第三十二話 私から先に脱がせてよ
「さっきまであんなに強がっていたのに、お尻に顔を近付けただけで緊張しちゃってるのかな?」
「べ、別に緊張なんてしてないし。お兄ちゃんの顔が近いからって何とも思わないし。近付いてるだけで何もできないって、知ってるもん」
「何も出来ないってことはないよ。ほら、こうしてパンツの紐をくわえて引っ張ることだって出来ちゃうんだよ」
「ちょっとお兄ちゃん、そんなことしたらお姉ちゃんのパンツが脱げちゃうでしょ。お姉ちゃんが一人だけお尻丸出しになったらかわいそうだし、やるんだったら私の方からやってよ」
「ゆいちゃんは強気だね。でも、そんな事を言ったって俺は順番を変えたりなんてしないから。そんなことしても、喜ぶのは君たちだけだろう?」
「別に喜んだりしないし。お姉ちゃんがお尻丸出しになるのがかわいそうだなって思っただけだし」
「ちょっと、そんな風に言わないでよ恥ずかしい。それに、私はお兄ちゃんが紐をほどけないってのは知ってるから。どんなに頑張ったって、お兄ちゃんは私のパンツの紐をほどくことが出来ないんだからね」
「そんな強がりを言っていられるのは今だけだからね。じゃあ、ちょっと失礼するね」
まー君は息遣いが若干荒くなっているのを悟られないように軽く深呼吸してからゆかのお尻に近付くと、そのまま床の横に移動してパンツの紐にの正面に位置どった。左手でゆかの太ももを掴み、ゆかが逃げないように自分の右手でゆかの右手を握る。
ゆかの表情を確認しようとして顔を向けたまー君だったが、一度もこちらを向くことが無かったためゆかの表情を見ることは出来なかった。
それでも、小刻みに震えているところを見てゆかも緊張しているのだと感じていた。なんだかんだ言って、慣れないことをしているまー君も緊張はしていたのである。
顔を少し上げたまー君はゆかの背中越しにこちらを見ているゆいと目が合ってしまい、思わず目を逸らしてしまった。悪いことをするという自覚があるからなのか、まー君はゆいのまっすぐな視線に耐えることが出来なくなり、もう一度顔を上げた時にもバッチリと目が合ってしまったので逃げるように顔を下げてしまった。
「ねえ、今ならまだ間に合うからさ。お姉ちゃんじゃなくて私の方からパンツの紐をほどいてよ。その方がお兄ちゃん的にも絶対に嬉しいと思うから」
「そんなこと言ったってダメだよ。ほら、もうゆかちゃんのパンツの紐をほどこうとしているところなんだから。今更そんなこと言ったって遅いんだからね」
「でもでも、今なら間に合うから。本当にまだ間に合うんだからこっちに来てよ。じゃないと、すぐにお兄ちゃんが後悔することになるんだよ?」
「自分が相手にされないのが寂しいって気持ちはわかるけど、順番に行くから我慢してよ。それに、ゆいちゃんがそんなに自分から自分からって積極的になっちゃうと、ゆかちゃんも困ってるんじゃないかな?」
「いや、私も別に困ってないし。どっちかって言うと、ゆいちゃんの方からにした方がお兄ちゃん的にもいいんじゃないかなとは思うけど。でも、それを決めるのはお兄ちゃんだからね」
なぜそこまでゆいから脱がすように言ってくるのだろうか?
そのことについてまー君も当然疑問を抱いていたのだが、逆に考えるとゆいのパンツの紐に何か仕掛けられているのでソレを先に味合わせてやろうとでも考えているのだろうか。そう考えると、ゆいの行動にも説明がつく
しかし、あの二人がそんな単純な罠を張るだろうか?
いや、短い付き合いながらもそんな事をするようには見えない。いかにも純粋そうな見た目で裏がありそうだとは思うのだけれど、そこまで策を弄するような事はないのではないだろうか。
となると、何かの罠をかけているのはゆかのパンツの紐でゆいのパンツの紐はソレをごまかすために何もしていない可能性もあるのではないだろうか。
仮に、ゆいのパンツの紐から俺が解いたとして意気揚々とゆかのパンツの紐をくわえた瞬間に罠にかかる。そんな未来がおぼろげながら頭の中に浮かんでしまった。
ただ、本当に何も罠なんて無いという可能性もあるのだろう。(それが一番可能性として高いと思うのだが)純粋にお姉ちゃんであるゆかを妹であるゆいが守りたいという気持ちだけなのかもしれない。
それであれば、なおさら二人の意見を聞いて順番を変える必要などないという事になる。
意地悪なのではなく、ゆかとゆいに世間の厳しさを教えてあげる必要があるのだ。(パンツを脱がせることが世間の厳しさにつながるかは疑問だが)
「ねえ、本当にお姉ちゃんから先でいいの?」
「何も問題なんて無いと思うけど。ゆいちゃんは自分から先に脱ぎたいってことなのかな?」
「そういう言わけじゃないんだけど、お尻丸出しになったらお姉ちゃんが風邪をひいちゃうんじゃないかなって思って」
「パンツ一枚無いだけで風邪をひくとは思えないんだけど。そんなに体弱いの?」
「弱くはないけど、精神的なストレスとか感じると体に来るタイプだからね。昔からお姉ちゃんはそうだったんだよ」
それを聞いたまー君は少しだけやりずらいと感じていたのだけれど、それは自分のせいではないだろうと思ったので順番を変えることはなかった。
たとえ、目の前のパンツに罠が仕組まれていようとも、男にはまっすぐに進まなければいけない時があるのだ。




