第四十六話 確信と核心
肝心なところで二択を三回連続で間違えるという行為にどれだけの意味があるのだろうか。
世界最強で万物の頂点に立っているまー君はとても簡単な二択問題を外してしまい、彼自身の部屋がとんでもないことになってしまっているという現実を受け入れなければならなかった。
「さすがに全部外しちゃうって言うのは想定外だったけど、そうなるように誘導したって面は否めないよね。どう考えてもそっちを選ぶだろうなって二択の連続だったし、普通に考えたらそっちになるんだろうなって思いながら問題を作ったからね」
「まー君ならそっちを選ぶと思っていたけど、私たちのことをわかってくれているんだったら裏を読んで正解してくれるかもしれないって少しだけ思っちゃってたよ」
「でも、頭を撫でられたくないって思ってるってのは、ちょっと意地悪問題だったかもね」
「普通に考えたら、子供は頭を撫でられるの好きだって思っても仕方ないよね」
いつからか二人の言動に違和感を覚えていた。何も確信はないのだけれど、ゆかとゆいは自分が知っているあの二人なのではないかと思うところが多々あった。
その感覚は間違っていないと思ったのは、ゆいが自分のことをお兄ちゃんではなくまー君と呼んだことである。お兄ちゃん予備からまー君に変わったことで、今までずっと聞いてきた声がイザーちゃんに似ているという事に気が付いたのだ。
よくよく聞いてみると、ゆかの声もうまなちゃんに酷似している。
「最後の最後でミスをしちゃったからまー君の負けってことで終わるんだけど、何か弁解の言葉はあったりするのかな?」
「弁解の言葉とかは特にないけど、君たち二人はあの罰ゲームを実行してもいいって本気で思ってるのかな?」
「今更命乞いは恥ずかしいんじゃないかな。潔く負けを認めることも大切だと思うよ」
「特に何かされるってわけでもなく、ただ男色家の人達がまー君の部屋に集まってるってだけの話だからね。もちろん、彼らは生きている壁や寝具として大人しくしてることにはなるけど」
「それって、うまなちゃんとイザーちゃんの部屋も男色家に汚染されるってことになるんじゃないかな?」
「え、それは違うと思うよ。お姉ちゃんも違うって思うよね?」
「うん、うまなちゃんとイザーちゃんは何の関係もないんじゃないかな。まー、お兄ちゃんが負けたのと関係ないと思うよ」
ゆかとゆい、おそらく中身はうまなちゃんとイザーちゃんなのだが、まー君の言葉を聞いて今までになく動揺しているのが見てとれる。
先ほどまで余裕しゃくしゃくと言った感じでまー君を責めようとしていた二人だが、うまなちゃんとイザーちゃんの部屋も男色家によって汚染されるという言葉を聞いて動揺してい待っていた。その言葉がハッタリなどではなく真実なのだと思ってしまう理由をおぼろげながら二人は感じていたのだ。
だからこそ、二人は尋常じゃなく動揺し、見た目も少しずつ崩れてしまっていた。
「関係ないことはないと思うよ。だって、うまなちゃんもイザーちゃんも俺の部屋に住んでるんだからね」
「そうなのかな。お兄ちゃんと一緒にいる時間は確かに長いって聞いているけど、別々の部屋で過ごす時間もあるって話だよね。そうなると、お兄ちゃんの部屋とは違う場所にいるうまなちゃんとイザーちゃんには男色家さんは関係ないことになるんじゃないかな?」
「そうだよね。お兄ちゃんが変なこと言って皆を困らせようとするのは良くないと思うな。そんな出鱈目な事を言うと、お兄ちゃんの部屋にやってくる男色家さんが三倍に増えちゃうかもよ」
「三倍に増えたところで三部屋あるんだから問題ないかもね。俺は見られるだけって言うんだったら平気だと思うし、うまなちゃんとイザーちゃんも気にしなければいいんじゃないかな」
ゆかとゆい。中身は推定うまなちゃんとイザーちゃんなのだが、まー君に聞こえないように少し離れて相談をしていた。
遠くで見ている限りでは、二人の意見がまとまっているようには見えないのだけれど、どちらかの話にまとめる方向で結論が出たようだ。
「今零楼館乳首郎に確認してみたんだけど、男色家が行くのはお兄ちゃんの部屋で間違いないらしいよ」
「お兄ちゃんの部屋以外には迷惑かけないって言ってたから、それで間違いないね」
「俺の部屋で間違いないってこと?」
「そうだよ。お兄ちゃんの部屋だけで間違いないって」
「変なこと言うお兄ちゃんのために、予定の十倍の男色家さんを用意してもいいって零楼館乳首郎が言ってたのも付け加えておくね」
「別に十倍でも百倍でもいいんだけど、そうなるとうまなちゃんとイザーちゃんは大変なことになるんじゃないかな」
「どうしてそう思うのかな。お兄ちゃんの考えが全然わからないんだけど」
「うまなちゃんもイザーちゃんも関係ないし、お兄ちゃんの部屋だけに問題が起こるってことじゃないかな」
うまなちゃんとイザーちゃんの部屋は関係ないと思いたい二人だが、どうしても言い切れない理由があった。
それをまー君に知られないために必要なことは、早々に話を切り上げて解散するという事しかない。
だが、まー君は核心に迫る言葉を放ってしまうのだ。
「でもさ、うまなちゃんとイザーちゃんが使ってる部屋って、俺が契約している俺の部屋なんだよね。つまり、そういう事さ」




