兎歩は見た……の巻!
「どうしてフルエレがハッチに入って蛇輪が起動するまで確認しなかったんですかっ!? それでその後倉庫内はどうなったんですか? 蛇輪が飛び出す所は見たんですよねっ!?」
スナコは鬼の形相で兎幸の両手首を握り持ち上げて問い詰めた。
「ふ、ふえ、早く砂緒を喜ばせなくちゃって思って、すぐにUターンした」
「じゃあ、フルエレが乗り込む所も飛行する所も倉庫の内部も観て無いんですね!?」
「ふ、ふえええ、そ、そうだよ……ゴメン」
「何やってんですかああ!!!」
ゴシッ
スナコは後頭部に激しい痛みを感じふり返ると、姫乃が落ちていたレンガでスナコを殴っていた。
「兎幸さん泣いているじゃないの、離してあげなさい!」
「痛いですね、わたしが美白にする為に硬化して無かったら死んでますよ」
「こっちにいらっしゃい」
ぎゅむっ
姫乃は兎幸を抱き締めた。
「うえええ」
ブチッ
「お前だあああああ! お前のせいでフルエレが行方不明になったんだああああ!!」
今度は砂緒の怒りは姫乃に向いた。
「きゃあああああ離して下さいっ」
「もう許しませんよっ貴方が来るから私の心は乱れ、フルエレは嫉妬と悲しみで姿を消したんです!」
砂緒の中で良く分からない論法が出来ていた。そのまま勢いで押し倒してしまう。
「どうするつもりですか?」
「ど、どうもこうも心の隙間を埋める為に取りあえずキスします! ん~~」
グギギッ
迫る砂緒のアゴを下からクイする姫乃。
「やめなよ~フルエレが心配じゃないの?」
「心配だからこうでもしてないと気が済みません!」
「滅茶苦茶ですわ」
ゴシャッッ!!
「げびっ!?」
ドシャッ
白目をむいたスナコはそのまま気絶して倒れた。
「お前は!?」
「あぁ有難う兎歩、助かりました」
姫乃は兎歩に手を取られ起こされる。
「全く油断も隙も無いポ、こらバカ姉、お前がしっかりして無いからこうなるぽ」
「く、くそーーっ兎歩のアホーーーッ!!」
ギューーンッ
兎幸は泣きながら飛んで行った。
ペチペチ
兎歩は気絶するスナコの頬を叩いた。
「気絶してる様だぽ……しかしコヤツの生命力は油断ならぬポ。場所を変えましょう、お伝えしたき義が」
「わかりました」
チラリとスナコを見てから姫乃はその場を後にした。
ザッザザッザ
ー宿直室
ピシッ
姫乃はふすまを固く閉じて正座をする。
「兎歩、これで大丈夫です。何を伝えたいのですか?」
「はい、実はカクカクシカジカ的な……」
ほわんほわんほわ~ん
あれはスナコが姫乃様をフルエレ様だと言い張った直後だぽ、スナコと兎幸が逃げる本物のフルエレ様を追い掛けている時に追い抜いた我は、さらにフルエレ様を上空から監視していたぽ。
ー港湾倉庫街
ギューンッ
「むむ、兎幸のヤツもうUターンしおって手抜かりだぽ」
にゅにゅっ
我は手抜かる事無く、倉庫の中を窓から覗いたぽ。
「ヒミツ警備兵が倒れているぽ、ゲゲッそれにフレエレ様が妖しいヤツラに襲われているぽっ、ここはカッコ良く助けに行くぽ」
ザシュッビシュッ!
「ゲゲッ気付いたら砂緒と一緒の顔した妙な男に助けられて行くぽ!?」
ドシューーーッ
そのまま蛇輪は砂緒顔の男が操縦して飛んで行ったぽ。
ー洋上
ズシャーーーーッ
そうしてしばらく飛んだ蛇輪は、巨大な板をのっけた妙な船の上に着艦したぽ。
「ギョギョッ、お姫様抱っこされたフルエレ様が砂緒顔の青年に艦内に連れられて行くぽ」
ほわんほわわ~ん
「えっシューネがフルエレ女王を、連れ去り……」
兎歩の衝撃の情報に姫乃は頭がグランとした。
「我が女王よ、シューネ殿とは一体?」
「わ、わたくしの幼馴染で神聖連邦帝国の重臣、決して妖しい者ではありません。偶然居合わせて危ないフルエレ女王を助けたのでしょうが……紳士かつ騎士道精神の塊、かつ女性に全く興味の無い朴念仁のシューネが何故さらう様な真似を?」
兎歩はジトッとした目で見た。
「……まさか姫乃様はシューネ殿に御好意が?」
「い、いえ、何を言うのですかっ!?」
カーーッ
姫乃は燃える程に頬を真っ赤に染めた。
(シューネ殿の顔は砂緒がエロい事考えてる時と全く同様の妖しい顔をしておったぽ)
「取りあえず、雪乃フルエレ女王に危険は無いのですぽ?」
姫乃に乗り換えたとは言え、フルエレも心配な兎歩だった。




