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C0.6 事の発端 ― 6 ― 誘い

ここまでが導入編です

気付くと、どこか暗い森の中に私達は居た。

達、というのは老魔術師も一緒だったからだ。

とすればこの魔法、いや魔術を行使したのはこの老魔術師か?


「・・・いやはや・・・これ程までに自分の才能の無さに絶望させられるとは。

 今までも自分を騙し騙しやってきたと言うのに・・・。」


「・・・」


「わしなりに状況を察したつもりなんだが、あの場より遠くへ逃げる、正解かね?」


「・・・」


「高度な魔導を創造する何かを手にした、かつ、それは幾つかあり、他の者達と対峙する可能性がある、正解かね?」


「・・・」


「・・・ふう・・・お前さん、それは一人でやるには余りに大事過ぎると思わんかね?」


「だとしてご老体に何の関係がある?

 今まで私に殺されかけていた御仁が、私に何を言いたいのか?」


手早く治療を済ませ、してやられたことへの苛立ちをそのこととは無関係の老人に向ける。


「わしと契約を結ぶ気は無いかね?」


契約・・・?


「契約・・・?何のだ。」


「わしは元々誘いを受けていたのだ。

 魔族へと転生し、魔王として君臨しないか、とね。

 わしの方も人間が嫌いで嫌いで仕方なかったので、ある意味自分にお似合いだと思っていた。

 しかしまぁ、わしは余りにも器が小さくてな・・・扱えるマナの量が少な過ぎる。

 転生でそれを補うつもりでおったのだが、わしの扱える範囲の技量では効果が薄かろうから、時間をかけて特殊な転生を用意していたのだ。

 だが、あんたは知識や技術はもとより、マナの量も扱える技術も極めて高い。

 ・・・わしの代わりに魔王となる気は無いかね?」


「・・・魔王。」


「魔王となれば、眷族を作り、配下の者を用いて他の魔導師を探すのも易かろう?」


「歴史上、何度も現れては消える魔王・・・か。」


「弱かっただけの者や、文字通り消えてしまった魔王は考えんで良い。

 お前さんが魔王となったなら、未来永劫続く力や権力、そして王国を手にすれば良いだけだろう?

 わしはその可能性が十分にあるとみておるよ。」


「・・・」


魔王・・・魔王か。

魔王にも幾つか種類がある。


伝承の中で語られるだけの魔王・・・これについての強さは、圧倒的らしいが不明としか言いようが無い。


魔族の中でもっとも強い物が魔王となる場合、当然強い者がなるのである程度の力がある。


魔王の血族が魔王を継承する場合、これは力が一定せず、強かったり弱かったりする。


魔導師が人の限界を超えたマナを扱うようになり、かつそのマナで魔族を統べる場合。


・・・私が魔王となるのなら最後の場合か。

悪くない誘いだ・・・が、


「何故命を狙ってきた相手に手を差し伸べる?」


「命だと?最初からそんな物を狙っておらなんだだろう?

 わしの取って置きの魔術を行使しようとした瞬間、お前さんは目を輝かせおった。

 何かをしようとしていたのは明らかだったが、わしには結局量り知ることさえ出来なんだ。

 だからわしは見てみたくなったのだ、そんなお前さんの行く先を。」


そうして色々話しているうちに、結局乗せられる形で魔王になることを決めたのだった。

口のうまい爺さんだ。

性格に難があるという噂は何だったんだろう?


私も私で誘いに乗ったのは少し単純すぎたかな・・・。


次からあらすじ(C1.0)挟んで、魔王始めます(C1.1)

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