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美少女(攻略対象)まみれのハーレム・スターウォーズ!!  作者: 呑竜
「第2部第2章:宇宙港の決斗!!」

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「ワイルド・ガールズ!!」

 ~~~御子神蛍みこがみほたる~~~




 スキンヘッドのデブが両手を拡げ、正面から威圧してくる。

 金髪モヒカンとライオンへアが左に、偏向グラスとトウモロコシヘッドが右に広がった。

 私を半包囲しようというのだろう。

 

 武器に関しては、スキンヘッドが素手、金髪モヒカンがチェーン、ライオンヘアが電磁警棒スタンロッド、偏向グラスが光線銃ライトニング、トウモロコシヘッドがナイフ。


 チェーンとナイフはともかく、電磁警棒や光線銃はやりづらい相手だ。

 電磁警棒は竹刀を打ち合わせた瞬間に電流を流されるし、光線銃はいわずもがなの飛び道具。


 ──と、考えるだろう。

 普通ならば。

 だがあいにくと、私は普通ではなかった。


「よおー、おっぱいのでっかいおねーちゃん。そんな棒きれ捨てて、オレたちと遊ばない?」

「そーそー、こっちにゃ光線銃まであるんだからさ、おねーちゃんに勝ち目はないぜ?」

「痛いのよりは、気持ちいいのがいーでしょ?」

「お、おではあっちのコのほうがいいんだな……」

「デンゴローにはあとでいい思いさせてやるからよ。いまはちっと我慢してな」


 果たして、男たちは余裕しゃくしゃくで近寄ってきた。


「……」


 私は改めて竹刀を握り直した。

 すうー……っと、息を深く吸い込んだ。

 脇を絞った。双眸を強く引き絞った。  

 雑念が消えた。

 頭の中にいくつもの、理想の剣線が浮かび上がった。

 

「どしたん? おねーちゃん、黙りこくっちゃって」

「怖くて喋れなくなっちゃった?」

「やん、かわいーっ」


 いかにも緩んだ表情をした男たちが、私の間合いに無造作に踏み込んだ。


 瞬間──


「キェェェアァァァアー!」


 気合一声、突っかけた。

 緩みきっていた男たちは、反応すら出来なかった。


 偏向グラスの小手を打ち、そのまま剣先を持ち上げ、下から顎を打ち上げた。

 光線銃が地面に落ち、偏向グラスは後ろへのけぞり、そのまま倒れた。


「な……っ!?」

「なんだなんだ!?」


 続けてトモウロコシヘッド。 

 両手にナイフを持ったまま棒立ちになっている。

 構わず、物打ちで思い切り横面よこめんを打った。

 ゴギリという音とともに、横倒しに地面に倒れた。


 ふたり目を倒したところで、ようやく衝撃から立ち直った男たちが動き出した。


 ライオンヘアが電磁警棒を振り上げ、正面から振り下ろしてきた。

 金髪モヒカンがチェーンを振り回し、外側から私の足を狙ってきた。

 普段からコンビで動いているのだろうか、タイミングの合ったいい攻撃だ。

 だが──


「秘伝、鳴神なるかみ──」


 残像を残すほどの速度で私は移動し、ふたりの背後に回った。


「……え」

「なぬ……っ?」


 私の姿を見失ったふたりの後頭部を、容赦なく打ち据えた。


「お、おおおおおあー!」


 デブ──デンゴローが奇声を上げながら革のツナギの前をはだけた。

 何かと思えば、電極が無数についた黒いベストを着こんでいた。

 

百万遍ワンミリオン──」

 バヂバヂバヂッ、電極の間を幾筋もの電流が流れた。

 そのまま、巨体に似合わぬ敏捷さで突っ込んできた。

大抱擁ベアハッグ!」

 抱きしめて締め上げるというだけの、シンプルな攻撃。 

 体つきからいってもそれだけで相当なダメージだろうし、電流のおまけまでついてくる。


 だがしかし──


「愚か者め……っ」


 デンゴローの腕に捕まる寸前、私は地面を蹴って上へ跳んだ。

 多元世界人の血を引く私だからこそ出来る、10メートルの垂直跳び。


「私を抱きしめる資格があるのは、この世でただひとり……」


 空中でくるり回転すると、ぽかーんとして私を見上げるデンゴローの額に、落下の勢いを乗せた物打ちを叩きつけた。

 メゴッといい感触がした。


「旦那様だけだ──」


 着地と同時に、デンゴローの巨体はズシャアと地面に倒れた。




「……へえ、こいつは驚いた。アンタまさかのエーテル使いかい」


 バギーの上で双眼鏡を覗いていた女が、目を丸くしてこちらを見ていた。


「にしても、バカどもとはいえランキングじゃ300位ぐらいはある奴らだぜ? それを一瞬かい。ん……待てよ? あんた見たことあるねえ……たしか最近下位中位をぶっ倒しまくってるって噂の新人……」


「ふん」

 私は胸を張った。

「そうだ。私こそがその……」


 女は私をズビシィッと指差してきた。


「『漆黒の稲妻』とかいう恥ずかしい名前の奴!」


「なっ………………!!!?」


 衝撃が、私の体を縫い止めた。

 

「いやあー、初めて聞いた時はぶったまげたぜ。たしかにどんな名前にしてもいいルールだけどさ、普通はもっとまともなのをつけるもんだぜ? だって考えてもみなよ。ランキング上位に乗れば、公式の雑誌やテレビ番組なんかにも名前が出て、顔出しがあって、ポスターや応援グッズだって作られるんだ。当然ファンだってつく。ファンクラブだって組織される。そいつらが口を揃えて言うわけだ。いやあー、今日の漆黒の稲妻は輝いてたね。稲妻みたいに動きのキレがよかった。さすが漆黒の稲妻。さす稲さす稲」


 プークスクス、女は耐えかねたように噴き出した。


「いやーホントにない。ホントにないわー。聞いた話じゃ、異国のお菓子でブラックサンダーってのがあるんだってね。サクサク甘~い漆黒の稲妻」

「やめろ……」

「自分ではかっこいいって思ってつけたんだろ? それがまた痛々しさを上乗せするっていうか。なんだろな、他人の黒歴史ノートの内容を聞かされてる気分だよ」

「笑うな……」

「ごめんごめん、笑って悪かったよ漆黒の稲妻。漆黒の稲妻にだって生きる資格はあるのにな。ミミズだってオケラだって漆黒の稲妻だってな」

「わ・ら・う・なああああー!」


 軸足のつま先すれすれのところに、レーザーを撃ち込まれた。

 踏み込もうとした機先を制された。

 

「──おおっと、それ以上近づくんじゃないよ」


 これ以上ないドヤ顔をした女が、光線銃の銃口をこちらに向けていた。

 腰のポッケから抜きざまの一発。

 対面していてすらいつ抜いたのか見えないような、恐るべき早業だ。


剣士ソードマン……いや女剣士ソードメイデンとは珍しい能力スキルタイプだが、今夜ばかりは相手が悪かったな新人ルーキー

「なんだと……?」

「あたいの名はキーラ・バルバロ。ランキングは3位だ。聞いたことあるだろ? そうさ、あたいがあの『パーフェクト・ビューティ』だ」

「え?」

「だから言ったろ。キーラ・バルバロ」

「いやそこじゃない」

「ランキング3位……」

「もっと先」

「パーフェクト・ビューティ?」

「パ……」


 私はたまらず噴き出した。


「パーフェクト・ビューティィィィイ? 自分で言う? 自分で言っちゃう? 完璧な美しさだって? どれだけ自信過剰なんだ貴様は?」


 キーラは鼻白んだ。


「な、なんだっていうのさ。あたいは現に綺麗だろうが……」

「ああー? そうだなあ、綺麗だよなあ。人並みには(・ ・ ・ ・ ・)な?」

「はあああ!?」

「生憎だが、私は貴様より綺麗な人間を何人も見知ってるのだ。それでなくともケルンピアは1億5千万人都市なのだろう? 自分より綺麗な人間がひとりもいないと思ったか?」

「そ、それはまあ……そう言われると……」

「ほら見ろ! ほら見ろ! ほら見ろ! 全っ然完璧じゃないじゃないか! 井の中の蛙が竜を気取ってるだけじゃないか! 人並みの女が悲しい見栄を張ってるだけじゃないか!」

「だ、だってみんなは……」

「はああー!? 周りに言われてその気になっちゃったのか!? 『あたいは美人なんだ、完璧なんだ』って!? お生憎様! そんなの社交辞令だよ! 関係性で仕方なく言わされてるだけだ! そんなこともわからなかったのか!? その歳になるまで!? おめでたいなあ! パ・ア・フェ・ク・ト・ビュ・ウ・ティ・イ!?」

「う……う……う……っ」


 キーラは肩を震わせ、顔を真っ赤にして叫んだ。


「うるさいうるさいうるさい! あたいは本当に綺麗なんだもん! 美人で、スタイルもよくて完璧だって、みんながそう言ってくれるもん! あんたの目が腐ってるだけだもん! 漆黒の稲妻のくせにわかった風な口をきかないでよ!」

「はあああ!?」

「恥ずかしさで言ったらあんたのが上だよ! お菓子と同じ名前の漆黒の稲妻! それが最高にイカしてると思った痛い女! バカ女! やーい、漆黒の稲妻! やーいやーい!」

「お、お、おおおのれええええええー!」


 私は竹刀を構えてにじり寄った。


「おお!? やんのか!?」

「おうとも! やってやる! その完璧な肉体かっこ笑いを、見るも無残な肉塊に変えてやる! ふた目と見られぬ顔立ちにしてやる!」

「や……やめろよ! そんなのダメだよ! 顔とかはとくにダメだから! ダメだからな!?」

「なあ、あんたたち……」


 いつの間にか、小山が近寄って来ていた。


「盛り上がってるとこ、悪いんだけどさ……」


 あれあれ、と宇宙港のほうを指さした。


「ゲート……突破されてるんだけど……。なんか、テロ……みたいな?」


 私とキーラは、同時に顔を宇宙港のほうに向けた。

 人や車両や宇宙船の出入りを管理する、ケルンピアの玄関口。

 警備の厳重なことで有名なゲートが、今や見る影もないほど無残にひしゃげている。

 装甲車みたいなのが突っ込み、あちこちで火の手が上がり、激しい銃撃戦が行われていた……。



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