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可笑しい少女


其所は穏やかな平原だった。

巨大な、天使とその天使の掌には若干目の死んだ少女がいる。年若いのになにか人生に対して投げやりな空気を感じる。まるでもう何もかも終わりとでも思ってるようだ。



ユキナと共に王都のあるという東の方角にある森を特になんの問題もなく抜けた。運がよかったのか森に危険な魔物が出るとユキナが言ってたが見掛けることはなかった。ただ彼は魔物の代わりに逃げる動物だけは沢山見た。


色々な種類は居たがあまり可愛い動物はいなかったが猫は可愛かった。また戻って来るときに出来ればペットとして連れ帰りたいなと思っている。


しかし神殿に戻るのは何時になるかは判らない。

振り返ると森と神殿のあった山が見える。こうして見ると特徴的で高い。記憶を消した憎いアンチキショウ(魔神)を捕獲してあの山の上にある神殿に連れ戻し再封印しなければ。


その為にも魔神を見付けなければいけないが……魔神が何処に居るのか。王都に情報収集。


森を抜ければのどかな平原だった。

王都はこの更に東、今さらだが目的地の場所が東だけだと大雑把過ぎると気付いた。


彼はユキナに聞いてみた。


「ぇ……はい、恐らく彼処の大きな川が王都まで続いてるはずです」


少し自信無さげな言い方だが確かに川がある。あの川の先、彼は川を辿った先に視点を向ける。


ん?


川の先を見ると遠くに海、いや大きな湖と複数の建物、町みたいなのが見える。


アレが王都なのだろうかと思うが、しかし川が分岐した先で東とはズレてる様に見える。ユキナにあそこが王都か訊ねた


「…い…いえ彼処は、王都ではなく……ティアーレンの町です。おそらくですけど」


興味本意でどういう町なのか聞いてみた。


「え、あの町ですか…あの町は…えーー……ティアーレンの町は近くの湖に大精霊が居て他にも精霊と妖精が住んでいて、町にも精霊や妖精が来る珍しい町だったと……思います」


妖精や精霊、何だろう。姿形は思い出せないのに小さくて可愛いイメージが彼にはある。


「……あ、あのどうかされたのですか」


少し考えてから答えた。妖精がいて珍しい町と言うなら来る人も多い。少なくとも村よりは遥かに大きいから情報も多いはず。だから行こうとユキナに提案した。


「え、えぇ!?い、行くんですか!……妖精や精霊を見にですか……そのーーですね!ええと……せ、精霊たちは臆病で大きい方が…苦手だと……なんでもないです」


大きいのが苦手、苦手。また怖がられる。

彼としては可愛い妖精に怖がられるのは不本意。

ユキナの話では今度は天使とか種族の問題でなくサイズの問題。


妖精に会いたい。いや、情報収集をしたいと強く思っていると、ちょうどいい記憶を思い出した。


彼は記憶にあるモノを早速試そうとユキナを下ろす。そして先程思い出した記憶の技を実行した。


彼の全身が赤黒く光る。


「な、なんですかぁ!!?」


ユキナは全力で逃げて木の陰に隠れた。

そんなユキナはともかく光がドンドンとまるで溶けるように小さくなり、遂にはユキナとほぼ同サイズ。


小さくなったと言うより人に変化。

彼は種族を変える便利な能力を持っていた。


とりあえず岩陰でまるで爆弾が爆発するみたいに頭を抱えて丸まっているユキナをつついた。光っただけで大袈裟に反応しすぎでないだろうか。


ユキナが恐る恐る立ち上がった。


小さくなるとユキナの全体が良く見える。同サイズで見ると何処かの膨らみがペタンコ。小さくなる前から小さいとは思ってたのに本当に無い。もしや少年だった?と疑うほど。


逆に彼の方を見たユキナは


「!!!!??????」  


姿が小さくなって驚く事はわかる。驚くのは良いと彼も思うが……頬を引っ張るのは止めてほしいと思う。胸が近くにある。ここまで近付くと僅かに膨らみがある様にも…あるようにも?………悲しいので考えない事にした。

とにかく、このサイズなら大きいものが苦手らしい妖精や精霊達を驚かせずに良いだろうとユキナに自信満々に答えた。


「…………あぁそれでそんな素敵な姿に」


何か背中がゾクッとした。

 

小さくなると町がだいぶ遠くになる。元の姿に戻る…そう彼が漏らすと、手を持ってきた。


「そのままでいきましょう」


瞳孔が見開いた目の笑顔に……実は少女が魔神(恐ろしい者)なんじゃないかと疑いをもった。







魂に刻まれた性、前世から培われ性が今彼女の内から目覚めようとしている。


彼女は前世で子供が好きだった。

未成熟な女の子と見間違うような宝石のようなとても素晴らしい……子供ショタが。


違うんです!違うんですよ!!あ、あくまで!二次のショタだけが好きだったんです!!

リアルでそんな事は無い……だから弟とかいますが煩いガキとしか思ってなかった!!二次だけが範疇だった筈なのに、筈なのに!!!


なんですか…なん…なんですかこれは!!


プニプニに柔らかい頬。

スベスベの白い肌。

サラサラそうな金色の髪。

吸い込まれる様な赤い瞳。


なんですか!!この至高のショタは!!


この世界ではスマホやパソコンなどのネット環境が無くて抜け出せた泥沼だったのに!!!……前世の私が残したスマホとパソコンの中身のデータを考えると死にたくなりました。背景前世のおかあさま……どうか何も見ずに消しといてくださいよ!


そんなテラバイトなデータと共に消えた筈だった私の本能が目覚めるなんて……二次しか興味がなかった筈なんですよ……だからお巡りさんのお世話になんて成ることないんですよ。なのになんで私の目の前にこんな現実にあり得ないレベレのショタが!!


……この世界なら年齢差による事案とか無いですよね。いえそろそろ今は少女ですし!30代藻男じゃないんです!だから今なら!合法!!


く、待って……待つんです私!


中身を中身を思い出すんです!


中身を………


ああ…うん、落ち着きました。


私ってアホですか。幾ら外見がヨダ、素晴らしいからと言って……素はアレですよ。素は精細なショタとは真逆なんですよ。


冷静になりふぅと私が息を吐くと何をしてるんだとばかりにショタが首を傾げました。……カワイスギルンデスヨ。


いえいえ落ち着かなければ、落ち着かなければ。

      

「………」


心配したように(無表情で)此方を見る顔はまさに(ショタコンにとっての)天使でした。

無防備、無防備にそんな近付かれると体が勝手に抱き締めてしまうんです!!


「…………」

 

このサイズ感、抱き心地……最高です!!は!落ち着いて……落ち着いて……………


「………………」


ふぁ!!?サラサラ……予想以上に!とてもサラサラな髪!!理性が……落ち着くんです。中身を。中身を思い出すんです……。今の!……外見が可愛けりゃ良いんじゃないですか!?

いやいや!そんなの二次しかダメでしょ!?なに考えてるんですか私は!!


落ち着け落ち着けと腕を抑えていると(頭が)心配そうに覗き込まれました。もうほんとうにかわいい。


可愛いの


……………そう言えば、町に行くなら、プロフィール設定が必要ですよね。私はともかくショタさまが正直に名乗るなんて無理ですし!!名乗ったらヤベェ!ですし!えぇ混乱を避けるためにもプロフィールの設定が必要ですよね。必要ですよね。必要ですよね!!

 

先ず出身はお互いあのフウサの村で関係は勿論……姉弟しかないでしょう。


冷静に考えて他の人に説明するのに極自然な関係となるとこれしかありませんよね。他に無いですよね!他に何があります?赤の他人ですか?恋人ですか?夫婦ですか?主従関係ですか?


普通なの姉弟しかありませんよね?ね!


ショタさまも頷いてくれました。

頷いてくれたんですよ!

弟、ふふ弟が出来ました。


一緒にお買い物して一緒にお風呂も一緒に寝ちゃったりも……キャァァァアア


心なしか距離を空けられてました。

恥ずかしがりやな感じでとても心に来ますね。


あ、名前……今さら思い出した事ですが名前をどうするか相談しました。



え、私が決めてるんですか?


……そんな突然言われましても……ま、マージンとかどうでしょう。あ、いえ、これじゃなくて……えぇーーと……


え?名前の由来ですか………そ…それは、ほら!…あれですよ!…魔神さまを探してるんですよね!だから、天使?天使さまがあかさまに魔神の名前を付けたら相手も反応するかなーと……けど駄目ですよね!別のを考えるので少しお待ちを、え、マージンで良いんですか。本当に……そ、そうですか。


うわぁ……思わず言った名前を採用するんですか、良いでしょうか。


……元からどうにも成りませんしいいですか。


私は……マージンさんと手を繋いで町を目指しました。姉弟の設定なら手を繋ぐことが自然ですよね!……ふぅ


それにしても、ほんの少し前まで町に入るなんて、どんな事になるかと思ってお腹を痛めてましたが今は比較的心穏やかです。穏やかですよ。



人になってるなら大丈夫ですよね。


大丈夫だと良いなぁ。



大丈夫かと言えばあの町も大丈夫なのか少し不安が。あの町って行ったことは無いですけど、妖精の町とか言われて有名で聞くことはあったんです。

ですけど気になるのは……



ゲームだとティアーレンの湖って場所は有りましたけど……町とかあった記憶がないんですよね。










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