本当の行商をしよう。
長くなったなあ。
一週間後に、ネイさんが帰って来た。
凄くやつれている。
しまった、食事を持たせるのを忘れてた!
素材は充分に集まっていたのだが、ネイさんに物凄く恨まれた。
曰く、若い娘さんが空腹のあまりに血抜きもしていないワイバーンの首筋に噛り付き、生き血を啜ってなんとか生き延びる事が出来たとか。
ネイさんが生き延びてくれたおかげで、スタンド達もみんな帰って来れた。戦力的に何かに負ける心配はしていなかったが、ネイさんが餓死してしまう事はすっかり忘れていた。
ごめんね、テヘペロ。次からは気をつけるよ。
「次があると思っているのなら、私のファイヤフレームスカーレットが、あなたを消し炭にするわよ。」
ああ、ネイさんのスタンド、そんな名前を付けたんだ。うん、お似合いだね。
「ファイヤフレームスカーレット、こいつを焼き尽くせ。」
「ザ•ワールド」
止まっている時間の間に、こそこそ逃げ出す。さっきまで私がいた所が、文字通り消し炭になっていた。
「ネイさん、落ち着こうよ。ホントに悪かったって思ってるんだから。」
「うるさい。お前とはもう口も聞きたく無い。とっとと出て行け。」
あらまあ、口調も変わっちゃった。暫くは休ませてあげよう。
ネイさんの粉骨砕身の努力のお陰で、多くのモンスター素材が手に入った。当然ランプータンだけでは処理出来ないので、王都まで売りに行こう。私は王都で商業ギルドに入っているので、店が無くとも卸売なら出来る。小売りで捌ける範囲なら、許可を貰えば屋台だってOKだ。
一番良い馬車を用意して貰い、シリルさんとルカさんと一緒に王都へ向かう。
今回はスタンドが使えるので、三人でも充分だ。
実は、リリルさんは今癒しの天使として、ランプータンでは超人気者なのだ。
みんな、バンソーコー貼っとけば大丈夫そうなキズでも、リリルさんのヒールを受けに来る。
リリルさん、スタンド発動してからマジ天使。バードのスキル取れたら、どんだけ凄いヒーラーになっちゃうんだろう。
とりあえず、この辺の盗賊は壊滅しているので、王都までの道程は問題無い。
カードを確認して貰い、無事に王都へ入った。
まずは冒険者ギルドに挨拶を。
「ひっさしぶりー。ギレンさんいるー?」
「お、おい、ギルマス呼んで来い。」
ギルドの受付の人も、覚えていてくれたみたいだ。
「ランプータン行ってきたよ。ちゃんとアミュレットも返却出来た。ありがとうだよ。」
「おいおい、俺がやったのはギルド登録とギルドカード作成だけだぜ。別に感謝される事はしてないぜ。」
「でも、ランプータンで取ってきた素材を売ろうと思って。商業ギルドに売る予定だけど、一応挨拶はしておこうかなーと。」
「何だと、辺境で取れた魔物素材だと!ちょっと見せてみやがれ!」
「このワイバーンの皮と牙と爪は、商業ギルドがいくら付けても、ウチでそれより高く買い取る。これで作った装備があれば、冒険者の死亡率が絶対に下がる。商業ギルドが貴族様に売るよりも、有効活用出来る。」
「他の素材も、もし商業ギルドで買い取れないものがあったら、持って来てくれ。買い取り価格は安くなるが、全部引き受けるから。」
「みんなありがとねー。サリーダさんのとこに行った後、また来るからね。」
向かいの商業ギルドに入る。
「いらっしゃいませ。本日はどんなご用件ですか?」
今日はサリーダさんは受付をやってないみたいだ。カードを見せて受付をする。
「あらまあ、上級カードにギルマスのサイン入り。少々お待ちくださいね。」
受付のお姉さんが慌てて奥に走って行った。
特に案内もされなかったのでそのままボーっと立っていると、
「あらまあお久しぶり。お元気してた?」
サリーダさんが二階から降りてきた。ただ、その言葉に似合わず、効果音は巨体の為にドッドッドッ!!!という爆音だったが。
「ふーん、あのアミュレットがそんなに大事な物だったの。私も取引先の業者から引き取った物だったから、出自までは調べなかったわ。でも、収まるところに戻ってめでたし、めでたしね。ツグさん、グッドジョブね。」
あれ、オズさんは知らなかったけど、こっちにもGJってあるんだ。
「なにそれ、GJなんて言いかた聞いた事無いわよ。グッドジョブは、良い仕事。そういう意味よ。」
どうやら商業用語だったらしい。更に略す習慣はない様だ。オオカミのアバターのバイク乗りのお姉さんは、会話に苦労するだろうな。
「とりあえず、採取してきた素材を出しますので、査定をして下さい。」
商業ギルドの裏に馬車を回し、モンスターの素材を出す。
「あらまあ、珍しい物ばっかりじゃない。流石に辺境は違うわね。」
あらまあ、って商業ギルドの決まり言葉なんだろうか?
「査定が済んだら連絡するから、連絡先を教えて頂戴。」
やべえ。王都での連絡先って無いぞ。
「まずはどこかで宿を取ってきなさい。あれだけの量の素材だと、査定に三日はかかるから、最低でも四日以上は前払いしておいた方がお得よ。宿が取れたら名前を教えに来なさい。」
「あの〜、こういうシチュエーションだと、お勧めの宿があるものですよね?」
「あらまあ、わかってるじゃない。私のギルドで働いている女の子の、両親がやっている宿屋がオススメよ。ちょっとお値段はお高めだけど、お食事が凄く美味しいの。短期間で快適に過ごしたいなら、『薔薇の花亭』が良いわよ。」
こういう時は、いう事を聞いた方が良いだろう。逆らって、買取価格を下げられても困る。
「では、その宿で、四日分前払いでお願いします。」
「物分かりの良い子って好きよ。サリーちゃん、あんたの実家にこの子を案内してあげて。」
最初に受付してくれたお姉さんが出てきた。
「三人分だから、スイートルームの方が良いよね。三部屋借りるよりは安いし、サービスも良くなるし。」
あかん。ボッタクられそうな気配満々だ。
でも、ここは我慢しよう。これからランプータンで商人としてやって行くなら、安く見られたらいけない。幸い今はお金もある。安く見縊られるよりも、上客だと思って貰わないと。お金、いつ使うの?今でしょ!
「ではそれでお願いします。」
次も長くなりそう(もちろん、ウソかもね)
突然のアクセルブチ込み。




