第54話 ギルドにて
お待たせしました。短いですが更新再開します。
相変わらず不定期な更新となりそうです。
side ソーシャ
アドとシロキの二人組が帰った後、私も食事を終えて、ギルドのカウンターに戻って情報が集まるのを待っていた。
次第に食堂の客も減っていく。今日は客は少ないほうだった。何しろ、毒殺騒ぎがあったのだ。信頼できるギルドの食堂で食事をとれば安心だろうという冒険者がここしばらく多かったのだ。
そんな中あの二人は一度もここで食事をとっていなかった。それどころかギルドに顔も出さなかった。だというのに森に行ったら、何かあるやら、怪しい果物があるとあっさりと報告した。
正直、怪しい二人と言って過言じゃなかった。
とはいえ、それを否定する情報も充分にある。
毒殺事件が始まったころ、二人はフォーの村にいたことから関与しているわけがないし、”薬師ゴコウ”が身元を保証するなら疑ってもしょうがないだろう。長年にわたってこの町に恩恵を与えてきた薬剤師だ。いまさら町に損害を与えることをするとは考えられない。
そんな風に考えているとギルドの扉が開いた。
「ニャんだ。あんたか」
薬剤師ギルドからの使いかと思ったが、入ってきたのは大柄な男性。この町の大手クラン”マルケアの子”のクランマスター、ルワーカだった。
「何だとは失礼だな。あっちこっちに知らせて回ってきてやったのにその扱いかよ」
「誰も頼んでニャいニャ」
口ではそういいつつもワインの小瓶を投げて渡す。予想していたようでルワーカは戸惑うことなく受け取った。
「で、毒のほうはどうよ? あれで当たりなのか?」
「まだニャ」
「そうか……」
この男は見た目こそ粗暴だが、B+の一流の冒険者だ。町のための貢献度だけなら薬師ゴコウに並ぶ。
今回の毒騒動の時も自ら町の見回りや聞き込みを行っていた。それも無報酬でだ。
依頼も受けずに儲けにならない行動をするクランは疑わしいことこの上ないが、マルケアの子は長年に渡ってそういったクランだった。
汚れ仕事は一切引き受けないが、町のためになる仕事は安かろうと引き受ける。場合によっては依頼に上る前に解決する。そういったクランである。
それはそれで問題があるのだが、信頼のできるクランなのは間違いない。
ルワーカは無言だが、このまま薬剤師ギルドからの連絡がないか待つつもりなのだろう。
「借りばっかり作っちまった」
「? ニャんのことニャ?」
「うちから逃げた冒険者がフォーの村に行っただろ?」
流れてきた駆け出しの冒険者に、冒険者のイロハを教えてやろうとした結果、その冒険者たちは逃げ出したのだった。その結果がゴブリン騒動だった。
「あの冒険者がやらかした話かニャ。あれはあいつらが悪いだけニャ」
「この件が終わったら引っ張ってきて再教育だな。今度は逃がさん」
以前は横から口出しをする程度であったが、今度は本当に教育するつもりなのだろう。相当厳しいものになるだろうが、同情はしない。自業自得だ。
「あの二人は自分にできることをやっているだけだと思うから、あんまり気にする必要はニャいニャ。大体無関係ではにゃいけど、貸し借りを感じるほどのことでもニャいはずニャ」
「そうか……っと誰か来るぞ」
ルワーカのいう通り扉が開いて男が一人入ってくる。今度こそ薬剤師ギルドからの使いだ。挨拶もそこそこに結果を口にする。
「毒物が一致しました。原因はあの果物です」
「わかったニャ」
「ってことは解決したと見ていいな」
「そうだニャ。それじゃあマルケアの子に依頼をしていいかニャ?」
「おう」
「原因となった果樹を切り倒してほしいニャ」
「了解だ。明日の朝一から作業に取り掛かってやるよ。んじゃあ俺も帰って寝る」
「あ、ちょっと待つニャ」
さっさと帰ろうとするのを引き留める。
「果樹の近くに未確認の魔物がいるんじゃニャいかという情報があるニャ」
「未確認? あんな町に近いところにか?」
「正直、どれくらいの信憑性があるのか判断しかねるニャ。ただ頭の片隅に置いておいてほしいニャ」
「あいよ。化け物でもなきゃどうにでもなるし、どうとでもするさ」
ルワーカは帰っていったが、毒が判明したことで仕事ができた。
「まずはギルドマスターに連絡するかニャ……」
忙しい夜になりそうだった。




