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奇跡の花
むかし むかし
白銀の髪をした、ふしぎな民がいました。
その民は大地を癒す力を持っていました。
その民が歩くと
花は咲き、森は歌い、人々の傷はやさしく癒えました。
けれど
人々は、その力を欲しがりました。
「その力をーわたしたちのものに」
そうして争いが起きました。
そのとき
空を翔ける龍が、言いました。
「このままでは花はすべて枯れてしまう」
白銀の民は静かに話し合いました。
そして
自らの血を
ひとつの種に変えました。
龍はその種を
深い森に住む神さまへと託しました。
「いつの日か花が再び咲いたときーその花を守る者が必要だ」
森の神は、その願いを受け取りました。
そして
深い森の奥に、その種を眠らせました。
それから長い時が流れ
森には、たった一輪の花が残りました。
やがて
その花が
十六の春を迎えるとき
森は、娘を迎えに来るでしょう。
そのとき
龍はもう一度ー空を翔けます。
そして
花を守るでしょう。




