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青年騎士ジョン
悪役令嬢ことキャサリンの部下たちである騎士団のひとり、ジョンは城に戻るまでの間に先ほどの小さな女の子の勇気に胸を打たれていた。
ジョンはまだ青年騎士であった。騎士団の中でも新人のレベルなのだ。そんなジョンが果たしてこのまま悪役令嬢ことキャサリンに仕えてよいものだろうかと迷いと悩みが生じていた。
このままだと、農村の人々が飢えて死んでしまう。
青年騎士のジョンは、城に帰る途中にこう決意を固める。
今夜にでも、あの村人である小さな女の子に会いに行こう、と。
ジョンは何食わぬ顔をして城に戻る。それから夜になるのを待つ。
今ごろあの小さな女の子は大丈夫だろうか? そんな不安がジョンの思考に絡みつく。村人たちに何かされていないだろうかとジョンは心配して夜を待った。
そして、夜が訪れて、城からジョンは誰にも気付かれずに抜け出した。
青年騎士ジョンの小さな反逆の始まりである。
悪役令嬢の横暴で、あの小さな女の子を失ってはならない。
果たして、青年騎士ジョンは反逆者なのか、それとも英雄なのか? それはまだ誰にもわからないことであった。
続く