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Rise Doll Online  作者:
第二章 Summer Vacation
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第七話 休息の時間

「うあぁ~~~」

「変な声出すなよ」


 コウが木製の椅子にドカッと腰を下ろし、その隣にシンエンが無言で座る。

 俺も椅子に座るが、如何せん背が低いので椅子の上に正座する羽目になる。ここら辺も少し気を使ってほしい物だな。


 ここは各プレイヤーに貸し与えられる宿【休息の止まり木】の一室だ。

 宿自体は普通の民家ほどの大きさしかないが、中は別のエリアに繋がっているようで同室に入場するプレイヤーの数で内装などの作りが変わるもので、一定数以上だと風呂やキッチンに寝室などと、設備が充実する。

 恐らく、プレイヤー同士の親睦を深めさせるための、運営の考えだろう。


 一応このゲームはハラスメントに対してかなり厳しいので、男女で一緒の部屋に入室するプレイヤーも多い。実際俺らもそうだ。


「んで、そっちはどうよ?そのユニークモンスターとやらは狩れたのか?」

「…見て察しろ、馬鹿。どんな設定してんだよ、開発は…」


 机に突っ伏しているコウが、疲れた声で悪態をつく。


 まぁ、あの眼鏡の事だから、倒せないほどのモンスターは組み込まないだろうけど、倒せる範囲でギリギリまでいやらしくしているだろう。

 事実、コウは装備一式を修理に出していて、今は予備の粗末な革鎧と長剣一本だけしか装備していない。

 

「くっそ、何だよあのチートモンスターは…」

「そんなに強かったのかよ?」

「強いもくそもねぇぞ」


 シンエンが顔を歪ませながら言葉を漏らす。


「そうか…どんなモンスターだったんだ?」

「馬鹿デカい木だよ…三十人ぐらいでやってるのに…あぁ、思い出すだけで悔しい!」


 コウの話では、三回戦っても勝機が見いだせなかったらしい。一回目は様子見で軽くやってある程度の動きなどを把握して、二回戦目で順調に削っていって五分の一まで減らした時に敵のチート技が出たらしい。

 何でも、急に動きが止まって数秒後にいきなりHPが有り得ない速度で回復しだして、その直後に地面から無数の根っこの槍が突き出してきて阿鼻叫喚の地獄絵図だったらしい。


「まぁ、飯食ったら集会場借りて攻略会議するし、少しは何か案でも上がるだろうよ」

「ふ~ん…まぁ頑張れ」

「くっそぉ、人事だと思いやがってぇ…」


 まぁ、実際人事だしなぁ…あの眼鏡も攻略できないようなモンスターを出す事は無いだろうし、何か攻略のための手順があるのだろう。


「んで…買い出しはまだ帰って来ないのかよ」

「ん~?女は総じて買い物と風呂と化粧は長いって決まってるんだよ」


 俺も色んな女性と接して来たが、大体の女性はこの三つは長い。はっきり言って風呂なんて俺でも十分少しあれば済むし、買い物は買いうもの決めていけばすぐ済むだろうし。まぁ、化粧は知らないけどな。


 数分何も言葉を発しない、まるで死人のような二人を横目に、最近出た新刊の【生活の知恵】という雑誌を読む。

 この雑誌は最近の流行りの服や食事処などが載っている。俺のお目当てはその雑誌の最後にある町の人々の依頼を載せてあるページだ。ここには意外に美味しい依頼もあるので、新刊はチェックしている。

 まぁ、この雑誌も他のプレイヤーには知られていないようだ。と言うか、他のプレイヤーはこのRDOの世界で物を読む事が無いらしい…意外に面白い書き物があるから勿体ない。


「たっだいまっす!」

「お帰り…随分と時間がかかったな」

「まぁ、色々とね…」


 女性群が腕に沢山の紙袋を抱えて帰って来る。その紙袋の中には今話題のジャンクフードの大手【MKS】のロゴの入った紙袋もある。


 RDOのスポンサーには若い人向けのファッションブランドやジャンクフード店などの企業が数多くある。 このRDOのプレイヤーは比較的若いので、それを狙ってのスポンサーなのだろう。


 RDOのフルダイブ技術で、五感がほぼ完璧に再現されているので、ゲーム内で商品のおためしをしてもらい、実際に現実でリピーターになってもらうのが狙いだ。

 実際にその目論見は当たっており、RDOのスポンサーのほぼ全ての企業の業績が右肩上がりらしい。 

 まったく、眼鏡も上手い事やるもんだよ。 


「まぁ、別に良いけど。さっさと飯にしようか」

「は~い」



「うっぷ…」

「はぁ…保存庫に入れとけば大丈夫なのに、無理して食うから」


 シュリが無駄に買い占めたフライドポテトを、意地で食って苦しんでいる。はっきり言って自業自得だ、確かに外はカラッと揚がっていて、中はホクホクで程よいスパイスの効いた塩味が最高だった。

 しかし、その前にハンバーガー四つ食っているのに、無理するから…。


 しょうがなく保存庫にまだ山盛りになっているポテトを入れる。

 この保管庫は冷蔵庫のようになっており、食品などを入れておけば生物も結構保管できる。いやまぁ、そこら辺は腐らないようにしろとかあるかもしれないが、開発の総意でリアルな異世界生活をしてもらうために、そこら辺は妥協できないらしい。


 装備の着脱も普通に着替えるのと同じとか、汗かいたりは流石に嫌な人が多いかと思ったら、意外にも受けれられているようで、その面倒くささも含めてRDOなのだとゲーマーの間では評価がされているらしい。


 軽く掃除を済ませて、装備を整える。と言っても、俺はブーツ履いて腕盾を装備するだけだからリビングで早々に支度を済ませてしまう。

 馬鹿二人組と女性群は寝室で装備を整えている。


 午後からは加工をやっていたサクラも合流するし、少し奥に行って狩りをしようと話になってはいる。

 だけど、流石に専門生産職のサクラでは、ハードな戦闘には付いて行けないだろうし、そこら辺は考えないとな…。

    

 そんな事を考えて居ると、不意にコールがくる。


『アオさん!』

「おぉ…元気だねマコト」

『えぇ、それが取り柄ですからね!』


 コールの相手は無駄に元気な声のマコトだった。

 銀剣杯の折に突き放す言動で少し嫌われたと思ったけど、その後の参加者での宴会でなぜか無駄に懐かれてしまった。

 一応本当のキャラ名を知られてしまっていた奴らには顔を見せて、顔を隠して偽名で参加した理由も話したのでナナシ=アオと知っている数少ない人の一人だ。


「やっぱりマコトも参加してたんだね」

『そりゃ、モチのロンです!それで、少し相談なんですけど…』

「……まぁ、いいと思うけど」



「と言う事で…フレンドのマコトとアイリだ」

「アオさんのフレのマコトです。よろしくお願いします!」

「えっと…アイリです。よろしくです」


 宿を出て広場の一角で待ち合わせをしていた二人に合流する。

 話によると二人は午前中はとあるPTに参加していたらしいけど、何やら揉め事があったらしく二人で抜けたらしい。まぁ、抜けたのまでは良かったけど、先の事を考えていなくて二人ではまともに狩りもできないので俺に連絡をしてきたとの事だ。


「私はサクラだよん、よろしくね」

「私はアヤカだよ。まぁ、よろしくね」

「姉のアヤメです、よろしく」


 一応顔合わせは終わったし、人数が増えたから戦力的には先の予定の森の奥での狩りは問題ないだろう。

 まぁ、その前にやる事はあるんだけどなぁ。


「んじゃ、一応簡単に狩場、ポジション、ドロップ品の確認でもするか。一応狩場は蠢く森の奥地を予定してて、ドロップ品の分配はPTリーダーの総取り後に平均分配だけどいいかな?」

「はい、僕は問題ないです」

「わ、私もそれでいいです」

「うし、んじゃポジションだけど。確かマコトは剣士でアイリは符術士だったな」

「はい、あんまり戦力にはならないかもですけど」

「が、頑張ります」

「大丈夫だって、ほらそんなに固くならずに、リラックスリラックス!」


 そうなると、俺とアヤカとマコトで前衛をやって、サクラとアヤメとアイリで後衛でバランスは良いか。

 ん?待てよ…サクラってメインとサブの両方が生産クラスの純生産クラスだけど、狩りとかってどうしてるんだ?


「そう言えば、サクラは武器って何使うんだっけ?」

「え?えっとですね…一応【弓】と【短剣】のスキルは取ってるけど、後衛の方がいいと思うから弓かな?」

「そうか…分かった。んじゃ、俺がタンクでアヤカとマコトが前衛アタッカー。サクラが後衛アタッカーでアヤメがヒーラー、アイリがバッファーって所かな?」

「そうですね、私達魔法クラスも余裕があったら攻撃にも参加しますね。アイリちゃんはそれでいいかな?」

「は、はい。頑張ります!」

「うい、んじゃ一応装備品やアイテムの補充後に北門前集合で、揃ったら出発な」

「「「は~い」」」


 元気のいい声と共に、各々目的の屋台や店に向かって行く。

   

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