第三話 再会
彩華と彩芽がヘッドギアを手に入れる描写と、葵と桜のリアルでの再会の二つの描写を忘れてたので、次回までリアルパートは続きます。
「おぉ、これが噂の…」
「う~ん、意外に重いのね」
彩華と彩芽の二人の手には、それぞれ赤と黒のヘッドギアが握られている。
最近やっと追加増産分が発売されたヘッドギアだが、俺は別に頼んでも居ないのに眼鏡からRDOがインストールされた状態で送られてきた。
夏の大型イベントに向けて、新規のプレイヤー増員を狙って少しスペックを抑えて値段を七万まで下げた新型を売り出したのだ。
彩華と彩芽の二人のことは知らないはずだが、その新型を二つ送って来たものだから、本格的にあいつはストーカーか何かじゃないかと思う。
まぁ、二人だけハブられているのもアレだし、増産分を買おうと思っていたからありがいにはありがたいんだけどな。
二人とも特にゲーマーとかではないけど、二人とも意外に食いついてくれた。どうやら俺達がやっているのが気になっていたらしい。
「さて、俺は晩飯の買い物行くから、アリスからいろいろ教えてもらってな。いいか、アリス?」
「…アイ、分かった。立派なゲーマーにしたげる」
「いや、これ以上増やさなくていいから…んじゃ、行ってくる」
三人を残して家を出る。
さて、旅行はどうしようかねぇ…俺と妹ズに篠崎姉妹に功で七人か…あと三人は妹ズにでも友達誘わせるか。
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「という事で、南の島のリゾート施設「THE PARADISE」のチケットを……知り合いから貰ったので、行こうと思います。つきまして、皆さんの予定を聞きたいと思い、集まっていただきました」
「おぉ~、雑誌で見た事あって、興味あったんだよね!うちのお父ちゃんは、そういう所興味ないから個のお誘いは嬉しいよ!」
秋保がテーブルに身を乗り出しながら、少し興奮気味に話す。その横で、少し苦笑いをしながらも、携帯で何か調べているあたり、鈴も楽しみのようだ。
「んで、俺も良いのか?」
「もちろんだよ、世話になったお返しって事でな。定員的にも余裕だし、男が俺一人は複雑だからな…」
「…で、俺は何でここに居るんだ?」
功の横で不貞腐れたような表情の槐が、椅子に深く座って悪態をつく。功を誘った時に偶々遊びに来ていたので、チケットが余るのも勿体ないので、ついでに持ってきたのだ。
「あぁ、ついでだな。おまけだよ、人数合わせのな」
「おま…」
「じゃあ、誘わなかったほうが良いのか?」
「……それも何か、嫌だな」
「なら文句言うな」
槐が何か文句を言おうとするが、これ以上時間を無駄にするのも面倒だし、どうせこの後旅行用品の買い物行かないといけないから、さっさと予定合わせしたいんだよな。
「俺は特に予定はないし、何時でもいいぞ」
「…俺も別に予定は無い」
「う~ん、店の手伝いは…別にいっか。私もいつでも~」
いや、良いのかよ…まぁ、俺も自由に決めれるのは助かるけど、おじさんが不憫で仕方ない。でも、これで九人か…あと一人はどうするか。
「う~ん、あと一人行けるんだけど、誰か一緒に行きたい友達とか居ないのか?」
「…誘いたい友達は居るっす!連絡とるから、少し待ってほしいっす!」
朱里か…こう言っては何だが少し意外だ。朱里は見ての通りハイテンションの元気っ子で、男女共に友達は多い…だけど、特別に仲良くしている友達は居なかったと思うけどな。
「うん…じゃあ、いいっすね!?うん…じゃあ、また後で連絡するっす!いつでもオッケーらしいっすよ!」
朱里が電話を切って、嬉しそうに報告してくる。
それじゃあ、これで十人全員分の席が埋まったか。後で刀祢に連絡しとくか。
「じゃあ、来週の火曜日からの予定で組むから、各々準備をしといてくれ」
「「「は~い」」」
「「うい~」」
♦
旅行当日の火曜日の朝。
天気に恵まれて、空には雲一つないこれでもかってくらいの晴天だ。
一応俺が車を出して各々の家を回って、拾いながら近くの空港へと向かう。
朱里の友達は直に空港に来るらしいので、今は九人が少し窮屈そうに車に納まっている。俺が運転席で、助手席にアリスを膝に抱えた朱里、二列目の席に篠崎姉妹に鈴と秋保、三列目に荷物に潰されそうな男子二人だ。
「お、おい…流石に、きっついんだが」
「この、くっそ、女共荷物多いんだよぉ!」
「「「女の子は、色々必要なの!」」」
アリスと朱里以外の女子がハモる。隣の眠っているアリスはいいけど、朱里は女の子としての自覚がなさすぎる気がする。
男二人が無駄に煩い中、特に渋滞に掴まる事も無く順調に空港に着く。
空港内にある空港利用者専用の無料駐車場に車を止め、溢れんばかりの荷物を車から降ろす。
空港内に入ると、流石に夏休みだけあって多くの家族などの利用者が、所自分の目的の場所に向かって人をかき分けながら移動している。
「さて、大丈夫だと思うけど、はぐれないようにな~。鈴、朱里を確保しとけよ~」
「え、何でっすか!?」
こやつ…自分の方向音痴ぶりと、落ち着きの無さを自覚してないのか。
鈴がしっかりと朱里の手を取って、周りの迷惑にならないように一列になってチェックインカウンターに向かう。
チェックインまではまだ時間はあるが、なるべく人の少ないカウンターに並ぶ。
数分も待つと直ぐに俺の番になり、あのチケットを五枚取り出す。刀祢曰く、このチケットで全て滞りなく手続きが済むらしい。
「はい、確認が取れました。この後午前十時五分発の、レシトナス島行き、ファーストクラス十名様でよろしいですね?」
事前に刀祢から聞いていた内容と照らし合わせて確認する。
「はい、大丈夫ですね」
「…はい、では出発の十五分前には保安検査場をご通過していただき、十分前には搭乗口前までお越しいただきますようお願いいたします」
「はい、分かりました」
「良い旅を」
安全検査場の前で、順番待ちのためにベンチで座って休んでいると、朱里の携帯に電話がかかってくるのだが、何時までも着信音が初期設定なのはどうにかしないのかなぁ…。
「もしもし…うん…分かった。うん、じゃあそこで待っててね、迎えに行くから」
どうやら場所が分からないようで、朱里に連絡をしてきたらしい。
「それじゃあ、ちょっと行ってくる「ちょっとまてぇい」うげぇ」
元気よく飛び出していこうとする朱里の首根っこと掴んで止める。いくら何でもこの混雑の中で、しかも始めてきた場所で朱里を行かせると確実に二次遭難になる。
「お前はここで待っとけ、どうせ迷うんだから二度手間になる」
「…わかったっす」
「それで、その子の特徴は?」
「あぁ、可愛い子っすよ。黒髪ロングで、鈴姉と同じぐらいの背で、大和撫子みたいな子っす!!」
大和撫子ねぇ…まぁ、一応居る場所も聞いておいたし、多分見ればわかるだろうしまだ時間は十分にあるからなんとかなるだろう。
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「確かこの辺に居るらしいけど…あれか?」
朱里の友達が待っているという、一回のホールの壁際にある案内板の前に、俺よりも頭一つほど背の高い―と言っても俺が小さいから普通の背丈だけどな―女の子が居た。
髪は黒の肩を少し越すぐらいの長さで、しっかりと手入れをしているのだろう、艶があり綺麗にまとまっている。白の半そでの少しフリルの付いたシャツに、膝まである紺色のスカートにサンダルの服装で、手には麦わら帽子を持っていて、傍らには荷物である白いキャリーバッグがある。
そして、その整った顔つきはどこかで見た事がある気がした。いや、つい最近にもあった事があった、そうRDOの中で…。
ゆっくりと気配を消しながら、その少女の背後に回り込んで肩を叩く。
少女はゆっくりと振り向くと、しばらく振り返った状態のまま固まった。
「お~い…」
何を思ったか、自分のほっぺたをつねって目に涙を浮かべる。
「いひゃいです…じゃあ、夢じゃないんですね」
「だろうな…こっちでは六年ぶりだっけか?」
「七年と十二日ぶりです…本当にお兄ちゃん?」
「まぁ、桜には昔そう呼ばれていたな…元気そうだな」
「うん…」
その涙目のままに抱き付かれる。流石に人目があるので早々に離れたいものだが、桜の気持ちを考えるとしばらくはこうしていてもいいのかもな。
だが、意識的にやっているかわわからないが、背の問題でかおにその、柔らかい物が当たっているんだけど…あぁ、やっぱり早くは慣れたい…。




