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個人Vをしていた幼馴染が歌い手(笑)に寝取られたけど、2人が人生の坂を転がり堕ちていくのを眺めていることにした。  作者: サドガワイツキ


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22/26

第22話 私は悲劇のヒロイン!!!可哀想でしょ!!!!

 

「くそっ、くそっ、くそっ、くそっ!クソクソクソクソクソクソ!!どいつもこいつもくそばっかりーっ!!」


 キーボードを持ち上げて何度もテーブルに叩き付けるとキーが宙を舞い割れたキーボードが散乱するけど、この程度じゃ私の腹の虫がおさまらない。こんなもんじゃ満足できないわ!


「ムカつくなぁ動画配信サイト!私のサービスを悉く邪魔しやがって!!なんで私に気持ちよく配信させねぇんだ!私は弱者男性どもにちやほやされていたいんだよ!」


 感情のままに叫び興奮のあまり肩で息をするほどに意気が上がっているけれど、耐えきれずに拾い上げたキーボードの残骸を壁に投げつける。


「何がBANだよ!パンパンしろおらぁぁぁぁぁっ!!」


 感情が制御できずに叫び散らしてもこの家には私しかいないので誰も文句を言わない。ゴミ父が留置場送りになってからゴミ母はお金だけおいて仕事に没頭するようになって、帰ってきても疲れて寝ているだけ。子供の面倒も満足にできず現実逃避するようなゴミ親なんかもうどうでもいい。


 ・・・結局、学校も付属の通信制高校への編入という形で去る事になった。

 任意というけれど、断れば退学で中卒なので断れるはずもない。

 始まったばかりの高校生活は終わり、折角軌道に乗った個人V活もガワを理不尽に奪われ、両親はどっかいって、学校は事実上の退学、そして最愛の幼馴染には別れを告げられて暖かい団欒も失い、私には何もなくなってしまった。ついでにまさおもいなくなった。いやぶっちゃけまさおはもうどうでもいいけど、まさおだし。


 なんとかVのガワを取り戻すために収益やお年玉の残りを使ってPCや配信機材を買い、再起をかけて配信者をはじめて、プライドを捨ててSNSでエゴサして配信を見に来ていた弱者男性(笑)にガチ恋営業を仕掛けて最初は伸びたがすぐに頭打ちになって、そして―――たっくんママがあろうことか新しい個人Vのデザインをして、しかもキララやレンといった大手が拡散したおかげで話題はその2人組に集中していた。話題をかっさらって行かれてしまった。

 私が何をやっても、たっくんママの新しいVコンビには勝てない。

 肌の露出を増やしたりしたらアカウントごとBANされてしまった。


 ・・・配信者として取り巻きを作ったらアシェルの事を暴露して取り巻きをファンネルとして飛ばすはずだったのに!!アシェルを取り戻すはずだったのに!


 何度アカウントを作り直しても即座に凍結されてしまう。これじゃあ翼をもがれた天使、いや蝶よ。

 このまま引き下がれるかとコテハンでネット掲示板で主張したけど荒らし扱いされて馬鹿にされるし、

誰もかれもが私を馬鹿にする、舐める、虐げる。悔しい、悔しい悔しい悔しい。どうしてどいつもこいつも私の邪魔をするのよぉぉぉぉっ、何で上手くいかないの?!むかつく、むかつく、むかつく。私何も悪い事してないでしょお!!!!!


  ・・・どうして、何故と聞いても誰も答えてくれない。何もかも持っていた筈だったのに、何もかも失ってしまった。今の私には何もない。そう思うと悔しくて悲しくて涙が出る。屈辱だ、私がこんな目にあうなんて世界の損失でしょう?!


 それにたっくんもたっくんだ。一度くらいの浮気で掌返しをするとか自分を最低のクズだと思わないのかな?かよわい女子の私をゴミみたいに捨てて何もかもを奪っておきながら、自分は草鹿と朝倉の2人を侍らせていい気になってる。私の浮気は駄目で自分はハーレムが許されると思ってるのも姑息。いや、卑劣だ、卑劣様よ!!



「ぢぐじょう!どぼじでごんなごどに!!」


 泣きながらベッドを殴りつけ、壁を蹴り、荒れ狂うけれど気分は晴れない。


「・・・こんなの絶対おかしいよ」


 私が何もかもを奪われて苦しんでいるのに、私のことを気にかけるどころか女の子にちやほやされているたっくん。・・・思えばあのえくすとべのむという2人組の声は草鹿と朝倉によく似ている気がする。

 私を捨てて草鹿と朝倉に乗り換えるなんてそんなの許せるわけないッ!!


 ・・・そうか。そうだ。たっくんなんだ。私にすべてを与えてくれていたのはたっくんがいたから。そしてたっくんが私を捨てたから私は今こんな風に惨めに落ちぶれているんだ。たっくんをとりもどせば、何もかも全部上手くいく。

 でも私の力では無理―――そう思ったところでスマホがメッセージの着信音が鳴った。


『今、一旦保釈されたけど一発やろうぜ』


 ・・・なんだ、まさおか。

 もうこいつに利用価値はないし無視しても・・・そう思ったところでスマホを手に取る。このまさおを上手く使えば何もかもすべてうまくいくかもしれない。どうせもう私には守るものも、立場も何もないんだ。躊躇する必要なんてない。


 そう、ネット小説で理不尽に婚約破棄されたり追放される聖女はいつだって最後にざまぁをするんだ。なら・・・私にはきっとざまぁが出来る筈。

 あのクソビッチ2人からたっくんをとりもどして、私が持っていたものを取り返すことができる・・・全く懲りない悪びれない、反省能力ゼロの下半身性欲犯罪者――――まさおを使って。

 私は素直に毒を飲んで命を絶つような馬鹿じゃない。ロミオを取り戻しに行くジュリエット。


 思わず手に入れた鬼札に、私は思わず笑みがこぼれる。諦めたらそこで試合終了よ!!

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