Your Voice #9 「君に届け、この気持ち。 後編」
「もし、小森の歌声を聴いて気が向いたら、一緒に文化祭で「もう一度」、舞台に立ってくれないか——。」
——僕は願うようにそう伝えた。
すると、三河先輩は…
「…わかった。一度だけ聴いてあげる。でもダメダメだったら私は舞台に立たないから。」
「うん、分かってるよ。三河先輩。」
小森は決意したように言う。
「じゃあ、聴いて下さい——。
——「I want to be with you forever」」
『♪君に、伝えたい事があるんだ。』
最初から、小森は声を最大限に響かす。まるでそれは、三河先輩へ贈る手紙のように。
『♪恥ずかしくて、自分の想いを直接君に伝えることは難しいかも知れない。でも、これだけでは伝えたいんだ——』
小森は自分の感情を込めた素晴らしいビブラートを歌に乗せて響かしている。
そして、僕は知る。この曲のタイトルの意味を。
『——♪「君とずっと一緒にいたい。」それだけは胸を張って言えるんだ。』
小森は三河先輩に響かしているはず、なのに。
何故か僕は、小森に自分に対して言ってきていると。そのとき、僕は感じてしまった。
僕がそんなことを考えていると、誰かが喋りだした。
「今の歌声は、小森の気持ちがよく伝わる、そんな声色だった。分かった、「もう一度舞台に立ってあげる。」」
そう…、その喋りは三河先輩の合唱の「了承」であった。
それから、文化祭の合唱へ向けての三河先輩が考えた、「地獄」の合唱練習の日々が始まった。
「桜田!もっとお腹に力入れろ!」
三河先輩は声を張り上げて僕に指導という名の怒声を浴びせる。
「す、すみません!」
いや僕歌歌う時の基礎すら知らなかったんだぞ!?と言いたいところだが、ならなんで小森を合唱に誘ったんだという話になるのでやめておく。
「奏花ももっとその場の空気を変えるような優しさで声を出せー!」
「は、はい!」
小森は怯えながらも、情熱に満ちたような声で返事をする。
そんな風に僕達の合唱練習の日々は過ぎていった。
そして——、
——文化祭当日。
前日のリハーサルの時とは違い、小森はやはり過去のことが頭を埋め尽くしていて、プレッシャーを感じているのか、朝から僕たちとあまり話してくれない。
そして文化祭の僕らの合唱の出番の時間まであと1時間を切った時だった——。
——小森が、「いない」。
【あとがき】
どうも!Matchaです!!
今回ちょっと短くなっちゃってごめんなさい…!次の話多分長くなるんで許して!(?)
ではまた!次の話で会いましょう!またね!




