015(完結編) ツヴァイ・アドラー
2人の鷲は、天を見上げる。これが、自分達の人生の終着点であるのは言うまでもない。ここで終わりだ。それが良いか悪いかは置いておく。相手はこの星の生命を殺しにかかっているのだ。良いか悪いかは問題外だ。
貰った命。拾った命。2人の鷲は、それぞれの命を燃やす。燃えて、燃えて、燃やし尽くすのだ。この宇宙の何処からでも見える様に、燃え盛る。
「軍団」は、地球の空を覆い始めていた。太陽の光が、地上にはささない程に、分厚い層を作って、地球の空を覆い隠す。こうすれば、地球の生命はいずれ全てが暗闇の中に消えていく事になる。
全ての生命が、何もしないままに、空を見上げる。これが運命なのか、これが宿命なのか、暗闇の中に消えていくのが、自分達の最期なのか。
急速に暗くなっていく地球の中で、全ての命が、空を見上げていた。その刹那、暗闇の中で太陽の如く輝く2つの星が現れる。鷲だ。2羽の巨大な鷲が、地球を照らしている。
空を見上げる全ての命が、その鷲を見つめる。2羽の鷲は、地球を覆う軍団に向かって翔んでいく。触れるものは全てが燃え上がり、消えていった。2羽の鷲は全ての軍団を灰にすると、地球と月の間に居る存在へと向かっていく。
「この統制者1号、自分の産み出した被造物に襲われるとは思ってもいなかったぞ」
そうか。これが初めてだ。良く覚えておけ。
「ここを通って、月へ行って、どうするつもりなの?」
統制者0号を打ちのめす。
「……面白そうじゃないの。やってみなさい。但し、ここは通さない」
それで良い。それがお前達の役割ならば。
全ての命が、空を見上げる。2羽の鷲が戦う姿を、その目に焼き付ける様に見つめる。他ならぬ自分達の為に戦っている2羽の鷲の為に、一斉に吠える。
「負けるな」
その咆吼を言葉にすると、そうなっていた。負けるな。必ず勝て。そして、生きて帰ってこい。みんなで、待っているぞ。
うぬら「鷲の精神」は、「もののあわれ」を何と心得る。
「俺だ、俺達の事だ」
もっとハッキリ言え。
「俺達のものだ。それをどうあわれるのかは、俺達が決める」
なる程、人権という奴か。
「そこまで自惚れていない」
この統制者0号、うぬらを歓迎してやる。打って来い。そして、うぬらの「もののあわれ」を教えてくれ!
その日、月が一際強く光り、瞬いた。全ての命が、一粒の涙で瞳を濡らす。
「あなたらしい、最期だったわ」
「お前に育てられた事を誇りに思う」
「彼を育ててくれてありがとう」
「疲れただろう。ゆっくりしろ」
「また転職活動か、嫌だな」
生き残った者達は、そう言って、日々の営みに戻る。
完




