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個人Vをしていた幼馴染が歌い手(笑)に寝取られたけど、2人が人生の坂を転がり堕ちていくのを眺めていることにした。  作者: サドガワイツキ


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20/27

第20話 ねぇ、今どんな気持ち?どんな気持ち?

 満を持してのデビューとなったえくすとべのむの『アウトサイダーチャンネル』初配信は、キララとレン達が呟きを引用してくれたり拡散したおかげで初回からバズっていた。


 初配信というと大体は真面目で大人しい自己紹介のような配信というのがセオリーになりがちだけど、初手からべのむ(朝倉)がえくす(草鹿さん)を貧乳を気にしていることでいじり、“えくす”のガワは巨乳美人だけど偽乳のPADという不名誉な属性が配信開始5分と経たずに付与されたことでリスナーを爆笑の渦に叩き込んで話題になった。

 そしてサプライズで途中から伊地知ノイ(かあさん)も配信に参加をして和気あいあいと話を盛り上げてくれた事で動画の切り抜きやショート動画が出回るようになってえくすとべのむは一気に拡散されている。伊知地先生虎の子のVデビューで界隈は騒然ですよ。


 そしてもうひとつ、えくすとべのむ2人と伊地知ノイのやりとりからどちらかが伊地知ノイ先生の実子なのでは?という憶測もとびかった。惜しい!伊地知ノイ(かあさん)は子どもがいることは公言していても性別や年齢などについては伏せているのだ。

 なのでそんな噂も囁かれるようになってえくすとべのむの立ち上げは大成功だと言ってもいい。

 もちろんこの勢いを落とさないように上手に運営をしていかないといけないし、俺自身も学ぶこともしないといけないし技術を磨いていかなければな、とより一層身が引き締まるのを感じた。


 ちなみにあっという間にチャンネルの登録人数ではヒメネコを追い抜いた。というか勝負という言葉なんておこがましいレベル。

 応援してくれる皆のエールに応えるべく俺も編集作業を鋭意頑張り、チャンネルの登録人数は順調に増えていき、えくすとべのむ・・・もとい草鹿さんと朝倉も徐々に配信にこなれていった。

 真面目にゲームを進めるえくすと感覚と勘でトンデモプレイをする2人の掛け合いは好評だ。・・・会話の内容は脚本とかではなく2人の素なんだけどね。

 あと草鹿さんと意外に朝倉も歌が上手い女子なので歌枠をとって歌の配信もしてみたりしてるけど、こういった歌配信は母さんが伊地知ノイとして活動するための部屋があるのでそこから配信したりしている。リスナーもまさかママの家から歌枠配信してるとは思わないだろうネ!

 

 そしてチャンネル登録者数50万人がみえてきたころ、満を持して?タテヨコが用意してきたのは“えくす”と“べのむ”の3Dモデルだった。・・・いやタテヨコ有能すぎて草生えますよ!!!

 勿論3Dモデルがあるとはいえそれをすぐに使えるほどの技量は俺にはないので。タテヨコにアドバイスを受けながら3Dモデルの動かし方についても勉強して、毎日充実して楽しんでいた中で―――それは起こった。


 ぶっちゃけ、純粋にえくすとべのむの活動が楽しすぎて歯牙にもかけず忘れかけていたヒメネコがチャンネル数に伸び悩み、ついでに取り巻きも離れていったのでお色気路線に転向しはじめたのだ。

 話題になっていればそれだけ人も集まり、人が集まることでさらに人を呼ぶ。

 個人でやっている姫子と、チームでやっていて人脈フル駆使している俺達を比べるのは酷かもしれないがそこは仕方がない。けど未成年でそんなデジタルタトゥーを残すような事するのは迂闊だぞアホか、あの馬鹿何やってるんだ、と頭を抱えたくもなりますよ。

 露出度の高い服を着たり攻めたカメラアングルをしたりしているのはちょっと引いてしまう。そこには姫子なりの焦りを感じたが、そのやり方は悪手だ。

 特に女性リスナーはそういったお色気路線はウケにくいし、下心ありの男性リスナーだけになってしまうので長期的に見るとファンが頭打ちになる(とレンやキララが言っていた)。

 そして姫子が満を持してか、


「実はそこそこ有名なVをやっていた」

「今は事情があってVを引退させられた」

「いずれ詳しくその話をするつもり」


 等と配信の中で匂わせをしてきたのだ。・・・やはり姫子はアシェルの事を蒸し返すつもりだったんだろう。


――――そしてそれから間を置かず、姫子もといヒメネコのアカウントは凍結されていた。


 あっけないくらいに拍子抜けだけど、露出を増やしたりしていた事で規約に引っかかった模様、そらそうよ。

 あーあ、言わんこっちゃない、言ってないけどな!

 余計な事するから垢BANされるんだって。従来ののんびり女子高生トーク路線維持されながらアシェルの事に触れられてたらもう少し対処に苦労したかもしれない。何かやらかすと思いきや始まる前に高速自爆成仏とか姫子ェ・・・・・・。


 ちなみにその後もヒメネコチャンネル力の2号、ヒメネコV3、ヒメネコスーパー1とか名前を少し変え甦ろうとしてはBANされてた。何度BANされても見苦しく甦ろうとするけど多分要注意人物扱いされてるから多分無理だと思うなぁ。


「たっくん、どうしてヒメネコはすぐ死んでしまうん?」


 朝倉にそんなことを言われたけど、とりあえず「坊やだからさ」と返しておいた。


 そんなこんなでヒメコは完全に自爆してしまっているが俺達の新しいV活は順調で、もう姫子の事抜きに皆で楽しくやっていた。だって今は純粋に皆で造り上げるV活が楽しもん。


 一方、何度もBANされて甦る事で悪目立ちしたヒメネコは、「こいつまさおと一緒にいた女と声にてね?」「いや、引退したアシェルじゃね?」と界隈で騒がれるようになった。

 ヒメネコ(引退V)=まさおと一緒にいた女=アシェルという方程式が仮説として拡散されだしたけど完全一致で草。ほらな?オタクのダメ絶対音感ってすげーんだって。

 完全に図星をつかれてこれ以上浮上しようとすると追及が及ぶことを恐れたのか、ヒメネコはついに転生と再起を諦め、ネットの海から消えた。


 ヒメネコの時に元・引退したVとか余計な事を言っちゃったのが致命的だったねぇ、匂わせのつもりだろうけどそんなこと言ったら特定されるに決まってるでしょ。

 えくすとべのむに話題をかっさらわれたりファンの一部を引っぺがされて焦ったのは間違いなく在るんだろうけど、姫子一人だとこんなに脇が甘いのかと遠い目で見るしかない。

 姫子、どこにも居場所、無くなっちゃったね・・・・・・。雉も鳴かずば撃たれまい、南無。知らんけど。

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