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おまけ
「なぁ、ユアン…?」
「なんだ?」
「俺…何かセロンに悪いことしたんじゃねーか?」
ユアンが王家の者でなくなれば、セロンは弟のセスの側近になる。
最初に好きになったユアンを失い更には仕える相手まで変わることを、アルは申し訳ないと思っていたのだ。
ところが──
「気にするな。あいつはあれでなかなかの策士なんだ」
「策士…?」
「セスの側近になって一番喜んでるのは、セロンだからな」
「は…?」
「公私共に、一生弟を支えていくだろう。──つまり、そういう事だ」
「公私共に一生……」
繰り返して、アルはハッとした。
(そ、そういうことかよ…!?)
「まぁ、オレが王位継承権を放棄するのは想定外だったようだがな」
「……え? あ…それって俺もまんまとセロンの計画に──」
「さぁ、どうだかな」
何やら自分達に背を向けて、一人ほくそ笑むセロンの姿がアルの脳裏を掠めたが、それはすぐにユアンの熱い口付けに消し去られていった。
(ま…いっか……)