【プロローグ】
初めまして。
この作品は「普段やる気ゼロの最強主人公」をテーマにした、ダーク×ギャップ×最強系の物語です。
主人公・リオンは、寝るのが仕事みたいな怠け者。
けれど、彼の中には誰も知らない“世界最強”の力と、“奪われた過去”が眠っています。
やる気がないのに強すぎる男が、再び剣を取る時——世界は再び動き出す。
そんな、静かで熱い復讐譚を楽しんでもらえたら嬉しいです。
それでは、物語の幕開けをどうぞ。
——十年前、灰の村は一晩で消えた。
漆黒の竜が舞い、空が裂け、炎が雨のように降り注ぐ。
その中心で、少年はただ叫ぶことしかできなかった。
「……母さん、父さん……!」
手を伸ばしても、届かない。
焼け落ちる家。砕ける瓦礫。
視界が白く染まり、最後に見たのは——黒翼の影だった。
それが、リオン・クロードの“終わり”であり、“始まり”でもあった。
彼は全てを失い、全てを捨てた。
戦う理由も、生きる意味も、世界への興味さえも。
そして、ただ怠惰に身を任せた。
「どうせ生きても、また奪われるだけだ」
「なら、寝てた方がマシだろ」
そう言って、彼は剣を置き、枕を抱えた。
世界は救われたが、彼の心は救われなかった。
しかし——運命は、怠け者を放っておかない。
「リオン、黒翼の竜が現れた」
その言葉を聞いた瞬間、止まっていた時間が再び動き出す。
沈んでいた瞳に、久しく消えていた光が宿った。
「……あーあ、マジで面倒くせぇな」
「でも、あいつだけは……寝たままにできねぇ」
黒いマントを羽織り、怠惰の英雄が再び立ち上がる。
静かに、世界が震えた。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
リオンは「世界最強なのにやる気ゼロ」という、ギャップ特化型の主人公です。
このプロローグではまだ“目覚め”の瞬間しか描いていませんが、
第1話からはギルドでの怠けぶりと、“本気になった瞬間の破壊力”をしっかり描いていきます。
更新ペースは少しゆっくりめですが、
「リオンが本気出す瞬間」を楽しみにしてもらえると嬉しいです。
次回、第1話【面倒くさい世界】でお会いしましょう。




