わらわが姫乃ソラーレじゃぞぇ
「ほらよっ返してやんよっ」
『ふっまあ良いであろう。感謝するぞ』
短期転校生達はジタバタするX子だと思われてるフルエレを、ステージダイブしたロックスターでも持ち上げる様に運び始めた。
「よし床に降ろして早速目隠しを取ってあげましょう!」
「待つんだK子君ここではマズイ」
「とにかくアジトに運ぼう!」
短期転校生一味もX子の中身が男のサッワであった場合、退学処分どころか交通警備兵案件なので、慎重にならざるを得なかった。もちろんまだ、彼らは聖帝の娘である姫乃ソラーレが単身ここに来ているとは知る由も無かったが……
『では我らは早速本部に戻らせて頂く、ではまた会おう雪布留さんハハハハ』
ばっさ~
山〇百〇の様にマイクを置きマントを翻し、Nは生徒達と共に暴れるX子(実は雪乃フルエレ)を頭上に抱えて帰り始めた。
ジタバタ
(ぎゃ~~さらわれる!? 助けて砂緒っセレネっ)
「いけない、兎幸行きますよっ!」
(しまった、朱金剛からどんどん離れて行く!)
「うん、早く取り返さないと」
「あっ砂緒待って!」
ぴょいーん
叫ぶ姫乃を無視し砂緒は操縦席から飛び降り、兎幸はUFOで上空監視に移った。
キュキュッ
『まちなさーい私もついて行くわっ』
ホワイトボードを掲げ、スナコちゃんがコーチN達を追い掛けようとした時だった。
ズザーーッ
目の前にそれまで息を潜めていた生徒会長ユーキュリーネが突然飛び出して来た。
「お待ちになられて」
『何ですか?』
「彼女らはセレネ女王もお認めになった客分ですわ、プライバシー保護の観点から付いて行く事を禁止致します」
『セレネ!』
「ぐむうう、あたしが保護すると決めたのは事実だ」
セレネは本気でX子と雪布留が入れ替わった奇術を信じている。砂緒は真実を告げるべきか迷っていたが、その間に雪布留は連れ去られて行った。
ビューンッ
それを密かに上空から追い掛ける兎幸だった。
(兎幸頼みますよ……)
ー家庭科準備室(現短期転校生アジト)
ガチャッ
フルエレを運び込んだ一味は、彼女を乱暴に床に降ろすと鍵を閉めた。
どさっ
「さてっ早速目隠しを外そうか……」
「さんせー!」
K子F子ヌヌノノ達はX子の仮面を外すと、口と目を縛っている布をほどいた。
パッカ、シュルシュル
「ぷはぁーーーっ死ぬかと思ったじゃない!!」
シィ~~ン
顔がラクになって叫んだ雪乃フルエレを、一味は時間停止した様に固まって凝視した。
「あ、え?」
「あれ、雪布留さん? サッワはどこ行ったん??」
「金髪だしねえ」
「いや、じゃああの朱金剛の掌にいた彼女は? え、つまり我が主君の?」
「エーーッそれはヤバイのっ」
「いや、髪の色からしてあっちがそうだよなあ」
混乱する転校生達を前にフルエレはそ~っと立ち上がった。
「あ、じゃあ、皆さんでヨロシクね!」
そ~~っ
シュタッ
しかしこれまでの無能が信じられない程の速さでコーチNが立ちはだかった。
「待って頂こう。貴方は雪乃フルエレ女王、それか姫乃ソラーレ殿下どちらなのですかな?」
もはや担当直入に聞くコーチNだった。
「えっとアハハハ」
(どっちが正解? 今どっちって言う方が正解なの!? とにかく砂緒とセレネに会わなきゃ、いや……砂緒が私の偽物を雪布留とか呼んでたし。でも砂緒が私の事裏切る訳無いし! でも偽物X子の正体って私に似てる似てるという姫乃さんだったの??)
彼女は普段使わない脳みそをフル回転させた。
「サッワかも知れないの~」
「いや違うでしょ」
「わ、わらわは姫乃ソラーレじゃぞぇ! 図が高い皆の者控え~~い!!」
フルエレはふんぞり返って宣言した。
「はは~~!!」
「はは~~!」
皆の衆は条件反射で土下座してしまう。
「……じゃ、そゆことで私は散歩に行きま~す!」
パシッ
腕をつかまれるフルエレ。
「恐れながら待って頂きたい、どの様にしてここに来て、何故髪の色が違うのです?」
「この無礼者っ手を離すのです!」
「N手を離せよ」
「私はクラウディア王国出身者である事をお忘れなく」
K子もF子もヤバイなと感じた。
ドンドンッ
その時、突如激しいノックの音が。
ドキーンッ
一味の心臓は止まりそうになる。
「猫呼ですっお兄様なのでしょう!?」
「猫呼?」
「今だ脱出!!!」
ガチャッガラッ!
スタタタ
Nの手が緩むと隙を突き、フルエレは超高速で鍵を開けそのまま逃げだした。




