔法学院に戻ったのか、まるで覚えていない。

ありとあらゆる負の感情が洪水のように押し寄せ、心の形が変わっていく様だ。

私は今、どんな顔をしている・・・?


・・・

・・

・


三月程自室に引き籠った私はその間、何度も手紙を読み返した。

初めて読んだ時には気付かなかった日付は、私の帰る4年も前だった。

最初、こんな手紙だけを残した父は、本当は復讐を望んでいるのだと思った。

しかし真実を隠した場合、事実を人づてで知ったならば、私は間違いなく復讐しただろう。

間違いなく身の破滅を呼ぶ、何も成し得ない復讐を。

だから包み隠さず、それでいて復讐するな、と。


・・・

・・

・


更に三月過ぎ、ようやく私は心の整理を終えて教職に戻った。

私はそれなりに受けの良い講師だったらしく、半年もの間職務放棄していたのにも関わらず、何のお咎めも無かった。


仕事に戻ってみると幾人かの新顔が居て、そのうち一人とはとても気が合った。

口は乱暴だったが心優しい男で、まるで小姉の婿殿の様だった。


お互い専門は違ったが研究への熱意は本物で、酒を交わしながら良く論議したものだ。

親交をどんどん深めて3年もの付き合いとなっていた。


・・・

・・

・


「父は武力一辺倒な武人でね、俺の様な軟弱者は要らん!とさ。

 そのくせ度々帰省させるもんだから、学長の視線が痛い。」


「大変だね。」


「ああ、大変さ!

 兄も父に似ててね、俺は二人が大嫌いなのさ。」


「私は兄弟がいないから分からない悩みだね。」


「その方が良いさ!

 それにやつら女癖が悪くて反吐が出る。」


「はは・・・それは・・・確かに。」


嫌な思い出が蘇るのを必死に堪える。


「何が猛熊伯だ!ただの色ボケ爺さ!」


 ドクンッ


「・・・え?父上は・・・猛熊伯なの・・・か?」


「ああそうさ!

 最近のお気に入りは、兄がどこからか攫ってきて妾にした女でね。

 兄から無理やり奪って自分の女にしたんだ。」


 ドクンッ ドクンッ


「・・・・・・」


「屑の兄貴は・・・」


・・・

・・

・


その先の彼の話はよく覚えていない。

姪が受けているらしい屈辱を赤裸々に話していたように思う。

この日を境に、私は、また、自室に引き籠った。


・・・

・・

・


半年程過ぎた頃、部屋に手紙が差し込まれていたことに気付いた。

半ば無意識に手紙を開き、その内容に目を通す。




―友の手紙


やあ元気か?って、それはどうでも良いか。

何故って?お前は俺の事を友か何かだと思っていたんだろう?

残念、俺はお前を利用するつもりで近付いたのさ!


お前があの女の叔父である事は調べがついていた。

そこでお前と仲良くなるふりをして、お前が激情に駆られる言葉を選んでやったのに。

結果はこれだ・・・この腑抜けめ。


俺はお前をクーデターの手駒に加えるつもりだったが、その体たらくじゃ無理だな。


俺は親父と兄貴を殺す。

そして伯爵位を我が物とする。


                             落胆させられた者より




・・・

・・

・


この先もよく覚えていない。

学院長に辞意を述べて飛び出し、人目につかない山奥に居を構えたことだけは覚えている。


そして命を削るような禁呪・外法お構いなしに使って、召喚魔導の研究に没頭した。


・・・いや・・・逃げたんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。