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史上最高のサキュバスと契約を結んだのは良いけれど、何か思っていたのと違うのでチェンジしたいんですが……え、もう遅い?  作者: 釧路太郎
人魔共闘の章

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第八話 八撃必殺の魔法

 大日本魔法倶楽部所属でエースの熊ノ沢は八撃必殺の威力を証明するためにデモンストレーションを行うことにした。魔法が効きにくい魔法生命体を属性別に四体用意し、それらに対して八撃必殺の魔法を連続で使用するとのことである。

 八撃必殺を四回連続攻撃。小学校低学年であれば混乱するような算数の問題のような攻撃数。観衆の一部にも掛け算が苦手なものがいて、合計何発の魔法が使用されるのか指を折って数えようとしている者もいたようだ。


「俺様のこの最強の魔法は一度発動したらどんな事があっても止まることはない。絶対必中の一発目で相手の能力を分析し、二発目の魔法で解析を完了する。三発目の魔法は相手の魔法防御力を強制的に失わせ、四発目以降の魔法は一番効率の良い攻撃魔法を自動で選択し八発目の魔法で完全に命を奪う。ただそれだけの魔法だ」

「そんな簡単にヒミツを話しちゃって大丈夫なのか?」

「何も問題はない。秘密を知ったところで、対処方法など存在しないのだからな。一度発動してしまえば、どんな相手だって逃げることなどできないのさ」


 熊ノ沢は四体の魔法生命体に対して同時に魔法を放った。

 残像が残ってしまうほど強烈な赤い閃光が舞台を包み込んでいた。観客の多くは強烈な光のせいで目を開けることが出来なかったのだが、舞台上にいる魔法生命体は熊ノ沢から距離をとるためか観客席近くまで逃げていた。

 強烈な光の残像も消え始めたころ、魔法生命体たちは観客席へと逃げ込もうとしているのだが強烈な結界に阻まれてしまい逃げ出すことは出来なかった。

 そして、観客たちも状況を理解できるようになったタイミングで魔法生命体たちを青い光の玉が包み込んでいった。


「なるほど、絶対必中って言うのは強烈なフラッシュで全体を包み込むからなのか。確かにアレから逃げるなんてのは無理な話だな。そしておそらく、あの青い光によってすべての分析が完了するってわけだな」

「さすがはまー君。一目見ただけでそこまで見抜くとは大したものだな」


 自分で先にネタ晴らしをしていたのだから状況を見ればそうなんじゃないかと多くのものは感じていた。だが、そんな野暮なことを言うような人間はこの場に存在していない。愛華でさえも思っていたことをグッと飲み込んで黙って見守っていたのだ。


「でも、俺も近くでフラッシュを浴びたのに解析はされないのか?」

「安心してくれ。この八撃必殺の魔法は相手を選ぶことが出来る。なぜなら、無差別攻撃になってしまうと使いどころが一切存在しなくなってしまうのだ。俺様は人望が厚く見方も多いから、仲間のいるところでこんな危険な魔法を使えなくなってしまうだろ。だからこそ、対象を自分の意志で選ぶ必要があるのだよ」


 そうこうしているうちに解析が済んだのか、魔法生命体たちは黙ってその場に立ち尽くしていた。黄色い光に包まれているのだが、おそらく魔法防御力を強制的に下げられているのだろう。少しずつ魔法生命体の体が透けていった。

 そして、魔法生命体に対して容赦のない魔法攻撃が開始された。


「大きな力だけではない、小さな力の積み重ねでも命を奪うことは出来る。それを証明するためにもこの八撃必殺の魔法は生み出されたのだ。相手の魔力に依存するこの魔法は使用者である俺よりも対象者であるあいつの方が魔力を消費することになる。それはすなわち、自分の魔法防御力が反転して自分を攻撃する魔力になってしまうという事なのだよ。今までかつてこれほど恐ろしい魔法が存在しただろうか」


 声を発することのない魔法生命体の悲鳴のようなモノを聞きながら熊ノ沢は高笑いを上げていた。

 この世界から存在が消えてしまった魔法生命体に対してかわいそうだと思うものもいれば、熊ノ沢の事を酷い人間だと思うものもいた。あるいは、その両方を同時に感じている者も少なくはなかったようだ。


「人間一人の魔力では倒すことが不可能だと思われていた魔法生命体をこんなに簡単に消すことが出来る。それが出来る俺様は、まー君を殺すことだって出来ちゃうってことなんだぜ。なあ、今ならまだ間に合うから、おとなしく負けを認めて俺様に屈してくれ。俺様だってまー君、あんたを殺したいなんて思っていないんだ。でもな、俺様があんたに勝てる方法なんてこれしかないんだ。もう一度繰り返すが、素直に負けを認めてくれ。そうすれば、俺様はあんたを殺さなくて済むんだ」

「そうなのかな。俺はあの程度の魔法で死ぬなんて想像が出来ないんだよな。確かにあんたの魔法は凄いと思うんだけど、何かビッとくるものがないんだよな。魔法生命体程度と一緒にされたくないって言うのもあるんだけど、俺の魔力を変換出来ちゃうとは思えないんだよ。だって、俺と君の差ってそんなに簡単にひっくり返っちゃうようなもんじゃないと思うからね」


「そう思うんだったら、そう思ってればいいさ。残念だよ、俺様はまー君の噂を聞いてもっと頭が良いって思ってただけに、残念だ」


 極めて冷静に、落ち着いている状態で熊ノ沢は八撃必殺の魔法を放った。


 魔法を使うときは冷静に状況を見極めるというのが基本なのだが、熊ノ沢はその基本を忠実に守っていた。



 そして、会場全体を包み込む強烈な赤い閃光が発生していた。


 赤い閃光が八度会場を包んでいた。

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