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第24話 ゴコウさん

週1、もしくは週2くらいの安定した更新をしたいものです。

一応十九日くらいにも更新できると思います。


 晩御飯のあと、俺はゴコウさんと向かい合って座っていた。アドはというと、ポーションづくりで疲れたのかすでに床についている。

 テーブルの上おいてある、俺の酒を二人で飲みながら念話を始める。

『それじゃあ。ゴコウさんよろしくお願いします』

『うむ、なんでも聞くといい。この酒の分は喋るぞい』

 と言ことで、とりあえず、聞きたい質問をいくつもぶつけていく。

 主にこちらの世界の法律に関するものを聞いてく。今後生活していてほうに引っかかってはたまらないからな。こういうことはまだまだ人生経験の少ないアドよりもゴコウさんに聞いたほうが確実だ。


 で、聞いてみたところ日本人の良識に従っていれば法に引っかかるようなことはないようだった。心配は杞憂だったらしい。とはいえ、日本人の認識とずれはある。こちらでは多少の暴行は目をつぶられがちらしい。レベルによる力の格差があるためか、暴力沙汰が絶えずあり、小さなことまで介入していては人手が全く足りなくなるからだ。

しかし意外だったのだが、酒に関する法律は全然ないらしい。

 酒を造って売ってもほかの商売と同じように税金を払えばいいだけだそうだ。酒であろうと、ただの商品ということらしい。酒税法、禁酒法のたぐいはないというのはありがたい。

 そして飲むことに関しても法律はないとのこと。

 ただし、本能的に子供に飲ませるものではないと分かっているのか、成人するまでは飲ませないが一般的らしい。その成人というのが十五なので日本人の感覚とはずれているのだが。

酒に関する法律がないと分かったのは何よりの収穫だった。

 法律を確認したあとは、こちらの世界での薬草と日本での食材調味料の認識のすり合わせを行った。やはりニンニク同様、向こうの世界で食材とされているものが、こちらの世界で薬草というものはかなりの数にのぼった。意思疎通の魔法をゴコウさんが使ってくれているおかげで言葉でやり取りするよりも圧倒的にはっきりとした情報交換ができた。言葉が通じたとしても植物などの特徴を的確に伝えられるとは思えない。

 その結果、山葵や生姜は薬草として知られており、数は少ないもののしっかりと流通しているとのこと。なおのこと醤油などの調味料がほしくなった。

 他にも、こちらの世界の習慣も確認した実はこっちの世界では風呂は珍しく、この村にはゴコウさんの家にしか風呂がないだとか。

 下水はないがぼっとん便所の底にはスライムが住んでいて、汚物を分解しているとかいう裏話も聞いた。あ、トイレの中に日本酒を流したことあったけど大丈夫だろうか。

 一通り聞きたいことを聞くことができた。ゴコウさんもずいぶん飲んでおり、もう少し飲むとつぶれるだろう。

『シロキは何も聞かないのう』

 いろいろ聞いているはずなのにそんなことをつぶやいた。

『確かにいろいろ聞いてはいるが、込み入った話も踏み込んだ話もしておらん。例えば儂がなんでシロキを引き取ったのか、クウネの奴も言っておらんじゃろ?』

 いつだってそうだった。

 俺は表面的な付き合いばかりで誰とも深くかかわろうとしていなかった。

 必要以上に踏み込まず、むやみやたらに秘密主義だった。

 アドと喋っているが自分のことをあまり話していない。話す時間があまりなかったなどと言うのはいいわけで、これから先時間があろうと、どれだけ自分の内面を話すことやら。

 だからこそ、古い付き合いの幼馴染だとか、高校生時代にグループ分けなどで関わりを持った友人しか俺にはいない。

 異世界に来てもそんなところは全く変わっていなかった。そんな自分にため息が出る。異世界に来れば何か変わるなどと考えていても何も変わっていなかった。

 少し踏み込んでみよう。疑問を投げかけてみよう。ゴコウさんは答えてくれるだろう。

『じゃあ、聞かせてもらっていいですか? あの時の事件のことを』

『事件自体はどこにでもあるものじゃった。山賊が金持ちを狙った強盗。それだけじゃった』

 ことの顛末自体はとことん単純だったらしい。

 少し長い話になると前置きして話だした。

『儂はこの場所に長いこと住んでおる。現役時代はここを離れて旅をしていたこともあいろいろあったのう。旅の仲間と恋に落ちて駆け落ちしたり、魔王に殺されかけたりもしたのう。あの時は死ぬかと思ったわい』

 やはりゴコウさんは壮絶な人生を送ってきたようだ。

『まあ、いろいろあったが、引退してからは、この場所に腰を落ち着かせておった。儂の子供も孫を産んで落ち着いておったし。精霊郷も放っておけなかったしの』

『精霊郷……。たぶん俺はそこから来ました』

『なんとなくわかっておったよ。確信が持てたのは今日なんじゃがな』

『今日?』

『意思疎通の魔法が使えるようになって、いざシロキに使ってみたら複数の声が聞こえてきてのう』

『あー、俺の中にいるパナシェたちの声ですね』

『三匹いるじゃろ?』

『いえ、四匹です』

 一匹は寝てばかりいるんで、意思疎通が通じなかったんだろう。

『むぅ、儂もまだまだじゃの。まあいい、その精霊郷なんじゃが、十年ほど前まではまだまだ結界も強力だったわい。結界の外まで影響を与えておってのう。儂も遠回りをしないとここまで帰ってこれなかったわい』

 ゴコウさんほどの実力者が結界そのものではなく、その周辺にすら近寄れないとなると結界は実力だけではどうにもならないものなのだろう。

『ただ、儂は通れなかったが孫娘は自由に通れてのう。精霊郷の中にも何度も入ってリリエの葉を持って来てくれたのじゃ』

 ゴコウさんは懐かしむような表情を浮かべた。

『何しろ魔物も人も儂も近づけない場所じゃ、小さな孫娘でもなんの心配もしておらなんだ。そのうち、孫娘は結界の力を持つ精霊を体に宿し、代わりに精霊郷の結界が弱まった。結界の力が弱まったことで、この場所まで道を通して町を作ろうという話が持ち上がり、そして現にこうやって村が作られたわけじゃ。まだまだ小さな村じゃがのう』

 思わぬところでこの村の生い立ちを知ることになったが、興味深いことが今の話にあった。

 結界の力を持つ女性。その人を俺は知っている。

『そう、今回襲われたのは儂の孫娘じゃよ』

 盗賊に襲われたのはゴコウさんの孫娘とひ孫だったのか。

『精霊郷があるからあの道は安全だと油断しておったのかの……。それとも精霊郷に自分の娘を見せるために、精霊に警戒させないために護衛を少なくしたのかもしれないのう。真実は儂にもわからん』

 ゴコウさんは俺の目をまっすぐに見つめ、そして頭を下げた。

『ひ孫を助けてくれてありがとう』

もともと読み専であり、今でもいくつかの作品を読ませていただいています。

この作品を書き始めた後に、カクテルの作品があると知りました(内容がかぶっていないかと、怖くて読めません)。

某作品でパイ投げを読み、十五話をどうしたものかと悩みました。

そして現在、某作者が日本酒関係の作品を始めたことを知る。やはり恐ろしくて読めません。


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