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平凡だった私が生まれ変わったら森の神様に好かれ龍人に愛される物語  作者: 茜雫桂香


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闇の心

「あ、あ」


(怖い、嫌だ、あの牢には戻りたくない)


 恐怖で足が動かない。パルフィに捕らえられた視線から逃れられない。心の中を黒い靄が埋め尽くしそうになる。

 メキメキと地面から蔓がまた伸びてくる。


「…」


 驚きと困惑な表情を浮かべるパルフィは、静かにその蔓を見ている。どんどん伸びる蔓は私を覆うように伸びる。


「闇よ、我の指示に従え」


 その言葉と同時に私を蔓は全体を覆う。視界が真っ暗で何も見えない。


(守ってくれてるの?)


 卵型のように私を包み込むと、層がどんどん厚くなっているのか、地面から蔓が昇ってきている音が鳴りやまない。真っ暗だけど、居心地がいい。


「…そんな草、俺には効かん」


 その言葉が耳に入った瞬間


「闇よ、捕らえた者の心を奪え」


 そう唱えられた刹那、心臓がぎゅっと握られるような感覚を覚えた。


「あ、いぃ」


(痛い!痛い!)


 胸が苦しくて呼吸が上手くできない。私の体の中に黒い物が入ってくるのを感じる。蔓の層は厚くなるが、私の体の中までは守れない。全身に痛みが走り出す。


「あぃ、いた…あ」


 悶えて目の前の蔓の壁に爪を立てた。


(何?!痛い!!こんなの!耐えられない!!)



「うわああああああ」


(あ、あぁ…)


 突然のパルフィの悲鳴に掴まれていた心臓が楽になる。ドンと大きな音が地面を揺らし、石壁が崩れる音が響き、崩れ終わるとしばらく静寂に包まれた。

 呼吸を整えていた時、爪を立てていた蔓の壁からじんわり温かさを感じた。



「…ニア、聞こえますか」



(あ、あ、あぁ)


 ずっと聞きたかった、ずっと待っていた、ずっと思い出していた。優しい声。


「フィ、リア」


 そう呼び掛けると、蔓はゆっくり地面にかえっていく。

 徐々に光が差し込み、視界が開けていく。

 目の前には会いたかった優しい藍色の瞳のフィリアだった。


 ホッとして全身の力が抜けた私を、大きな腕が優しく受け止めてくれる。


「…帰りましょう」


 安心する温もり、香り。ずっと会いたかった。



(初めて会った時みたい)


 毛布に包まれながら抱きしめられつつペリを走らせるフィリア。

 自分に都合のいい夢を見ているのではないかと、何度も意識が飛びそうになるのを必死に堪え、フィリアの藍色の瞳を見つめていた。


(お願い、夢なら覚めないで)


「…体制辛いですよね、もう少しだけ辛抱を…」


 まるで自分が怪我をしているかのように悲痛な表情のフィリアに思わず掌を胸に置く。

 トクントクンと心臓が動いているのを感じる。


「あ、ありがとう」


 お礼を伝えると、張り詰めていた緊張が解け、意識を手放してしまった。

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