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第61話 大火災

やはりブックマークや評価をいただくとやる気が出ますね。

更新速度が上がります。

豚もおだてりゃ木に上ると言いますが、鯨七号をおだてたら小説を書くといったところでしょうか。

 周囲からの喝采に答えるシャンディー。

 ……おい。活躍したミントじゃなくてシャンディーが答えるのか。

 当のミントはまた寝るのか俺の中にすぐに戻っていき、代わりに出てきたシャンディーが周囲の観客たちに手を振っていた。

 やんちゃな奴だと思っていたのだが一番のお調子者でもあったようだ。

 さて、一応町の中の戦いはけりが付いた。もしかしたらまだ種が潜んでいるかもしれないが、それを言い出したらきりがない。

 後始末はこの町の冒険者たちに任せるのがいいだろう。

「後は、大元の森か……」

 町の中の戦いが終わったがそっちが残っている。

「というか、そっちで何かあったから、急に種から生まれたと考えたほうが自然か?」

「そうだニャ。たぶんルワーカの奴が大暴れしているニャ」

 いつの間にか近づいていたソーシャさんが俺に答える。

「ルワーカ?」

「この町の大手クランのマスターニャのことニャ。昨夜毒のことが判明した後、毒の果樹の伐採を依頼したニャ」

「大丈夫なのか? 町にいた奴らは生まれたばかりだから弱かったが、森にいるやつらは間違いなく手ごわいぞ」

 ザイルトレントクラスが複数いたなら俺だと討伐は無理だ。数に押されからめとられかねない。ルワーカという人物の実力を知らないため、応援が必要ではないかと思うのだが、ソーシャさんは平然としている。

「厳つい見た目通り実力は確かニャ。それにほら、あれを見るニャ」

 ソーシャさんが示す先を見る。

 なんの変哲もない建物の上。本来なら爽やかな青空が広がっているはずなのだが。

「煙?」

 もくもくと煙が広がっていた。方角は魔物のいる森の方角だ。

「なあ、あれってかなり派手に燃えてないか?」

 自分たちのことで手いっぱいだったから気づかなかったが、煙の広がり具合が半端じゃない。最悪あの森全体が燃えてないか?

「大方、一匹も逃がさニャいニャんて考えだろうけどやりすぎニャ」

「あれは大丈夫なのか」

 街から森までは距離があるためこちらに燃え広がることはないだろうが、森一つなくなるというのは町に大きな影響がありそうだ。

「まあ、木の魔物を一掃するには一番効率がいいのは確かだし、もともとどこにでもある森で採取できる素材もどこにでもあるものだから、大きな影響はニャいはずニャ」

「でも燃え広がるのもまずいですよね。シロキさん」

 言いたいことは分かる。酒で火を消せないか、と言いたいのだろう。

 あまり酒の魔法をそういうことには使いたくないが、しょうがない。

「とりあえず。まず森に行って様子を見に行くか」

 あの大火事だとまずトレントは灰か炭になってるだろうが、ザイルトレントのように地面に隠れている奴がいるかもしれない。アドやミントを近くに連れて行けばそいつらを見つけられるだろう。


   ☆


 森のあった場所は真っ赤に燃えていた。幸いなことに風上にいるため煙も熱風もこちらには流れてきていない。

 轟轟と燃える森の外に斧を持った冒険者がいたのでアドが話かけている。

 おそらくルワーカという冒険者のクランの者だろう。

「クランマスターが一人でこれをやったそうです。っていうか現在進行形で燃やしてるそうです」

「あー、なら戻ってきたら消し始めるか」

「それにしてもBランク冒険者ってすごいですねー」

「一応、俺たちもCランクにならんかと打診されたが、これを見ると安直に上げられなくてよかったと思うな」

 アルファベットの並びだけで考えると、一つ二つの違いだが、歴然たる違いあった。

「Bランクあたりから化け物だとか呼ばれ始めるレベルですからね……」

「まだまだそこまでは遠いな」

「シロキさんは近いですよ。肉体強化もすごいですし、お酒の魔法を使えばBランク下位の実力はあるんじゃないですか?」

「肉体強化はやりすぎると吐くけどな。あと言っておくけど俺は酒の魔法は実力として計算に入れてないぞ」

「? 何でですか?」

「普通の魔法はそれぞれ魔力を使って発動している。その魔力は寝たり食事で回復することは分かっているだろ」

「そうですね」

「だけど、酒の魔法に関しては、まったく魔力を使わずに発動できる。それは便利だし、いざと言う時に使っているのも事実だが、逆に言えばいつどういった理由で使えなくなるかもわからないんだよ」

 原理が全く判明していないため、常に使えなくなる可能性を考慮に入れて行動しなくてはならなかった。もっともそのおかげで酒の魔法に依存しきる心配もないのだが。

「まあ、そういった点では精霊たちの能力に関しても同じだな。あてにはしてない。俺の能力じゃないし、こいつらには好きなようにしててほしいからな」

 今回はミントに魔物の弱体化を頼んだが、できることならしたくなかった。精霊たちの力に依存したくない。

 それに引き受けてくれない可能性も充分にあった。

 精霊はむやみに人前に姿を現さないからだ。

 ……シャンディーはわざわざ人前に出て手を振ってたけどな。

「だから、ミントに頼んだ時も火事を消すときもやれるとか、断言しなかっただろ?」

「シロキさんも難儀な性格してますね。自分のスキルなんですから頼りにすればいいのに」

「そろそろ出せる量に限界はないだろうと思い始めたころだけどな」

 とはいえ、この業火の森を消化するには相応の酒を消費することだろう。

「あ、でもお酒って火を消せるんですか? お酒って火が付くとか聞いた覚えもあるんですけど」

「大丈夫だ問題ない。日本酒は蒸留酒よりもアルコールが弱いからな」

「弱いんですか?」

 ……自分で言ったことだが、弱いといわれると否定したくなった。

「アルコールが強いお酒ってのはたいてい蒸留してるんだよ。蒸留することで水分を取り除いて、アルコールの純度を高めるんだ。だがな、日本酒ってのは蒸留をする前の発酵の段階でアルコール度数は二十度ほどになる。蒸留せずに高いアルコールのお酒は珍しいんだぞ」

「へーそうなんですか」

 気のない返事が返ってくる。俺が勝手に豆知識を披露しただけなのだから当然か。

「あ、無駄話をしてる間に戻って来たみたいですよ」

「おう、無駄話か。お酒飲めないアドには無駄だよな……」

 無駄と言われて落ち込むのであった。

 都合により年末の更新はできそうにないです。

 皆さん良いお年を。

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