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美少女(攻略対象)まみれのハーレム・スターウォーズ!!  作者: 呑竜
「第3部第1章:俺とジーンと目覚めの儀式!!」

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「吸い込み纏う!!」

 ~~~新堂助しんどうたすく~~~




 いそいそとパイロットスーツを着込んでいると、外から鋭い悲鳴が聞こえてきた。


「……ジーン!? いったい何が!?」


 はっとして立ち上がった。


(……おや、気づいてなかったのか?)

 アデルが呆れたような声を出した。

(こんな危険なところに寝泊まりして、なんとも気丈なことよと思っておったのだが、まさかただの間抜けだったとはな……)


「……どういうことだ? アデル」


(娘が夜ごと読んでいた例の書物によるならば、水場はオウカンサソリの群生地だ。小さいが好戦的な奴らでな。馬や牛ぐらいの生き物なら、毒針で刺して動きを止めて、瞬く間に平らげてしまう)


「そ……っ?」

 慌ててジーンの残していったホルスターを引っ掴んだ。

「それを早く言えよおおおおー!」


(だって聞かれなかったもの)

「そりゃそうだけどさあー!」


 口論していてもしょうがない、俺は全速力で外に駆け出した。


「ジーン! ジーン!」


 ジーンの声がしたほう──池のほとりへと続く緩い斜面を駆け下った。

 

 途中、何匹かのサソリを見かけた。

 扁平へんぺいな体の、赤黒いサソリだった。

 アデルいうところのオウカンサソリなのだろうそいつらは、俺に気がつくと、毒針とハサミで威嚇してきた。


「邪魔くせえ! どけよ! おまえらなんかに関わってる暇はねえんだよ!」


 構わずに群れの間を駆け抜けた。

 2、3匹が飛びついて来た。


「うおおっ! 危ねえええっ!?」


 なんとか躱したが、予想以上に俊敏な動きをしてくるのに肝を冷やした。


 このどこかにジーンがいるのかと思うとぞっとした。

 ジーン、俺のジーン。

 冒険の仲間、子犬みたいに可愛い妹。

 あいつが泣いて、俺に救いを求めてる。


「ジーン! どこだ! 声を出せええええええ!」


 大声を上げたが、答えは返ってこなかった。

 俺の声に反応して、オウカンサソリが集まってきただけだった。


「くそっ! 俺はバカだ! こんな見知らぬ土地で、真夜中に! 女の子をひとりで歩かせるなんて!」


(そうだな、大バカだ。ほんに救いがない。死ねばよいのに) 


「フォローとか全然ないんすかー!?」


 死体蹴りやめてください!


(……いまだに気づかぬあたりがとくに、な)


「……ん?」

 アデルの言い回しが引っかかった。

「どういうことだ?」


 ふん、とアデルは腹立たし気に息を吐いた。


(のう、ぬしはなんのために娘と儀式を行い、なんのために我をその身に宿したのだ?)


「それはもちろんエーテルを……」


 あ。


「……エーテルを使えってこと?」


(ようやくわかったか。のう、ぬしよ。我を誰だと思っておる。生命の精霊姫、マーテル・アデルだぞ? 愚かな人間どもと共に生き、道を指し示すのが役割だ)


 さりげに姫キャラタグをつけやがったなこいつ……。


「ど……どうやったらいいんだよ? 俺いままで、エーテルなんて感じたことないんだけど……っ」


 アデルはハアとため息をついた。


(感じたことがないだと? たわけめ、ぬしはずっと感じておったはずだ。むしろぬしがエーテルそのものとなり、戦ってきたはずだ。我には見えるぞ、ぬしの記憶が。白き娘と合一化した時のあり様が)


 俺の記憶が見えるのか、さすが生命の精霊。


「……シロとの時のことを言ってんのか? あの合一化を?」


(そうだ。白き娘に合わさる時にな、ぬしは一瞬、エーテルそのものに分解されているのだ。分解した上で合わさっているのだ)


「俺が……エーテルそのものになってた……?」


 何度か考えたことがある。

 シロと合一化している時、俺の体はどうなっているのか。

 魂だけが抜けているのだとしたら体はどこかにあるはずなのだが、そんな痕跡は一度もなかった。


 たしかにそれなら説明がつく。

 細胞どころか霊体レベルまで分解された俺は、シロと合一化し、その後再構築されることで元の状態に戻っていたのだ。


(その時の感覚を思い出せばよいのだ。さ、ぬしよ。まずは目を閉じ、心を静めよ)


「簡単に言ってくれるぜ。この状況で心を落ち着けて目を閉じろ?」


 俺の声に反応したオウカンサソリが十数匹、うじゃうじゃとこちらに向かってきてる。


(怖くて目なんて閉じれぬか? 毒サソリの大群にビビったか?)


 煽り口調でアデル。


「……ばぁーか言え、誰がビビるかよ」


 俺は言われた通り目を閉じた。

 肩幅に足を開き、軽く膝を曲げた。

 両手を体側たいそくにだらりと下げた。

 全身から力を抜き、自然体で立った。


 お袋から一番最初に教わったこと。

 それは殴り方でも蹴り方でもない。

 立ち方だ。

 足や手の置きどころ、胸の反らし具合、気持ちの持ち様、呼吸法──それがすべての基本だ。


 ピンと、体の中に一本の芯が通った。

 呼吸が楽になり、気持ちが落ち着いた。

 緊急事態なのに、これ以上なく気持ちが澄んだ。


(……目に力をこめよ、その状態で光が見えるか?)


 目に意識を集中すると、ほわほわ青い光の玉が浮かんでいるのが見えた。


「……見える」


(数は?)


「10か20か……」


(それがエーテルだ。イメージしろ。それらを吸い込み、総身にまとえ)


「……わかった」


 吸い込み、纏う。

 アデルの言い方は武術に似てる。

 気の扱いの説明に近い。


 空気と共に光を吸い込み、臍下丹田せいかたんでんへ降ろした。気を乗せ、経絡を通して全身へ送り出した。

 足の裏、膝、腰、背中、肩から手の先、頸椎を通って眉間と頭頂へ。

 

 全身がじんわりと温かくなった。

 

(……目を開けよ、何が見える?)


 言われた通りに目を開いた。

 迫りくるオウカンサソリ、草木に花、それらすべてが光を宿していた。

 それぞれ色も輝き方も違った。オウカンサソリは赤黒くもやもやしてて、草木は黄緑色でふわふわしてた。

 俺の全身は、海中を思わせるようなゆらゆらした青を帯びていた。


「みんな色が違うんだな……」


(……よし、見えるようだな。光はエーテルであり、生命力そのものでもある。色の違いは個々の特徴を表している)


「……ん? あれは……」


 木々の向こう、赤黒い光が大量に集まっている場所がある。

 取り囲まれるようにして、小さな金色の光があった。

 金色、ジーンの髪の色──


「ジーン!」


 俺は全力で走った。

 走りながら大声を出した。


「おいおまえら! 俺の方が美味いぞ!? ジーンより肉はついてるし、地球産のITっていう血統書付きだ!」


 俺の声と動きに反応して、さらに何匹かがこっちに向かって来た。

 いいぞ、そのままみんな来い。


(……ぬしよ、体を張るのはいいが、奴らの狙いを引きつけた上でどうするか、その算段はあるのか?)


「引きつけて水中に飛び込む!」


(奴らは水中にいても追ってくるぞ? 泥の中に潜んでいたりもするしな)


「じゃあ木の上に登る!」


(あの外見で木登り出来んと思うか?)


「引きつけて、全速力でちぎって逃げる!」


(それで済む数であればいいがな……)


「おおーい!? わざわざ怖い言い方すんじゃねえよ!」


 たしかにあの赤黒い光の数は尋常じゃねえけども。


(いやなにな……このオアシス……そこそこの大きさであろう? キャラバンの立ち寄り地になってもおかしくない。にも関わらず集落のひとつもない)


「つまりどういうことだってばよ!?」


(……簡単じゃ。ここは人が棲める場所ではない)


 アデルの恐ろしいつぶやきと同時に、俺はジーンを発見した。

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