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プロローグ編第二章 「万全を重ねた巴図魯の備え」

挿絵の画像を作成する際には、「AIイラストくん」と「Ainova AI」と「Gemini AI」を使用させて頂きました。

 だから今回のオータムクラシックコンサートでの護衛任務の要請にしても、それだけ私が中華王朝の王室の方々から信頼して頂けている何よりの証という事になるだろうね。

 春秋時代の晋国の烈士である予譲は「士は己を知る者の為に死す」という言葉を残しているけど、自分の真価を認めて待遇して下さる方の御為なら生命を投げ打っても惜しくはないし、それが忠義ある者の心構えだと思うよ。

 その事を同じ御子柴高校のかおるちゃんに話したら、「それこそ正しく武士道精神の真髄。それ程までに忠義を誓える主君を得られるという事は武士としてこの上ない喜びで御座いますよ。」とって我が事のように喜んで貰えたんだ。

挿絵(By みてみん)

 流石は士族出身の淡路かおる少佐、言う事が違うよね。

 生まれた時は士族や華族の家柄じゃなかったとしても、武勲を立てる等して己の才覚を示したなら高貴な身分になる事だって決して夢ではない。

 そんな公正な信賞必罰が機能している治世というのは本当に有り難いし、努力に見合った正当なインセンティブはその社会の次世代を担う人達のモチベーションにも繋がる訳だからね。

 そうした私の後に続く人達に「吹田千里少佐みたいに努力して才覚を示したら、あんな風に報われるに違いない!」と信じて貰えるように、しっかり努力して確かな結果を出してバッチリ栄達しなくっちゃ。

 きっとそれが、巴図魯としての私が持続可能な社会作りや次世代に対して果たすべき責任の一つなのかも知れないね。

 だからこそ、今回のオータムクラシックコンサートにおける和碩親王殿下の警護も決して失敗は許されないよ。

 私の護衛役も兼ねて同行して貰った生駒英里奈ちゃんを始めとする堺県第二支局の子達は言うまでもなく、中華王朝の政府軍や禁衛軍の皆様方、そして人類防衛機構の北京支局の子達ともしっかり連携をとっていく必要がある。

 だからこそ馬佳女史を始めとする警護担当の皆様方には、こうしてキチンと敬意を込めた挨拶をしなくちゃいけないんだよ。

 人間同士が寄り集まって国家や社会を構成している以上は、持続可能な社会を構築するには人間関係の持続をまず考えなきゃね。

 私みたいな成り上がりの新参者は、その辺を特に気を付けなくちゃいけないよ。

 決して不必要にお高くとまらず、それでいて愛想良くて礼儀正しくて。

 儒教の古典である「易経」の「繋辞上伝」に記された「知崇礼卑」の精神を目指したいよね。

 日本では「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と言った方が通りは良いかな。


 勿論、こうした心構えだけでは安全保障や治安維持は成り立たないよ。

 昔から「仏作って魂入れず」とか「人はパンのみにて生きるにあらず」って言うように精神性は大切だけど、それでも仏やパンにあたる物理的で実用的な物がなくっちゃ何も始まらないんだ。

 だから警護の為の安全策は考えられる限りの手を検討して可能な限り講じさせて頂いたよ。

 監視カメラや警報機は目立たない部位に至るまで配置してあるし、手荷物検査は勿論として金属探知機や赤外線レーダー等も完備してあるでしょ。

 それに実働要員である公安職にしても、会場内外を巡回している制服組は勿論だけど当日客に偽装する形で客席内にも配置されているからね。

 それを言えば私だって、来賓に偽装した警護担当の公安職な訳だし。

 今こうして袖を通している煌びやかな金糸の刺繍が施された緑色の豪奢な満洲服の下には自動拳銃を始めとする武器弾薬が隠してあるし、そもそもこの満洲服自体が遊撃服と同じ特殊繊維で出来た強化服でもあるのだからね。

 いざとなれば身を挺して和碩親王殿下をお守りする事だって出来るよ。

 それに長崎での友好式典の時に大いに役に立った鉄扇術にしても、更に鍛錬を重ねて来た訳だからね。

 たとえ凶賊があの時の私のデータを解析していたとしても、私の練度と経験値は当時を上回っているんだから。

 それから念には念を入れて私の個人兵装のレーザーライフルを搭載した戦闘ドローンを、左眼窩に埋め込んだ多機能デバイス搭載生体義眼で脳波コントロールしているし、その生体義眼の多機能デバイスで会場内外の現状を随時スキャンしているからね。

 中一の時に参加した黙示協議会アポカリプス掃討作戦で生身の左目を失ったのは確かに痛手ではあるけど、受けた痛手の分だけこうして強くなれたのは喜ぶべき事なんだろうな。

 だけどこれだけ何重にも安全対策を講じても、それで万全と断言出来る訳じゃないのだから、常に警戒心を研ぎ澄ませておかなくちゃね。

 越後長岡藩の牧野家の家訓に習い、「常在戦場」の心構えでいきたいもんだよ。

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― 新着の感想 ―
もうアリ一匹通せない布陣ですね!! これでも無理やり通ろうとするヤツはよほどのバカじゃないかと思えるほどに。
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