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第53話 厄

 日がとっぷり沈み、ギルドに戻ってくる冒険者が途切れたところで、ソーシャさんが疲れた表情で俺たちのところにやってきた。ソーシャさんは邪魔するニャ、と同じテーブルに座り遅めの晩御飯をウェイトレスに頼んだ。

「まだ毒について裏付けが取れていニャいけど、冒険者たちの証言はずいぶん取れたニャ。疑わしいのは間違いニャいニャ」

「裏が取れたらどうするんだ?」

「ここのギルドで注意していてもよそからくる冒険者や商人が知らずに食べる可能性があるニャ。だから実のニャっている木はできるだけ切り倒すことにニャるはずニャ。後は解毒剤を作れるよう依頼を出して終わりニャ」

「依頼を出して終わりって簡単に言うだな。そんなに簡単にできるもんなのか?」

 解毒剤なんぞ簡単に作れるものではないと思うのだが、ソーシャさんは俺たちの顔を見る。

「近くの村に腕のいい薬剤師がいるニャ」

「ああ、ゴコウさんか」

「そうニャ。この町の薬剤師より腕は確かニャ」

「……今さらなんだが、未知の毒だってわかった段階でゴコウさんに依頼してたらよかったんじゃないか?」

「そうニャればよかったんだけど、そうはいかニャかったニャ。当初は未知の毒と言うよりも、既存の毒の未知の組み合わせだと考えられていたニャ。配合された毒だと少し配合を変えるだけで薬の効きも変わってくるから、そのたびにゴコウさんに頼むわけにはいかニャかったにゃ」

 俺たちはゴコウさんの元で解毒ポーションを作ったが、あれは汎用性のあるものの万能な解毒薬ではない。毒を浄化する作用と毒に対する抵抗力を上げるのでたいていの毒に効果があるが、毒の組み合わせによっては全く効かない場合もあるという。

「普通新しい毒がポンポン出てくることニャんてニャいしニャ」

 そりゃそうだ。……って、ポンポン湧くはずのないゴブリンの進化種とあったり、未知の毒騒動にあたったりと珍しいことばかり起こっている。そもそも俺がこの世界に来たのもそんなにあることじゃないだろうから、俺の周りで珍しいことばかり起こっていることになる。

 厄払いでもしてもらいたい所だが、こっちの世界には神社もお寺もないのでできない。

「それにあの人は引退した身ニャ。いつまでも頼っていられニャいニャ」

「まだまだ元気そうだったけどな」

「それでもずいぶんと高齢ニャ。世代交代は必須ニャ」

「でもこれで、この事件は終わりそうなんですよね?」

 アドの言葉にソーシャさんはうなずく。

「どっかの誰かが町にばらまいたりしてニャきゃ大丈夫ニャ。それもこれもまで被害が広がってニャいことからあまり心配ニャいはずニャ」

「一ついいか」

「ニャにかあるのかニャ?」

「俺たちが果物を見つけた場所が一番、アドの危険察知に引っかかる場所だった。その果物の周囲に生息しているかはわからないが充分注意して伐採したほうがいいと思うぞ」

「貴重な情報ありがとニャ。依頼するときには十分注意するよう呼びかけることにするニャ」

 とりあえず、情報は十分に入ってきた。

「んじゃあ、俺たちは宿に戻らせてもらうか」

「ですね。これ以上の情報は薬剤師ギルドの毒の結果くらいですしね。お疲れ様ですソーシャさん」

「お疲れ様」

「お疲れニャ」

 そうして俺たちは宿に戻っていった。

次回更新はずいぶん開くと思われます。少なくとも十月中の更新はないと思われます。

早くて十一月の頭、遅くても十二月中ごろには戻ってくるかと思います。

それ以上遅くなりそうな場合、「活動報告」にて報告させていただくかと思います。

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