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『最終回』のメタい姉とメタい弟




 物語はいつもの六畳一間からはじまる。

 ベッドに座る姉さんと、パソコンに向かう俺。

 いつもの日常。

 変わらない物語。


 それも、もうすぐ終わり。


「今回で最終回らしいよ、弟くん」


「そうだなー……」


 まぁだからって話すことなんて特にないんだけどな。

 気づけば二十話超えてたし、いつの間にか一か月近く続いてたし。

 もう話すネタも正直ないんだなぁー……いや、それは言いすぎか。


「まぁいつかは物語も終わるもんさ」


 はじまれば、終わることもある。

 しっかり終わらせられるなら、それはそれで喜ばしいことだ。


「えー、寂しいよー。もっと色々喋りたいよー」


 ぼふんぼふんと飛び跳ねながら姉さんが不満の声を上げる。

 俺はそれを横目で眺めながら、いつものようにぼーっとパソコンをいじる。

 さびしくないかって言えば、嘘になる。

 でも、それでも物語は終わる。

 ……つーか、結局俺たちの設定決めないまま終わったな。

 いいのかな、これ。


「そうだよ! 私なんて貧乳でパンツ見せて終わったままだよ? とんだ痴女だよ!」


「大体合ってるじゃん」


 家に押しかけてきて、姉を名乗って、パンツ見せる。

 あと適当に相槌を打つ。

 それが姉さんでしょ?


「違うよ! もっと……こう、なんか……もっと色々あるもん!」


 あぁはいはい。そうだね。あと料理も上手いね。

 ……あと他にあったっけ?


「ひどい! 一応、主人公である弟くんの次に目立ってるのに、扱いがひどい!」


「これ、そういう物語だから」


 まぁ、もう終わるんだけどね?

 姉さんがどんだけぶーたれようと、俺たちの物語は終わる。

 明日からは俺もアニメ三昧の日々に戻るのだ。

 主人公ではない誰かに。

 明日からはなるのだ。

 それでも、俺自身の物語は続くけどね?

 三流アマチュア小説書きが書く物語ではない、俺だけの、俺が綴る物語。

 それがまた続くだけの話。

 ……なんか俺、カッコいいこと言ってない!?


「言ってないわよ。馬鹿じゃないの?」


「妹!? いつの間に!?」


「『いつの間に!?』じゃないわよ! 最初からいたわよ!」


 あぁ、うん。まぁ知ってたけど。

 キリリと瞳を怒らせた妹は、俺と姉さんの間にあるテーブルに頬杖つきながら座っている。

 やっぱ最終回くらい登場人物全員出しとかないとな。

 いや、主人公の俺が気にすることじゃないけどさ。

 なんとなくそう思う。

 

「……これからは物語関係なく、アンタのとこに来るからね」


「あぁはいはい。まぁ好きにしろよ……」


 ぶつぶつつぶやく妹に投げやりな返事を返す。

 どうせ嫌って言っても来るんだろ。いいよもう。

 つーか、物語が終わったら妹とかどうなるんだろ?

 やっぱりアレか? これまでは妹っていうのもあくまで設定だったから、これからは普通に名前で呼び合ったりするのか?

 やばっ、年下の女の子をちょくちょく家に連れ込むとか、なんか犯罪臭いぞっ!?


「妹ちゃんばっかりズルい! はいはいっ! お姉ちゃんも来ます! 弟くんに会いに来ます!」


 姉さんが元気に手を上げ自己主張をはじめたので、俺は「はいはい、好きにしろ」と降参のポーズを取る。

 つーか、そうすると姉さんも姉さんじゃなくなるのか。

 なんかややこしいな。

 今更名前で呼び合うのも変な気分だ。つーか、『設定がなくなる』とか言い出したら、もうこの世界の法則が本格的に乱れてくる気がする。

 「姉じゃないのに今まで通ってたのかよ」とか「妹って結局なんだよ」とかね。

 ……ノリで『設定なくなったら』とか言わなきゃ良かった。


「これ、そういう物語なんでしょ?」


「あ、ハイ……」


 ジト目で呟く妹に思わず肩を落として答える俺。

 まさか最後になって妹に諭されるとは思わなかった。

 お兄ちゃん、情けない!

 ……兄になった覚えはやっぱりないんだけどな。

 もちろん姉もいないはずだが、今更だ。

 って、これももういいか。

 ――この物語は、今回で終わりだ。


「――……よし、物語を終わらせようか」


 俺は椅子から立ち上がり、姉さん達の顔を順々に見る。

 つっても二人だけどね。

 ベッドに座る姉さんと、あいかわらずテーブルに頬杖ついてる妹。

 ちょっと寂しそうに笑う女の子と、つまらなさそうにふてくされる女の子。

 ホント、この物語が恋愛モノだったら嬉しかったんだけどなぁ。

 あいにく、そういう物語じゃないから。

 ベッドに腰掛ける女の子が、小首を傾げる。

 長い髪がさらさらと肩を流れていって、布団に垂れた。

  

「終わらせるって、どうするの?」


 小さい桜色をした唇から、可愛らしい声が漏れる。

 俺には、小首を傾げたポーズも相まって、子犬が甘えているような声色に思えた。

 ……まぁ実際はそんな可愛らしいもんじゃないと思うがね。


「どうせクソ兄貴のことだから、思いつきで言っただけでしょ」

 

 対するように頬杖をついていた女の子も口を開いた。

 やや吊り気味の瞳を伏せ、つまらなそうに自身の二つに結んだ髪の毛先をいじくる。

 ホント、こいつはこれでもかっていうくらいテンプレだな。別にいいけどさ。

 俺は、答えた。


「二人は、何にもわかっちゃいない」


 わかっちゃいないことすら、わかっちゃいない。

 主人公が終わるって言わなくても、物語は終わる。

 それは主人公の意思とは関係なく。

 いつだって、物語ははじまって、終わる。

 この物語だってそうだ。

 物語ははじまらなきゃ、終わらない。

 進まなきゃ、終わらない。

 でも、逆を返せば、進めば、終わる。

 それだけの話。


「――あ……」


 ――いや、ちょっと待て。

 終わる前に言うことあった。


「ん? なになに? お姉ちゃんへ最後に感謝の言葉があるとか!?」


「いや、それはない」


 つーか感謝とか別にしてないし。

 せいぜい飯代が浮いたくらいだし。それ以外で感謝することないし。


「じゃ、じゃあ、もしかしてアタシにじゃないでしょうね!? べ、別にアンタがどうしてもっていうなら聞いてあげないことないんだからねっ!?」


「いや、それもない」


 むしろお前は姉さんに感謝しろよ。

 姉さんのセリフがなかったら、妹は登場すらしなかったぞ。

 つまり、姉さんは妹の母でもある。

 これ、もうわかんねぇなぁ。

 ってそうじゃなくてだな。

 

「――この物語をどれだけの人が読んでるかしらないけど、今回で最終回だ」


 これで終わり。

 続きはありません。

 大体でアレだけど、三百人くらいアクセスあったらしいよ。

 びっくりだ。

 そこで、だ。


「もし、これを読んでる人が居て、なおかつ『やってやってもいいよ?』と言う人には、お題を出そうかと思う」


 それは――。


「――『俺たちを、どんな物語でもいいから登場させること』」


 こんな設定も何もない登場人物である俺と。

 よくわかんねぇ設定あやふやな姉さんと。

 たまに見かけるツンデレ金髪ツインテールなテンプレ妹。

 この三人、または誰か一人を、誰かの物語に登場させる。

 さっき規約読んだんだけど、どうやら規約的には問題ないっぽいから、どうぞどうぞって感じで。

 これが、俺からのお題。


「ね、簡単でしょ?」


 三流アマチュア小説書きが書く物語じゃない。

 どっかの知らない誰かが書く物語。

 このお話はもう終わるけれど。

 もし、どこかで俺が、姉さんが、妹が出てくるとすれば?

 忘れられるはずだった俺たちの物語。

 でもどこかで続くとすれば?

 それは、今から出来る物語だ。


 ある日、三流アマチュア小説書きの物語の主人公にされた俺の話は、これでおしまい

 三流アマチュア小説書きの物語の主人公になった俺と、同じく登場人物にされた姉の物語は、終わる。

 作者が飽きたから終わる。 

 

 ――だけど。

 

 もし誰かの気が向けば、続きはそこで。




 どうも、作者のみぺこです。

 そういうわけで『ある日~』は完結です。ネタはないわけではないんですけど、ひとまず終わりということで。

 なんか『メタくて痛々しくて自己満足120%』を目標に書いた作品ですが、小説っていうか、もはやネタ帳的なお話でしたね。

 作中という表現をするのも恥ずかしい感じですが、『このお話にでてきた三人を物語に出す』というお題。

 もし気が向いた方が居たら、ぜひお願いします。

 一応、規約だと『作者の許しがあって、表記があれば問題ない』みたいなので是非。……設定はないけど。

 もし「やってやるぜ!」という猛者が居ましたら、良識の範囲内で使ってやってください。できれば一報入れてくだされば嬉しいですが、特に報告も必要ありません。

 ただし、お題の使用は『小説家になろう!』内での作品に限ります。

 ……なんだかんだで最後まで自己満足120%出来て、私はとっても満足さんです。

 そんな感じで。

 ここまで読んで頂いて、ありがとうございました。

 また機会があれば、他の作品でもよろしくお願いします。

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