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美少女(攻略対象)まみれのハーレム・スターウォーズ!!  作者: 呑竜
「第2部第2章:宇宙港の決斗!!」

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「存在を規定する!!」

 ~~~新堂助しんどうたすく~~~




 外で大きな音がした。

 重量のある何かが壊れ、吹っ飛んだような音だった。

 緊急事態を告げるサイレンがけたたましく鳴り響き、宇宙港中に危険を知らせた。


 ジャンゴへの旅のナイスプランをガドックとジーンに語って聞かせていた俺は、話を中断して慌ててメインコンソールに走り寄った。


「今の音……なんだ?」


 モニタを操作して、外部の様子を探った。


「おいおい、こいつは……」


 ガドックが隣に来て、同じようにモニタを覗き込んだ。


「タスク! あれって……!?」


 ジーンが悲鳴のような声を上げた。


 宇宙港の出入り口であるゲートの鉄扉が破壊され、装甲車が3台突入して来ていた。

 2台がゲート付近で停車し、完全武装の兵士をわらわらと吐き出した。

 兵士たちはただちに散開すると、SMGタイプの光線銃ライトニングを連射しながら周辺を制圧していく。

 まず歩哨が倒され、ゲートの脇に控えていた装甲車が、3本の対戦車ミサイルのつるべ打ちで破壊された。

 その頃になって、ようやくガードの詰め所であるガードタワーからも反撃が行われ始めたのだが……。


「……ダメだ。負けそう」

「戦争? え、ホントに? 本気で?」


 ジーンが怯えたように俺の腕に抱き付いてきた。

 胸の感触……を楽しんでる暇は今はない。


「ガードが応戦してるが……こりゃ時間の問題だな」


 ガドックが渋い顔で戦況を分析する。


「拠点はモデストタワーにあるはずだから……増援が集結するまで20分強ってとこか……」


 そんなかかるんすか。

 まあ広いからな、宇宙港……。


「なあ、どういうことだよガドック? ケルンピアってこんな治安悪いとこなの?」


「辺境星ならままあることだがな……まさか首都星でこんな……ちっ、しかもこいつら、『大佐』の『亡霊部隊』だ」


「大佐? 亡霊部隊?」


「簡単に言やあテロリストだな。辺境で海賊なんかを取り締まってた奴らが取り締まられる側に回ったんだ」


「ひぇぇ……ってなんかこっちに来てるんですけど!?」


 1台、まっすぐこちらに向かって来た。

 停泊中の他の宇宙船には目もくれず、滑走路のただ中を突っ切ってくる。


「おいおい、狙いはこの船か? 危ねえ危ねえとは思ってたが、まさかこんな連中が出張でばってくるほどとはな……」


ガドックはやれやれと腕組みした。


「おいガドック。危ないってどういうことだよ? 俺らがなにかしたってのか? なんでテロの標的なんかになっちまうんだ?」


「……あえて言うなら存在そのものだろ。ゲートを介さない次元渡りなんて宣伝されて、挙げ句それを全世界的に売りに出されて。門の一族からすりゃ、ショバ荒らしにもほどがあるだろ。どだい放っておけるわけねえじゃねえか」


「……! じゃああいつらは門の一族の?」


「とも限らんがな。利害関係からいえば、正直どんな可能性だって考えられる。ゲートのおかげでおまんま食ってる奴らも、それを目の仇にしてる奴らもごまんといるからな」


 ガドックは肩を竦めた。


「ウソ……ホントに? ホントにこの船が狙われてるの? ホントに?」 


 ジーンは真っ青になって俺にすがりついてくる。


「どうするの? ねえどうするの、タスク?」


 うるうると潤んだ瞳で俺を見つめる。


「ジーン……?」


 ガツンと頭を殴られたような気になった。

 そうだ、冒険者志望とはいえ、ジーンはまだ14歳の女の子なんだ。

 

 足は細く、腕は華奢。

 修羅場をくぐった経験なんてあるわけもない。

 心身ともに、戦う準備が出来ていない。


 だから俺が守るべきなのだ。

 強くなるべく育てられたこの俺が。


「……よし、任せろ相棒」


 ガシリと、ジーンの頭を掴んだ。

 そのままグシャグシャと髪をかき乱した。


「え、え、なんで? どうして?」


 混乱するジーン。

 俺の手を振り払おうとするが、俺は強引にグシャグシャし続ける。


「なんでぇー……?」


 がくんがくんと頭を揺らされてヘロヘロになったジーンの耳元に口を寄せると、俺は優しく囁いた。


「いいか? よく聞くんだ、妹よ」


「え、え、誰が妹?」


「おまえだよおまえ。おまえが妹。俺がお兄ちゃん。冒険者としての兄貴分」


「タスクがお兄ちゃん? ボクが妹? う、ううー……?」


 目をぐるぐるさせているジーンの頭に染み込むように、ゆっくりと語り聞かせる。


「お兄ちゃんが今から見せてやる。戦い方ってやつを。理不尽な暴力に晒された時にどうすればいいかを。だから目をかっぴらいてしっかり見とけ。そして絶対、忘れるな」


「お兄ちゃんの戦い方を見守る? う、ううー……わかった……わかったよぅー……」


「よーし、いいコだ、ジーン」

 

 最後に肩を叩いて、施術は終わった。


  

「……へえ、あれだけでずいぶん落ち着いたもんだな。たしかに泣き騒がれるよりゃよっぽどいい」


 ジーンの処置を終えてガドックのところにいくと、感心したような顔で迎えられた。


「新手のショック療法か? それとも催眠術の類か?」


「そんな大げさなもんじゃねえよ、あいつの存在を規定してやっただけだ」


「……存在を規定した?」


「こういう混乱した状況で一番恐いのはさ、何をしたらいいかわかんなくなることなんだ。逆に、自分がどこの何者で、今何をするべきかが解ってさえいれば、案外と恐くないもんなんだ」


「だからおまえが兄貴で、あいつが妹?」


「そうさ。兄貴から目を離さない、今あいつがするべきはそれだけだ。そこにしがみついてさえいりゃ、あとはそれほど大崩れしねえよ」


 ガドックは腕組みして唸った。


「なるほどね……奇妙なやり口だが、理にはかなってるな。誰の仕込みだ? おまえの師匠か?」


「ああ……たぶんな」


「たぶん?」


 自分の手をじっと見つめた。

 この手がまだ小さかった頃の話だ。

 ITである俺は、様々な敵に狙われていた。

 ……はずだ。


「……あんまり覚えてはいねえんだ。正直、昔のことすぎてさ。だからたぶんとしか言いようがねえ。だけど俺はこうして救われた。こんなことを繰り返して強くなってきた。ぼんやりとだけど、そんな気がするんだ」


 最近、いろんなことが立て続いた。

 シロと出会って、『嫁Tueee.net』を戦って、ついにはケルンピアまでやって来た。

 様々な出来事の中で、俺は徐々にあの頃のことを思い出しつつある。

 封印されていた記憶の蓋が開きつつある。

 中にどんな記憶が詰まってるのかはわからねえが、いずれにしろ……。

 

 開いた手を、ぎゅっと握った。


「どうあれ、俺は強くなくちゃいけねえんだ。今は兄貴として、妹を守らなけりゃいけねえんだ。テロだろうがなんだろうが知ったことかよ」


「意気込みはけっこうだがな、ボウヤよ、今回の相手は半端じゃねえぞ?」


「大佐の亡霊部隊」


「最低最悪のテロリストだぞ?」


「面白えじゃねえか、上等だよ」


「面白い……か、誇大妄想のバカか、はたまた本物の大英雄か」


 ガドックは肩を竦めた。


「乗りかかった船が泥船じゃないことを祈るぜ? 船長」

 

「お、いいねその響き。船長、たしかにその通りだ」


 所持してるのはコクリコ。

 契約主体はシロ。

 だけど船長は俺だ。

 船の舵を取り、乗組員の女の子たちの安全を守り、等しく幸せにしてやる義務がある。


 ガリオン号の船長。

 女の子たちの庇護者。

 ジーンの兄貴。


 3つの言葉が俺を規定する。 

 胸の奥から、カーッと熱いものを呼び起こす。

 熱情がメラメラと燃え盛り、四肢に力をみなぎらせる。



「つーことでガドック」


 俺は鷲頭人グリファのベテラン船乗りの背中を平手で叩いた。


「テロリスト退治に力を貸せよ」


「……力を貸すのはいいけどよ、船長」


「いいけど、なんだ?」 


「あれ……大丈夫か?」

 

 ガドックはジーンを指さした。


「ボクは妹、タスクがお兄ちゃん、ボクは妹、タスクがお兄ちゃん……そうか……そうだったのか……っ」


 ジーンはこの世の真理に気づいた、みたいな愕然とした表情でつぶやいている。


「ボクは妹なんだ。お兄ちゃんの戦い方を見るんだ。かっ開いて見る、かっ開いて見る……」


 センターに入れてスイッチ、みたいに言わないように。


「かっ開いて……見るっ」


 ジーンは顔を上げ、限界ぎりぎりまで開いた目で俺を見た。


「うわ、こわっ……」


 そういやジーンって、ムーとかに載ってそうなトンデモ話を信じちゃう系の、思い込みの激しいコだったんだよな……。

 ってかもしかして……これってひょっとして……。

 

「かかりすぎた……とか……?」


 とある想像に、俺は戦慄した。

 

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