アイドル研究部
ファミレスから出た後、鎌城春香と別れ、俺は辰巳先輩と二人っきりとなった。
もともと二人っきりで会う約束をしていたので、別に問題はないのだけれども
俺と辰巳先輩は駅まで歩いていた。
「とりあえず、明日招集できてよかったですね」
「そうね、合同部もこれで設立できれば、かつての伝説を上書きできるものね」
上書きって、伝説って言っても、喧嘩別れで廃部になった部活を伝説というのはやめましょう。
「それはともかく、俺も英雄部の活動ができるので、俺としてもうれしいんですけどね」
英雄部、俺が待ち望んでいた、部活だった。
「とりあえず、今からどうします?先輩?」
俺は先輩の顔を見ると、辰巳先輩は悩んだような顔をしていた。
「どうしました?」
「そういえば、なんで英雄部を作ろうと思ったの?」
「へ?いや、俺も英雄みたいになりたいのと、あともちろんこのヒーローたちを語り合いたいからであって」
「でも部員一人じゃない、合同部はほとんど女子、しかも個人個人がバラバラなことをしたいわけじゃない?今更こんなこと言うのも何なんだけど、あなたはそれでいいの?」
というと俺の顔を覗き込むような形で近づいてきた。
「正直最初、合同で部活しろって言われたときは悩みました。それって俺のしたいことなのかな?って」
合同部はもともと辰巳先輩からアドバイスと指令されたもので、俺がしたかったことではない。
だが、
「でも、行動してみて、すごく楽しかったんです、部員集めってこういう感じかなって」
「多分、特殊な部員集めだと思うけどね」
「ですね。でも、英雄が語れる同士じゃなくても、たとえ一人でも、偽善者かもしれません、でもやってみて後悔はありません。むしろ実現にむけて俺は明日、必ず部室を手に入れて合同部を設立してみせます」
「それでこそ、英雄さん!とりあえずはアイドル研究部より早く部室を手に入れないといけないね」
「それ、辰巳先輩がいっちゃいけないやつですよ」
「そうなんだけど、合同部には期待してるから」
「それならアイドル研究部にも何かしらフォローしないととばっちり食らいますよ」
「だよね~、とりあえずなんとかするから大丈夫」
辰巳先輩はガッツポーズでこちらにややひきつった笑顔を見せていた。
多分、自分の立場と自分の本心で揺らいでるのだろう。
とても申し訳ない。
「ありがとうございます」とだけ俺はお礼を言った。
いまはそれしか俺には言えなかった。
そのあと、俺と辰巳先輩は適当に談笑し、とある場所にたどり着いた。
「あの、すいません。辰巳先輩。話し込んで、悪かったのですが、まさかと思いますが」
「うん、ここ私のうち」
「ですよねー」
俺はいつの間にか、辰巳先輩を家まで送る形になってしまっていた。
行先も何も知らずについて来てしまっていた状態だったから。
まるでデート帰りに彼氏が彼女を送り届けるみたいだ。
そう思うと、なんだか恥ずかしくなっていた。
ふと辰巳先輩を見ると、辰巳先輩はなんとも思ってないような顔をしていた。
「ん?どうしたの?」
「いいえ、なんでもないですよ」
「えー?なんで片言なの?なんか意識してる?」
「なんでもないですよ」
「顔赤いよ?」
「はっ!?」
俺は自分の顔をスマホで確認するが、特になんともなかった。
「か、からかったんですか!」
辰巳先輩は笑いながら、こちらを指さしていた。
「ごめんごめん、なんか意識してたら面白いかと思って」
人をおちょくってる様子は子供そのもので、生徒会副会長の威厳はどこにもない。いや当初からないけど。
「辰巳先輩が彼女だと大変そうだ」
「今それ言うのひどいよ」
「ですね」
俺は笑った後、家に帰った。
「さて、いよいよ明日部活動結成か、どうなることやら」
次の日の放課後
俺と辰巳先輩が部室の前にいた。
そして、堂々としている緑鳥ひな、恐る恐るいる天宗瑠璃
真我を睨む樹海リアス、なんか食べている鎌城春香が揃っていた。
そして目の前に
「こちらがアイドル研究部さん、そしてこちらが合同部さんです。」
アイドル研究部を申請し、部室を欲しがっている5人がいた。
辰巳先輩は、お互いを紹介する。
5人組で活動しているようだが、クラスと学年はバラバラで3年生1人、2年生2人、1年生2人
アイドル研究部ともあって見た目はかわいい。
見とれている場合ではない、部室を譲って貰えるように交渉しないと。
「とりあえず部屋に入りましょうか」
辰巳先輩先頭に部室に入る。
部屋は意外と広い間取りで、教室の半分ってところだった。
「踊るには少し狭いかな?」
「どうかな、ダンスする時だけ外にする?」
「動画編集とか、撮影に使うならここでいいんじゃないですか?」
「みくはゴロゴロしたいです」
「こら、副生徒会長の前で何言うの」
「ふええー」
半べそかいた1年生をおいて、アイドル研究部の面々はもう自分達が使うかのように部室の計画を立てていた。
いや、ウチもだが
「いいわねこの部屋気に入ったわ、特にこの辺りなんかに本棚と机でいいBLルームが」とにやにやする緑鳥の姉御
「魔法少女のフィギュアをここに〜」
この前の事件を忘れて、はしゃぐ天宗の1年生
「お菓子食べるごろ寝スペースだ〜」
さっきのアイドル研究部の1年と同レベルの鎌城大食いファイター
「観光名所のマップをここに貼り付けるデスよ!」
カタコトが少し取れてるリアスさん
「ここに僕のコレクションを!」
部外者の感想。
だが、俺もこの部室に置きたいもの、ヒーローのDVD鑑賞としてテレビとDVDプレイヤーを置きたいところ。
ビジョンとしては、そうだな。フィギュア棚は欲しいかもしれない。
英雄を語れないのは悔しいが、俺の陣地は取っておきたいところだが。
「さて、皆さん思い思いのビジョンを働かせたかと思いますが、この部室はひとつしかありません。私としては、どちらかと言うのと心苦しいんですが、どちらが使用するのか決めたいところなんですが」
辰巳先輩は悩むような表情だったが。
「アイドル研究部さんはこの部室の使用目的を教えてくれませんか?」
辰巳先輩は3年のアイドル研究部の部長に問う。
ダンスするとか言っていたが、このスペースで5人で踊るには少し狭い気もする。
さて、どう出るのか。
3年のアイドル研究部部長は話し始めた。
「いいですかね?、正直ダンスなどの練習だと少し狭いです、個人的に踊るなら十分ですけど、まぁダンスならここでなくても中庭などで行います、ここでやると響きますし、ここでは主に動画撮影や編集、あと配信やライブに使う衣装や曲を作成するのに、使いたいです、あとミーティングとかですかね」
「ここでしか出来ないですか?」
「ここ以外となると、中庭などになりますし、先程言ったことはできないので個人が帰って作業になるので、作業効率は悪いです、それに雨などは練習できませんし」
「なるほどわかりました。」
辰巳先輩は淡々とことを進める、アイドル研究部の活動としては、部室がないと厳しい。
納得のいく意見だった。
「それでは合同部さんの意見をお聞きしたいです。」
「は、はい!」
俺は緊張したのか声が裏返った。
「大丈夫か?」真我が横に立つ。
「大丈夫だ、ありがとう」
後ろで興奮してる腐女子を見て、少し安堵する。
「なんか失礼な眼差しを感じたんだけど」
「気のせいですよ〜」
鎌城春香がフォローに入る。
「お話できますか?」
辰巳先輩は心配な顔と少しウキウキしてる顔を見せる。やめてくれ恥ずかしい。
先程のアイドル研究部の部室使用目的を覆せるかわからないが
「俺たち合同部は、個人個人がやりたいことはバラバラです、元々は全員1人で部活申請しにいき却下されしました、ですが人数合わせですが、合同に部活する場があれば好きな部活ができる利点があるのでこの部室が必要なんです」
我ながら上手く話せた気がした。
「さすがは我が親友、俺と盗撮部発足感謝するぜ」
そんな部活申請したのかお前は、入った覚えもないのだが。
「ちょっといいですか?」
アイドル研究部の2年が手を挙げてきた。
「はい、なんでしょう?」
代わりに辰巳先輩がその2年に声をかけた。
「部室が必要なのは、合同に部活をしたいんですよね?あなた方は見たところ失礼なんですが、一緒に部室で部活が出来そうには見えないのですが」
「え?」
俺は合同部予定の面々を見た。確かに今日初めて顔合わせた面々もいるし、相手から見たら、知らない者同士集まりました感しかない。しかもまだ合同部は発足されてない。
対してアイドル研究部は部室がないだけで、既に部活として認められている。
つまりこちらは部ではないので、解散することもましてや誰か1人かけたら合同部発足はできない。
特に天宗瑠璃は男性恐怖症であり、俺は酷いことをしてしまっている。BLも苦手なようだし緑鳥先輩とは相性悪い。
何故かいる白石と樹海リアスも先日の事件もありあまりお互いの印象は最悪だ。
唯一鎌城春香はそういうことはなさそうなのだが、彼女自身、別で飲食費が手に入れば合同部にいる必要はない。
「みくもそう思う〜、先輩たちって友達?なんか寄せ集めって感じ〜」
けだるそうに見てるチャラっとした1年は俺たちの図星をつかれた。
「私たちアイドル研究部はどうしても部室が必要なんです、今度の夏に大きなライブイベントに参加することになってって、その準備をここでして成功させたいんです、どうかお願いします!」
3年のアイドル研究部部長は辰巳先輩と俺に向かって深く頭を下げた。
不純な理由の俺たちと、真っ当な理由のアイドル研究部、見るからに俺たちの負けは確定したのも当然だった。
「部長さん頭を上げて、どちらがいいか生徒会が吟味して決めますから」
「公私混同はなしでお願いします、辰巳さんってあの男子と仲が良いように見えますよ」
「あら、なんのことかしら?」
挙動不審みたいな態度を取る辰巳先輩、嘘下手くそかこの人。
「辰巳さん、貴方だけで判断するのは私たち不安何ですけど、申請の時もなんか一人舞い上がってませんでした?」
「な、なんのことですか?」
「あー!みく知ってるよー!副生徒会長さん!アイドル研究部ができるってわかって、みく達がいなくなったあと叫んでた」
「のああああ、違うんです!違わないけど!嬉しくてつい!」
辰巳先輩、どんだけ感情豊かなんだろうか、微笑ましいともいえるというか、なんというか。
「取り乱してすみません、いえまぁあなた方なら、いいか」
辰巳先輩は周囲を見渡し、なんか切り替えた感じだ。
「この際ハッキリいうね!合同部!あなた達には期待してる!伝説の合同部が生まれるのが見たい!」
「そしてアイドル研究部!あなたたちの活動を私は応援したい!だからどちらかなんて選べないよ〜」
泣き目になっている辰巳先輩、風格はどうした風格は。
あの厳しい副生徒会長さんの姿はなく、ただの辰巳詩音になったところで、部室のドアが開いた。
「あまり詩音をいじめないでね、皆さん」
「あら、あなたは」緑鳥ひなは口を開いた。
ピンク色の髪でツインテール 身長はリアスと同じくらいであまり150くらい。
目がくりくりしてて少し幼い見た目をしている。
とても18歳くらいとは思えない。
誰もが知っている存在である。生徒会長。
「しえり〜」
「普段と逆転してるよ?」
西村しえり この学園の生徒会長であり、辰巳詩音の親友である。
この学園で一番有名人であり、辰巳詩音、鎌城春香と三大有名人と言われてる。
鎌城春香は、大食いファイターだからかなんでかは知らん。
「皆さん、生徒会長の西村しえりでーす!って知ってるか、話は聞いてたよ。」
そういうと生徒会長は周囲を見渡した。
「個性派ぞろいで面白い!流石は詩音ちゃんだ、皆安心して、詩音ちゃんはどちらかを蹴落とそうなんて考えはないから、公私混同なんて今までしたことないし、だからどちらかに軍杯が上がっても責任は詩音ちゃんが絶対持つから」
「あんまりプレッシャーかけないで」
辰巳先輩は余計なことをみたいな目で生徒会長を見ていた。
「あの〜」
そろ〜っと後ろから天宗瑠璃が話に入ってきた。
「なんでしょうか?」
辰巳先輩は天宗の声に耳を傾ける。
「帰っても大丈夫ですか?」
えっ?と皆、驚いたように声を揃える。
俺もその1人だった。
「ちょっと用事がありまして、まだ長引くようだったらと思って、ごめんなさい」
天宗瑠璃はそういうと部室から出ていった。
「せっかちな子ね、あの子と私たち上手くいくのかしら?」
「リアス的にいうとですネ、この男が影響してそうデスよ」
リアスはそういうと俺を指さした。
「え?俺?」
「え?俺?」と真我も真似をしたら、リアスにどつかれた。仲良いなこいつら、そして真我、お前は帰れ。
「ずっと月下くんみてたね〜、キョロキョロして面白かったな〜」
鎌城春香は菓子パンを食べながらそう言ってた。
「月下ちゃんも隅に置けなませんな」
ニヤニヤと西村生徒会長は俺に向けた。
「何も無いですよ、部活動はきちんとしますので」
「くれぐれも不純異性交流はやめてね、月下ちゃん」
なぜちゃんずけなのかはわからないが、釘を刺されたみたいな気がした。
合同部は1人かけて、アイドル研究部も生徒会長の登場でゴニョニョと作戦会議してるところで、納得はしてるのかどうかはわからないが、どうやらあちらさんが有利みたいな感じがしてきた。
合同部ギスギスしなければいいが。
目を他のところに向けると、緑鳥先輩はメジャーを取り出していた。
「何してんすか」
「何って決まってるじゃない、本棚のサイズを測ってるのよ」
その一言ではっとなった他の面々も部屋のサイズに合う家具のサイズを測り出す。
「ちょっと皆さん、早る気持ちはわかりますが、まだこの部室はどちらも権限はないんですよ、決まってからそういうことはしてください」
辰巳先輩はそう仕切ると、各々の手は止まった。
「もう少しだったのに」と舌打ちをする緑鳥先輩。
俺は呆れながら、ドンマイという感じのジェスチャーを送った。
「アイドル研究部は、納得したかな?」
西村生徒会長はアイドル研究部に問うと、アイドル研究部部長さんは首を縦にふった。
「まぁ、一個人生徒権限ではなく、生徒会で判断されるのなら」とアイドル研究部部長は不満げはあったが、納得してるようだった。
「みく達は仲良しだけど、そちらはあまり仲良くないようだから、仲良くなってから部活はじめたら〜」
一年生のみくという女の子は嫌味の様に言ってきた。
ちょっとそんな言い方はと2年アイドル研究部が注意する。
後ろの緑鳥先輩とリアスはイラッとしてるようだった、俺もその1人だが、同時に図星をつかれた気がした。
集まっただけで、部活はできない。
個人個人が部活すれば、それでいいかと思っていたが、考えてみれば知らない同士が同じ部屋に集うわけだ。
ギスギスした中でやるのは正直嫌だ。
伝説の合同部のメンバーと同じ運命を辿る事になってしまう。
「みくは本当のこと言っただけだし、それにみく達はアイドルやりたいの!!そっちの寄せ集めみたいな中途半端じゃなくて、本気なんだよ!だから邪魔しないで!」
少し泣きながら本音をぶつけられた。
ここまで言われたら、不純な動機の俺たちには眩しすぎて何も言い返せる気がしなかった。
俺たちは幽霊部員を集めるより酷かった。
合同部という聞こえがいいものに乗せられて、部活できる気がしていた。
完敗だ。そう悟るしかなかった。
下を向いた俺たちは、辰巳先輩が察したのかこの場はお開きになった。
生徒会長の西村しえりさんも、アイドル研究部の部長さんらも気にしないでと言ってくれたけど。
あとみくとかいう1年は2年の人に注意されていたが。
俺たち、このメンバーで部活できるのか疑問が残り、それしか頭に入ってこなかった。
俺たちがすべきことは、それではない。
顧問を確保したり、部室を確保するのではない。
本来部活設立で大事なことをしてなかった。
それは合同部故の盲点だった。
それは、合同部に属するメンバーであるお互いを知ること。俺だけが知ってても意味がないってことだった。
闇雲に俺だけ動いて、勧誘して、突っ走って、それで部活設立しても意味がない。
根本的に、まだ時期が早い、本来すべきことは、まだ残ってる。
そこを解決してから部室確保でもいいはずだ。
俺はそれを繰り返し考え、辰巳先輩へどう話そうか悩んでいた。
次の日の放課後、合同部に入りたいことを話す白石真我を置いて合同部予定メンバーに連絡。
そしてその前に生徒会室のとある部屋の前に来ていた。
ドアをノックし、部屋の主がどうぞと声がしたので入った。
「来ると思ってたよ、英雄さん」
辰巳先輩はそういうと口をにやりとし、襟髪を触った。
「その様子だと俺が言いたいことも分かってるみたいですね」
「ええ、昨日のあの様子を見たらね、できたら会議前に会うのはよくないんだけど、まぁいいや」
座っていた椅子を離れ、俺の近くまでやってくる。
辰巳先輩のいる部活動統括部門の部屋は誰もいない、二人きりだとやはり緊張する。
今から話すことも相まってだが。
相談せずここに来てしまったことは、他の合同部予定メンバーに申し訳ないが。
「部室は諦めます、皆にはまだ相談してないんですが、まだ俺たちは合同部になるには、早いかなと」
はぁと辰巳先輩は溜息をついて、くるくる回る。
「昨日言われたことが響いたか〜、うーん、なんとかすると言ってた手前もあるけど、勢いじゃやっぱだめか〜」
うーんと唸りながら辰巳先輩は動き回る。
「アイドル研究部さんに悪い気がしたのもありますし、自分たちは昨日お互い顔合わせたのが初めてなので、準備不足だったかなと、この後一応集まる予定なので、今後どうするか話し合おうと思います」
「そっかー、わかった!でも一応部室はまだ決定ではないから、諦めることはちゃんと相談してね、他に空いてる部室ないか、もう1度確認してみるし」
「何から何までありがとうございます」
「ううん、自分がやりたいからしてるだけだし、正直英雄さんがここに来てくれて少し助かったのもある」
辰巳先輩は動き回っていたのをやめ、俺の前にある椅子に座った。
「やっぱり、決められなかったとかですか?」
「アイドル研究部に恨まれるのも嫌だしね、生徒会長はあれだし、最終的には私が決めないといけないからね」
椅子から立ち上がった辰巳先輩は俺の前に立つ。
「だからね、ありがとうと思う、でもごめんとも思う、ここからはあなたが頑張るしかないから」
そりゃそうだ。あのメンバーに立ち会わないといけないのだから。
「できることはやりますよ」
「そう?なら期待してる、合同部がまとまったらいつでも申請書の提出待ってるから」
そういうと辰巳先輩は新しい申請書を俺に託した。
「辰巳先輩は入らないですか?合同部、ルシファー部とか作りません?」
「理想的だけど、私の居場所はここだから」
作り笑顔をみせた辰巳先輩は少し寂しそうでもあった。
「そうですか、じゃあ俺今から行ってきます」
「うん、頑張ってね英雄さん」
俺は辰巳先輩から背中を押された。
「ありがとうございます」
そういうと俺は部屋を後にした。
「さてと、生徒会に報告しないと」
辰巳詩音は生徒会長のいる部屋に移動した。
そして俺は合同部予定のメンバーを呼び出した空き教室に向かった。