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第2話 黒翼竜との再会

第2話では、いよいよリオンが本気を出します。

黒翼の竜との再会、そして十年前の復讐の始まり。

「やる気がないのに最強」の本領が垣間見える章です。


戦闘描写多め、会話は少なめの静かな怒り回。

少しダークですが、リオンの“覚醒”をお楽しみください。

空が、泣いていた。


灰色の雲が渦を巻き、稲妻が山脈を裂く。

その中心に、巨大な影が蠢いていた。


——黒翼竜ヴェルグラード


十年前、村を焼き尽くし、リオンの全てを奪った存在。

その化け物が、今、王都の北に姿を現していた。


リオンは崖の上に立ち、風に髪をなびかせながらぼそりと呟く。


「……面倒くせぇ」


ギルドの仲間たちは後方で息を呑む。

その眼下には、まるで大地ごと飲み込むような黒い竜がいた。

全長数百メートル。翼一振りで暴風を起こし、尾の一撃で城壁すら粉砕できる。


「リオン、本当に行く気なのか!? あんなの、国軍でも手に負えないぞ!」


ダグの叫びに、リオンは肩をすくめた。


「行かねぇ理由がねぇんだよ。寝かせてくれなかったんだ、十年前も今も」


その瞬間、彼の足元に黒い魔法陣が浮かび上がった。

空気が軋み、光が歪む。

大地に広がるそれは、かつて“七国戦争”を終わらせた最終魔導式——《終焉エンドコード》の一部。


「やばい……っ、リオン! それ、禁呪だろ!? 王国が動くぞ!」


「知らねぇよ。寝る前にちょっと暴れるだけだ」


冗談のような声に、誰も笑えなかった。


風が止む。

雷鳴が消える。

世界が息を潜めた瞬間——


リオンの魔力が爆ぜた。


轟音と共に、黒い奔流が天へと昇る。

竜が咆哮し、空を割る。

リオンは剣を抜くこともなく、指先を軽く鳴らした。


「——《虚空斬コクウザン》」


一瞬だった。

光が走り、山の頂が消えた。

竜の片翼が、まるで紙のように裂け落ちる。


「な……んだ、今の……?」


誰かが呟いた。

リオンは退屈そうに伸びをする。


「十年ぶりだな。……随分、しぶとく生きてたじゃねぇか」


ヴェルグラードは痛みに身を捩りながらも、口を開いた。

その声は、空気を震わせるほど低く、そして冷たい。


《小僧……貴様、生きていたか》


「おかげさまでな。地獄みたいな日々をありがとうよ」


《あの村……貴様の母の叫び、まだ覚えているぞ》


……ピキッ。


空気が、一瞬で凍りつく。

リオンの笑みが、消えた。


「今、なんて言った?」


竜の瞳に、わずかな愉悦が宿る。


《あの女の絶叫は、実に美しかった——》


ズガァァァァンッ!!!


黒い閃光が炸裂した。

リオンの姿が消え、次の瞬間には竜の眼前にいた。

彼の掌が竜の顔面に触れ、低く呟く。


「《断罪ダンザイ》」


爆発音もなく、竜の頭部が蒸発した。

風が吹き抜け、空に穴が空いたかのように雲が裂ける。


竜の巨体がゆっくりと崩れ落ちる中、

リオンは小さくため息をついた。


「……寝起きにしては、ちょっと暴れすぎたか」


地面が揺れ、瓦礫と灰が舞う。

仲間たちは呆然と立ち尽くす。

誰も声を出せなかった。


その中で、エミリアだけが、震える声で呟いた。


「リオン……あなた、本当は……何者なの?」


リオンは眠そうな目で空を見上げた。


「ただの怠け者だよ。——もう寝たいだけの、な」


風が吹く。

崩れた竜の骸が黒い霧となって消えた。


しかし、その霧の奥で、何かが微かに蠢いていた。

ヴェルグラードの残滓。

封印されていた“真なる存在”の目が、ゆっくりと開く。


——次の目覚めは、世界の終焉と共に。

読了ありがとうございます!


第2話では、リオンの「本気の一端」を初披露しました。

彼の力はまだ完全ではなく、竜の残滓が意味深に残ったままです。


次回、第3話【“灰の村”の真実】では、十年前に何があったのか、

そしてリオンが“怠惰”を選んだ理由を掘り下げていきます。


──眠れる英雄の過去が、ようやく語られる。

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