19.本格的暗殺実行 後編 その3
やってしまわなくてはならないことはただ一つ。
このホムンクルスを葬り去ることだ。
そしてやらずともよいことは、おそらく本人であろう貴族三人の玉の緒を切り裂くこと。
できれば、傷も負わせずにお終いにしてしまいたい。
となると……、手裏剣だけでなく鉄球を持ってきていたのは幸いだ。
この鉄球は最近貴族の間で流行りのゴルフというスポーツで使う球ぐらいの大きさ。
できれば蜜柑大の鉄球が殺傷力が強くていいのだけれど、それだと他の貴族にも被害が及びかねない。
よし、やるか。
僕は鉄球を四つ取り出し、
「忍法【自在撞球】!」
そして放り投げる!
「愚かな、どこを狙っている!」
鉄球はいずれもホムンクルスとは明後日の方向へと飛んでいった。
むろん貴族にも届かない。
ホムンクルスは侮ったようだった。
「死ね! 死ね、ソイイーター!」
僕はニヤ、と口の端を上げて、
「いや、玉の緒を散らすはあなたのほうだよ、ホムンクルス」
そのとき、鉄球が勢い良くホムンクルスの背に向けて射出された!
これが忍法【自在撞球】の効果だ!
四つの鉄球は誤つことなく敵の背を激しく打った。
「がはあ!?」
緑の吐血! ホムンクルスは崩折れる! そこへ僕の刀による一撃!
首が飛ぶ! 緑血の噴出! 勝利だ!




