第3話「過去」 第3章 「林の初仕事」
第3話「過去」第3章「林の初仕事」です。
「ここか。」
林は依頼現場に行き、依頼人に会いに行った。暗殺じゃ絶対に無いことだ。
普通の暗殺なら誰にも気付かれずにさらっと殺してしまうのだから。
Σ.Ωには、あらかじめ正体を隠すように言われていたので、
林はできるだけ怪しくないように、いつもと同じ私服を着て、
一般人のようにして、依頼人に会いに行った。
「あの・・。ちょっとお伺いしたいことがあるのですが。」
「はい。なんでしょう。」
と、依頼人が言うと、
「この近くに虫が大量発生したと聞いたのですが、
どこか教えていただけないでしょうか。」
「あっ、暗殺の仕事の方ですか。はじめまして。私が依頼した・・・。」
「え? なんのことです? 私はただ虫が気になって来たんですが・・・。
今近所に住んでいる、いわゆる昆虫コレクターなんです。
標本とかを集めてて。女なのに珍しいですよね。」(笑
と心にもないこといって自分の正体を隠せた。
「あっそうですか、すみません。人違いでした。忘れてください。
って「暗殺」なんて言葉すぐ忘れられるわけ無いですよね。」
あやうく気づかれそうになった。と言うよりはこいつはやたらと暗殺者、
つまり私のことを待ち遠しく思っていて、咄嗟に口からその言葉が出たのだろう。
よっぽど大変なことなんだろう。
そして依頼者はうつむいていたが顔を上げてこう話した。
「コレクターさんでしたね。そんなに珍しい虫じゃないですよ。
わんぱくな少年なら数分遊べば見つかるような虫たちですから。
虫ならあそこで群がっています。ついてきてください。」
『わんぱく少年』ってどんな測定基準してんだよこいつ。
依頼人のあとについていくと、
そこには大量のアリ、はちなどものすごい量がいた。
たまにテレビの特集で見かけるような、あの気持ち悪いやつだ。
林は恐る恐る、
「へえぇぇ。これがその虫。
これは結構一般的なハチとかありですね・・・。
私も昆虫コレクターなので知名度の高い虫はあまり興味ないんで・・。
あと現状も理解できたことだし・・・。
ここまでつれてきてくださってありがとうございました・・。」
林は声を震わせながら言った。そもそも一般的なハチとはどんなハチなんだ。
第三者が聞けば意味の分からない説明だ。
林は場所も分かり、任務遂行に必要な材料は揃ったので、
依頼人と距離を取るため帰るふりをした。
「やはり、コレクターさんはこんなメジャーな虫には興味無いですよね。
あの、コレクターさんなので、虫には詳しいのですか。」
「はい。一応一般人よりかは。」
と、林は後で取り返しの付かない嘘をついてしまった。
もし色々聞かれたらどうするつもりなんだ?
さきほどの言葉で依頼人は何も思わなかったのかと不思議に思う。
このハチも林は知らない種で、
アシナガバチでも林は過去に三回見たことあるかどうかの頻度だ。
しかし直感か、うなづいておけばなんだかうまくいきそうな気が、林にはしていた。
その期待した次の言葉がこれだった。
「これらを駆除したいと思っているのですが。」
キターーーー と林の予想通りだった。
このままいけば「コレクター」ということで任務遂行できるぞ!
「そうなんですか。ならここを燃やしてみてはどうですか。」 (笑
林は任務遂行に1歩近づいたことがとてもうれしくて頭が回らず、
誰でも思いつくような、虫コレクターなら虫に対して慈悲の心を持ち、
絶対にしないような残酷なことを言ってしまった。
「いえ、それはちょっとやめていただきたいのです。
ここの木々はとても古く火事になりやすいのです。」
確かにここの木々は死季と戦った時のような木で、
すぐに燃えてしまうような木がたくさん生えており、安易に燃やすのは危険だ。
(てかよく真面目に答えてくれたな。)
「林サン!」
「はい!」
Σ.Ωがいきなりコントロールデバイズから話しかけてきた。
突然話しかけられたが、林は瞬時に依頼人の目を奪い、離れた場所に隠れた。
さすがに林もびっくりしたようで、
「びっくりした・・・。なによいきなり。」
「スイマセン。困ッテラシタンデ。
先程言イマシタ、発電鬼ヲ使ッテミテハ。
雷ミタイナ強力ナ電流ナラ火事ニナリマスガ、微弱ナモノナラ大丈夫デス。」
「なるほどね。それじゃ転送よろしく。」
亜鉛と銅のリングが両腕についた。
「使イ方ワカリマス?」
「大丈夫。きっとなんとかなるよ。」
次回第4章です。




