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個人Vをしていた幼馴染が歌い手(笑)に寝取られたけど、2人が人生の坂を転がり堕ちていくのを眺めていることにした。  作者: サドガワイツキ


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第19話 母の愛は強くて重いのだ。幼馴染はゆっくりくやしがってね!


レンやキララとの交流は俺たち三人にとって有意義なもので、学ぶことが多かった。

しかしどうして俺達みたいな縁もゆかりもない子供にわざわざ?と気になったのでそれとなく聞いてみると、色々とあってV活動の意欲が下がったり、続けていけるか悩んでいたので気分転換になればと思ってという事だった。

 個人V最大手となれば人生順風満帆かと思いきや、色々と大人は大変なんだろうな・・・。大人になるって悲しい事なの?

 そんなお茶会の別れ際、レンとキララからは


「「まさおにだけはなっちゃだめだぞ」」


 と釘を刺された。さすがにまさおになるのは逆にハードルが高いしあんな人間の屑はなろうと思って慣れる者じゃないですよお姉さん達。


 それから、母さんがVの中になる子にも逢ってみたいというので草鹿さんと朝倉を家に招いて色々と話したらインスピレーションが捗ったらしく、母さんの筆がノリに乗って無事Vのデザインは順調に進んでいるようだった。母さんは動きやすいからという理由で俺の中学時代のジャージを作業着にしているけれど、ジャージ姿におでこのひえピタという臨戦修羅場スタイルでデザインに取り組んでくれている母さんの背中は純粋に尊敬できるのだ。


 母さん―――もとい伊地智(いちじ)イノ先生は企業Vのママもしていて、企業Vの“箱”では双璧と言われる『キラリサイタル』では何人もの人気Vのママをしていて、作家兼Vとしてもう一つの箱の“ななてんやおき”と個人的にコラボや配信をしていたりもする。

 そんな母さんがSNSで作業進捗として少しずつ情報開示をしたり、不定期に行われる伊地知ノイの個人配信でファンやフォロワーの注目を集めていってくれているので、始まる前から新たなVの注目度はかなり高い。特にキラリサイタルで伊地知ノイをママとするVたちも配信で触れてくれたりしているのも話題に拍車をかけた。

 アシェルの時と違って母さんの『本気』を感じるので、ある日版ご飯を食べた後になんでそんなに頑張ってくれているのかを母さんに聞いてみたんだ。


「それはね・・・たっくんが自分から『やりたい』って言ってきてくれた事が、お母さんすごくうれしいからよ」


「エェー?俺アシェルの時もやりたいっていってたじゃん」


「あれは浦桐さんのやりたいがまず先だったでしょう?

 今回はたっくんが―――おばあちゃんっ子だった巧がおばあちゃんを亡くしてから初めて自分でやる気と意欲をみせてくれた頑張りたい事だからよ。だからお母さん、頑張っちゃうんだから♪」


 そう言って、満面の笑みと共にぶいっ!と俺の顔の間近にピースサインを近づけてくる母さん。俺、母さんの子供に生まれてこれて良かったなって思ってる・・・ということを心の中で思っていたつもりだけど無意識に口走っていたので感極まった母さんにハグされてよーしよしよしよしよしよしーといっぱいよしよしされたりした。・・・アラフォーのはずなのに若々しくて元気なお母さんである、バブゥ。


 そうして満を持して公開された草鹿さんと朝倉のVとしてのガワ、黒金のゴスロリドレスの“甲斐座かいざえくす”と、紫を基調にしたエスニックでセクシーな衣装の蛇使い、“王野おうのべのむ”。どちらも母さん入魂の出来だった。

 仲間内での公開をしたときに、タテヨコが顔を見合わせて何事かを企んでいるようだったけれど教えてくれなかった。


「いずれわかるさ・・・・・・いずれな」


 え~、本当でござるかぁ?

 後は、アドバイスをもらったレンやキララの中の人達にもしゅーこちゃん経由で改めてお礼を伝えてもらう事も忘れない。

 レンやキララからは活動の立ち上げが落ち着いたらコラボしようと声掛けをもらって、社交辞令だとしてもそれは嬉しいなって思った。

 しゅーこちゃんにその話をしたら、高遠はまだまだ子供だからな、と苦笑していた。


「伊地知ノイのVと交流を持つことはレンやキララにとってもメリットがあるんだよ。2人を介して伊地知ノイに接点をもてるのは大きい。大人というのはそういう損得勘定もあるから遠慮なくギブアンドテイクだと思っておけばいい――――んだけど面談で話してたお母さんがイラストレーターの伊地知ノイだって聞かされた私はどう反応すればいいんだ」


「サインもらってきましょうか?」


「いいの?やったー!」


 子供みたいに目を輝かせて喜ぶしゅーこちゃん、意外とミーハーでワロス。


 俺自身も遊んでばかりはいられないので、母さんからもらったデータを基にLIVE2Dの作業をこなした。

 そして数度にわたる修正を経てイラストが公開された「えくす」と「べのむ」はSNSのトレンド上位に入った。ここは母さんやレンとキララ、そして母さんと繋がっているVの人達の影響力って凄いなーと素直に驚かされると同時に、プレッシャーもなんかもうすっごいの。


「いい、巧?今のVtuberというのは飽和状態の中でパイをとりあっているような状態なの。Vというのはただ単にデビューしました、だけでは有象無象の中に埋もれて終わり。大きな(きぎょう)に所属してデビューするか、企業Vから転生の導線を準備してファンを抱えて転生したりという例もあるけれど、

使えるものは何でも使わないと生き残れないの。で、そのための(ママ)よ!たっくんたちのバックには伊地知ノイ(わたし)がついてるわっ♪」


 あまりにも頼もしすぎるお母さんであった。

 そして「えくす」と「べのむ」に嫉妬心剥き出しでかみついているヒメネコ。


『SNSで話題になってるV?あれって他人の七光りで話題にされてるだけで~、ぜんぜん大したことなさそうって言うかぁ・・・アレだよねwていうかアシェルの時はこんなにプレゼンしてなかったのになんかきしょw』


 おっwwwwwwwww効いてる効いてるwwwwwwwwめっちゃ悔しそうでマジうけるんですけどwwwwwwwwwwww。 

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