別視点3.フォーハンド卿以下四名の密談 後編
三人の貴族に気圧されたシェイクソード卿はモゴモゴと聞き取りづらい謝罪の声を出した。
「しかし、問題は我々への支持がどれだけ広がるか、だ。存外に日和見を決めている者も多い」
ハングドダック卿が言った。バーンドチェイン卿が頷き、
「先日の成り上がり者への脅迫で怖気づいた者も数多あるというぞ。何か対策を打たねば」
と言った。
「ここは残念極まりないがばら撒きを使うしかあるまい。そうすれば、臆病者どもも廃嫡に賛成するだろう」
フォーハンド卿が言った。
ばら撒き。何のひねりもなく、貴族院議員たちに極秘で金を渡して根回しを行うことだ。
その金額はかなり大きい。というのも、アルバ王国統治者である皇弟からの資金援助があるからだ。
「人が金で動くのはいつの世も変わらん。だが、もう少し愛国心を見せてほしいものだ。そう思わんかね」
フォーハンド卿は言った。シェイクソード卿が追従するように、
「真に、真に左様ですな。金ばかりで動かず真の国益というものを見るべきです」
「ふん! ならソイイーターで暗殺しようなどと言うべきではなかったな」
冷ややかにハングドダック卿が言った。シェイクソード卿は縮こまるように再びモゴモゴと何事か言った。誰も聞き取るつもりはなかったが。
カラリ、ギィギィ。
機械じかけが軋む音がした。
「ちぃ、連中め、金は十分すぎるほど払ったはずだぞ」
そう、フォーハンド卿が憎々しげに呟いた。
隠し部屋を塞いでいた戸が開く。日の光が入ってくる。
フォーハンド卿は三人の貴族に手振りで安心するように、と伝えた。




