第22話 ポーションづくり
酒の魔法の練習を終え、ゴコウさんの店に戻った俺たちは、ポーションづくりの練習をさせてもらう。
ゴコウさんも結構乗り気で、『ようやく儂にも弟子ができるとは』とよろこんでいるらしい。いや、俺たちは別に薬剤師になろうってわけじゃないんだけどな。
まあ、快く教えてくれるのなら構わない。
とりあえずノルマの牛の薬を作ることにする。単純作業だが、量がいる。ちなみにこれは牛の成長促進剤だったらしい。これを食べさせることで成長速度が上がるため必要な穀物が激減するため欠かせないのだとか。
やはり言葉が通じないと詳細は分からないものだ。
俺は一人寂しく別の部屋で薬草をすりつぶしているのだが、その間アドがゴコウさんにポーションの作り方を教わっている。そしてアドが俺にポーションの作り方を教える手はずになっている。
薬の作り方となるとさすがに意思疎通ができないと怖いからな。
しかし言葉が分からないが、アドは苦戦しているようで、叫び声が上がっている。
「アドー、大丈夫かー」
「だだ大丈夫です、大丈夫ですよ! 鍋が噴きこぼれたりなんかしてないですからね」
わざわざばらしてくれないていいんだけどな。
「こっちはもうすぐ終わるぞ」
「ゆっくりやっててください! こっちはどうにかしますから!」
どうにかしないといけない事態に陥ってるってばらしていいのか。
しばらくしてからアドたちがこちらに顔を出した。ゴコウさんは疲れた顔をしている。
「シロキさん。準備が出来ました」
部屋に入るとアドによってもたらされた惨状の跡が所々に見え隠れする。
ゴコウさんはさすがというべきか当たり前というべきか、すべての仕事をきれいにこなす。だからいつもかまどはきれいだし、調剤用の作業台は効率の良いよう整頓されている。
それが、かまどには吹きこぼれた跡があり、作業台の道具はいつもと違う並びになっている。
「それじゃあ気を取り直して、シロキさん。下級ポーションづくりを始めましょう」
「おう」
「材料はリリエの葉にマルモの花の蜜だけです」
それだけの材料しかないというのにやらかしたアドが心配だ。
「あ、あとリリエの葉は他の薬にも使うそうです。品質がよければ万能薬にも使うことができるとか。効能を知っている人は庭に植えたりするそうですよ」
クウネさんから説明された覚えがある。その時は植えるのは酔狂などと言っていたような気がする。薬剤師以外にはあまり知られていないのだろう。
「まずはリリエの葉の仕分けから、品質の良いものとダメなものを分けます」
ひょいひょい、テーブルの上にあったリリエの葉を仕分けるアド。
軽快に仕分けていくが、いいのかアドよ。
ゴコウさんが何かアドに言っている。どうやら間違えたらしい。
「これとこれとこれだな。慌てずにやれよアド」
「なんでまだ説明してないのにシロキさんが完璧に仕分けるんですか!?」
「これまでもゴコウさんの作業を見てきたから、簡単なものならほとんど説明もいらないぞ。逆に見たことのない作業だったら、アドと同じように失敗するぞ」
「そうですよね。難しいですもんね」
まあ、このポーションづくりに関してはそんなに難しくないので初見でもどうにかなったような気がする。
アドは不器用というか慣れないことをやると失敗するタイプだろう。異世界語を流暢に喋れることから、勤勉なのは間違いない。
そしてアドに教わりながらポーションを完成させる。当然吹きこぼれさせたりはしない。
「まだまだだな」
瓶詰されたポーションを見て低い評価を付ける。
「え、私のより透き通ってて店売りの物みたいですけど」
「ゴコウさんのは、もっと色がきれいだ」
きれいイコール良質とは限らないのだろうが、俺のものはゴコウさんが作るものよりアドが作ったものに近い。
「いや、あれは別格ですよ。下級ポーションの中の最上級ですって」
下級なのに最上級とはややっこしい。ただ、やはりゴコウさんのものは段違いの品質だという。とはいえ、俺の物も店で売っていいとゴコウさんのお墨付きをもらった。
アドは自分で使うように言い渡されていた。
リアル多忙につきしばらくお休み。大体四月中頃までには帰ってくる予定。
少しくらいは書き溜めもしておきたいと思っています。




