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美少女(攻略対象)まみれのハーレム・スターウォーズ!!  作者: 呑竜
「第3部第1章:俺とジーンと目覚めの儀式!!」

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「Knockin' on heaven's door!?」

 ~~~ジーン~~~




 目を開けると、船内には闇が満ちていた。


 計器類やモニタの放つ光だけが、わずかに闇を薄めている。

 青、緑、黄色。中でも一番激しい輝度を示したのが赤だった。

 何度もまたたいていた。耳障りなアラートを伴い、危険シグナルを発していた。


(危険……何が……?)


 ジーンは床に横たわっていた。

 全身に力が入らない。

 どこかにぶつけたのか、体の節々が痛い。

 痣くらいはできているかもしれないが、骨を折ったり血が出たりというような感じはない。

 

(あれ……なんで……なにが……?)


 自分の置かれている状況が理解できない。

 思い出そうとしてみるが、頭に薄い膜がかかったようで、うまくイメージを結べない。


(えっと……あのあと、船が次元の穴に飛び込んで……)


 次元渡りの際に発生した衝撃波が船を襲った。

 反重力スクリーンを展開出来なかった船は、もろにダメージを受けた。

 ジーン自身も上下左右へ激しく揺さぶられた。


(……見たことのない空に出たんだ。下には広大な大地が拡がってて……それが一瞬だけ見えて……。あとは船が……不時着して……あれ? なんでボクは、この程度で済んでるんだろ……?)


 ふと気がついた。

 ジーンが横たわっていたのは床ではなかった。柔らかい何かの上だった。

 といって、シートでもない。

 じゃあなんだろう。

 コックピットに、他に柔らかいものがあったような覚えはない。


(なんだろ、これ……?)


 適当に手が触れたところをいじってみた。

 ぐにぐにしてる部分とさらさらしてる部分があった。全体的に丸く、凹凸があった。

 熱かった、高い熱を発していた。


 暗闇に目が慣れてきた。

 その物体に、ジーンは覚えがあった。

 ふわふわ明るい茶色の髪と、きらきら好奇心に満ちた黒い双眸。

 ジーンと同じ夢を語る、色の薄い唇。

 赤いパイロットスーツを着た少年──


「……タスク?」


 掠れる声で、ジーンはタスクの名を呼んだ。


「ねえ、タスク? 大丈夫? ねえ、なんでボクの下に……え……ボクを守って……っ?」


 何度も呼びかけるが、タスクは反応を示さない。

 ぺたぺた頬を触ると、驚くほどに熱い。


「熱っ……? なんでこんなに……!? なんで……!?」


 ようやくジーンは思い出した。

 あの時、精霊銃エレメンタル・ガンプの生んだ気流で吹き飛ばされたジーンを、タスクは自分の体を盾にすることで守ってくれた。

 大佐との戦いでさんざんに痛めていた体を、さらに様々な硬いものにぶつけながら、でもジーンを放そうとはしなかった。


「タスク!? ねえ、タスク!?」


 返事はない。

 呼吸をしてはいるが、浅く早い。


「起きて! ねえ、起きてよタスク!」


 パニックに陥ったジーンはどうしていいかわからず、とにかく起こそうとタスクの体を揺すった。

 

「どうしたらいい!? どうしたらいいの!?」


 背後でバタンと扉が開く音がした。


「おいジーン、やめろ、それ以上動かすんじゃねえ」


 ガドックだった。

 配電盤を操作してコックピットの明かりをつけると、ふたりのところへやって来た。

 

「……全身打撲に裂傷、手の皮の剥離……。骨折……はしてねえみてえだな。丈夫な奴だ」


 ジーンをどかしてタスクの傍に座ると、ガドックは素早く容態をたしかめた。


「おいジーン。こいつ、頭は打ったか?」


「わかんない……タスクがボクの頭を抱きしめてくれたから……」


「ちっ……どこまでもどこまでもな奴だな……ったく」


 舌打ちすると、ガドックはジーンに指示を出した。


「ここじゃ何もできねえ。とにかく医務室に連れてくぞ。おいジーン、手伝え。肩貸せ」


「う、うん……っ」


 タスクの体を起こし、ふたりで支えた。


「ちなみにこれから治療を行うわけだが、処置はおまえに任せるからな? オレの腕はほれ、このとおりだ。一時的なもんだろうが、麻痺しちまってて動かねえ」


 言われてみれば、ガドックは片腕をだらりとぶら下げている。


「なるほど、片手じゃ治療は出来ないから……って、えええぇ!? ボクがやるのぉお!?」


 驚きのあまり理解の遅れたジーン。


「他に誰がいるんだよ。大丈夫だ、オレが全部指示してやる」


「だ、だけどボク……っ。そんなの一度もやったこと……っ」


 そわそわと落ち着かなげなジーンに、ガドックは鋭い目を向けた。


「こいつが死んでもいいのか?」


「し……死ぬっ!?」


 ジーンはひっと息を呑んだ。


「いいのか?」

「や、やだよそんなのっ」


 ガドックが重ねて聞くと、ジーンは必死な面持ちで答えた。


「タスクが死ぬなんてやだ! 絶対やだ!」


 うううう……、と犬のように唸った。


「わかったよ! 絶対タスクを死なせない! このボクが! この腕で! しっかりきっちり治してみせる!」


 ぶんぶんと意味もなく片腕を振り回している。


「……あれ、ちと薬が効きすぎたか?」


 ガドックは首を傾げた。


「なあジーン。やる気を出してくれたのはありがてえんだけどよ。そこまで気合入れなくていいからな? 治療ってのは気合でするもんじゃねえから。むしろ感情とかは邪魔だから」


「大丈夫! 任せて! わかってるから!」


 鼻息荒いジーンの目は、必要以上にギラギラと輝いている。


「このボクが! 機械のような正確さと氷のように冷静なハートで! タスクの傷を治してみせるから!」


「……ああうん、全然わかってねえなおまえ」


 ガドックはハアとため息をこぼした。


「思い込みが激しいっつうか……そりゃあんだけ暗示にかかりやすいのも納得だわ」


「うおおおおおー! そうとなったら早く行こう! ほらガドック、気合入れて足を踏み出して!」


「気合いはいいんだが、おまえこいつが病人ってこと忘れてねえよな?」


「忘れてないよ! バッチリ理解してるよ! ほらほら早く! 医務室までもうちょっとだよ!?」


「……なあ船長、ドアの先が医務室でなくあの世だったとしても、恨むなよ?」


 ガドックは意識のないタスクに、哀れむような目を向けた。


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