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聖女を目指して

そして、今、フィーネは教会に連れてこられて預けられている。


ツルハ医師に説得されて、両親と共に教会に向かったのだった。

ローゼン騎士団長は騎士が倒されたことにより、フィーネを危険視して、牢獄へ入れるべきだと主張してきたが、ザビト総監に反対され、ツルハ医師の説得もあって、渋々納得した。


あのローゼンとやらは大嫌いだ。


神官長様はとても優しそうなおじいちゃんで、フィーネはやっと力が抜けて安心することが出来た。

父と母が頭を下げて、

「この子をよろしくお願いします。神官長様。」


神官長は優しい眼差しで。


「任せておきなさい。悪いようにはしないから。」


とおっしゃって下さった。ありがたやありがたや。


部屋を与えられフィーネが神殿で何事もなく3日位過ごした頃、リーゼティリアと名乗る女性が訪ねてきた。

フィーネが倒した聖女らしき女性の事である。


フィーネは訪ねて来た女性に慌てて。

「この間はごめんなさい。お姉さん。」

リーゼはほほ笑みながら。

「私はリーゼティリア。リーゼと呼んでくださってよいのよ。」


フィーネは思い切って聞いてみる。

「あの…リーゼ様は200年前に火炙りになった聖女様なのですか?」


リーゼは頷いて。

「そうね…。きっとそうだわ…。記憶にはないけれど、聖女の力は感じるから…。でもね。今は憎しみは無いのよ。私は人が好き。人の為にこの力を使いたいと思っているのだから。」


フィーネはほっとする。

「それならよかったです。私もこの国が好きだから。」


リーゼが優しく抱きしめてくれた。

「貴方の力…うまく使えば聖女になれるわ。私が指導します。だから安心して頂戴。」

フィーネは涙が出て来た。

「有難うございますっ。有難うございますっ。」


それから、神官長様とリーゼの配慮により。フィーネは王宮に連れてこられ、一室を与えられた。王宮メイドの母とも頻繁に会えるし、安心して過ごせる。


ローゼン騎士団長は反対らしく、庭で見かけても、にらまれるようになった。

そんなに騎士団員を倒したのが気に入らなかったのか。

あっかんべーをしてやり過ごす。


王宮内なら自由に歩いて良いと言われて、こんな甘い処置でよいのかと申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

ディオン皇太子殿下とセシリア皇太子妃にも可愛がってもらえるようになり、フィーネは幸せだった。


とある日、セシリア皇太子妃に呼ばれて、一緒に庭でお茶をし、お菓子を食べた。

セシリア様にかねてからの疑問を聞いてみた。

「リーゼ様って元々どういう方なんですか?」

セシリア様は紅茶を飲みながら、庭の薔薇の花を眺めて。

「そうね…。リーゼティリアは、私と同じ隣国からこの国に来たのよ。

アマルゼ王国の第一王子だった私の兄の婚約者だった人なの。公爵令嬢だったんだけど、私の兄が…」

「今、流行りの婚約破棄で国外追放ですか??」

今、お話でそういうのが大流行りである。

フィーネは、恋愛小説大好きな母からそういうお話を聞かせて貰っていたりした。

「いえ、違うのよ。兄が王族を抜けて、こちらのツルハ医師の元で医者を目指したいって事で、国を出てしまったものだから、リーゼも家を捨ててついてきてしまったって訳ね…。」

「そうなんですか。素敵ですね。」

「そうね…。リーゼは私付きの女官をやっていてくれるから、ありがたいわ。リーゼは兄の事をとても愛していて…とても仲が良い夫婦なのよ。」


ああ、聖女様が憎しみを捨てた訳がわかったような気がした。


愛している人が医者を目指しているだなんて…それじゃ影響されるよね。


そしてフィーネは思った。


「私も立派な聖女様になるぞーーー。そのためには一生懸命修行をして、いつかあの騎士団長を倒す。じゃなかった…人々を癒してみせる。」


声に出して言った言葉に、セシリア様は大笑いして。

「騎士団は仲間意識が強いから。余程、悔しかったのね。貴方に仲間が倒されたのが。

それに、最初は王宮に貴方を連れて来るのを他の人たちも反対したのよ。危険すぎるって。」


「やはりそうなんですか。でもどうして?」


「リーゼや神官長の願いもあったけれど、ディオン様が…良い方向へ貴方の力を導けば、素晴らしい物になるから。是非、手元に置いて指導をするべきだって言って下さったのよ。さすがディオン様ですわ。」


セシリア様はディオン皇太子殿下にホの字のようだ。


その時、ディオン皇太子殿下が、庭に入って来た。


フィーネの頭をぽんと軽く撫でて。


「何か不便はないか?」


「有難うございますっ、不便はありません。」


がちがちに緊張する。破天荒の勇者として名高い皇太子殿下。緊張するのは当たり前だ。


ディオン皇太子殿下は椅子に座って。

「何かあったらセシリアかリーゼに言ってくれ。きちっと対応する。」


セシリア様がディオン皇太子殿下の傍に近づいて。

「疲れているのですか?ディオン様。」


「この間の闇竜退治の疲れがな…。」


フィーネは思った。ここは修行の成果を見せるべきだ。まだ始めたばかりだが。


皇太子殿下の傍に行くと、その手を握り締める。


ディオン皇太子殿下の身体が輝いてふうううっと殿下が息を吐きだした。


「有難う。すこし楽になった。しっかりと修行をしているようだな。」


フィーネは首を振って。

「まだまだです。こちらへ置いてもらって有難うございます。立派な聖女になれるよう頑張ります。」


ともかく、聖女として頑張ろうと思う。

そして、みんなが笑って暮らせる世を作るために大好きなこの国の為に頑張りたい。

そう強く思ったフィーネであった。


聖女リーゼティリアと共にフィーネはこの国に貢献した聖女として名を残すことになる。



なんか書き足りない終わり方ですね。黒騎士の方で聖女様達について触れる話が出てくると思います。


マディニア王国は魔族とも結びついている強豪国。それに比べて、セシリア皇太子妃やリーゼティリアの嫁ぎ元アマルゼ王国は、30年前、魔王に蹂躙されてからの貧乏王国だと思う。

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