四十八話 勉強頑張ったら美少女が褒めてくれるそうです!
その声に、僕は緩んでいた気をもう一度張る。
「失礼する」
そう言って入ってくると、僕らを見渡した後で、
「…………彼と二人で話がしたい。出ていってもらえるか」
と、一言静かにそう告げた。
「…………行きましょう、お嬢様」
「…………でも」
相模川さんが白撫さんの手を引いたが、彼女はそれに抗うように僕の方を見た。
「だーいじょうぶだって、いこーぜ?」
その様子を見た翔太が、頭の後ろで両手を組みながら部屋を出ていく。
「……はい…………」
あまり納得していない白撫さんだったが、渋々といった様子で部屋を出ていった。
「…………いったか」
優純さんは、ベッドの隣の椅子に腰掛けて、僕の目をまっすぐ見た。
「………………いやぁ〜〜〜〜たぁすかったよ!」
「…………………………はぁ?」
な、何言ってるんだ?助かった?あ、僕一位じゃなかった?いや、こんな早くに結果が出るわけないよね?ん?じゃあ、何が……
「おお、すまないね。いや、君はすごいよ。三教科、全て満点だ」
「あ、どうも」
ってことは、やっぱり一位か。じゃあ、なんだ?負けたから下手に出て機嫌を取ろうって考えか!?
「まあ、私の負けになるわけだが…………ちょっと失礼」
そう言った彼は、急にたちあがって病室内を物色し始めた。よく分からない機械を使って。
「ふむ……問題なさそうだな……あぁ、またまたすまない、順を追って説明させてもらおう。もちろん、私が君を挑発した理由も」
「あ、はい」
お、なんか始まった。急展開すぎない?
––––まずは、今の白撫家について……から話そうか。
この前君に初めてあったとき、老いぼれた女性がいただろう。あれが、私の母……つまるところ、まどかの祖母だ。
今回、君を挑発した理由が、この婆さんが原因なわけだが……
まず、婆さんは会社を男にしか継がせないと言っていてね。生まれてくる子が女の子だとわかった時からどうにかしてその子を捨てさせようとしてきたのだよ。その子が、まどかだ。
だが、私とて父親。自分の子供をひどい目には合わせたくなかった。故に、まどかの近くに誰か信頼できる者を置いておく必要があった。それが、未亜だ……あぁ、私はプライベートでは未亜と呼んでいるのだよ。そこは気にしないでくれ。
それでも、権力というものには逆らえなくてね。何度も何度も、婆さんがまどかを遠ざけようとしてきた。その度に、私はまどかへの感情をひた隠しにし、時にまどかを罵倒して、時に後継ぎは養子を取るから、まどかをどうこうする必要はないと言い、あの手この手でまどかを守ってきた。
それは、今回も同じだ。高校に入ってからはなぜかあまり婆さんも手を出してこず、ある程度自由にはさせてやれていた。ゴールデンウィークに遠出を許したのも、そういう状態で、未亜も同行するとのことだったからだ。だが、君たちはたまたま街で婆さんと会っただろう?気付いていないかもしれないが……
そんなこんなで婆さんにまどかの居場所がバレてな。それを知った未亜はすぐさま私に電話をかけてきたよ。それで、私もすぐに向かったのだが……婆さんと鉢合わせてしまってね。「今は好機だ、ついてこい」と言われたよ。でも、婆さんが何をするか分からなかった。そこで、私に任せて欲しいと、世間的に安全なやり方でまどかを遠ざけると、そう伝えた。そ
あの時、君と話した時は隣に婆さんがいたから、あんな発言しか出来なかった。後で謝らせて欲しい。
……話を戻そう。
私は今回、無茶な条件を提示した。だがあれは、どちらに転んでもまどかにとっていい結果になるものだった。君には申し訳ないが……もし君が負けても婆さんからまどかを遠ざけて安全な暮らしを送らせてやれる。君が勝てば、まどかの有用性が証明される。私としては後者であって欲しかったからな……君には感謝している––––
「そういうわけで、今に至る」
うわー、思ったよりも白撫家どろどろじゃん。怒る気無くなっちゃった。
「今回に関しては、本当にすまなかった。お詫びといってはなんだが、私にできることがあればさせてもらう。なんでもいってくれ」
そう言われてもな……
「い、いや、別にそんな。それに、話を聞いたら優純さんは悪くないんだってわかりましたし」
「そ、それは困るな。私としても、何かしなければ気が済まないのだ。ほら、私の顔を立てると思って、なんでも言ってくれ!」
「え、えーと……」
「そうだ!君、まどかは可愛いと思うだろう!?」
「え、は、はぁ……」
「ならこれはどうだ!まどかの小学生の頃の写真だ!こっちは中学の頃の!一枚くらいなら譲ってやらんこともないぞ!」
あ、この人だめだ。だめな人だ。親バカだ。
あ、ちょっと待って。よく見るとめっちゃ可愛い……そっちの扉を開きそう……
それから、一時間ほど、僕と優純さんの会話は続いた。
「……おお、もうこんな時間か。長居してしまってすまない。私はここらで失礼させてもらうよ」
そう言った優純さんは、すっかりカラになったカバンを持って部屋から出て行こうとして……
「……そうだ、良夜君。君になら、まどかを任せてもいいだろう。よろしく頼んだ、幸せにしてやってくれよ」
「ええ、そりゃもちろん!」
………………は?待て、今僕なんて言った?
「あっ、いや、待って、今のは違くて」
「うむ、わかっているとも。流れで言ってしまっただけだろう?」
あ、すんごい理解ある人だ!あれ?さっきと印象が違いすぎる!
「だが、いつでも歓迎するからな!はっはっは!では!」
「は、ははははは……」
一ノ瀬 良夜君か……いい子だ。あの子になら、本当にまどかを任せてもいいかもしれない。
「おや」
「…………こんにちは」
「こんにちは」
「あぁ、こんにちは。ご苦労」
部屋を出て廊下を歩いていると、まどか、未亜、もう一人男の子がベンチに座っていた。
「君も、こんにちは」
「あ、こんにちは…………」
うむ、男の子にはまだ警戒されているね!はっはっは!
「あ、あの、お父様……」
まどかが、おずおずと私に声をかけてきた。言いたいことはわかる。
「まどか」
「は、はい」
「いい友人を持ったね」
「––––––––はいっ!」
まどかは、満面の笑みで応えてくれた。
「…………彼氏にしちゃってもいいんだぞ?」
私はまどかの耳元で––––未亜とまどかの間で––––あえて未亜にも聞こえるように、しかし男の子には聞こえないように、そう呟いた。
「っ、〜〜〜〜〜〜っ!もうっ!」
「未亜ちゃんにお任せあれ!」
まどかは顔を真っ赤にして伏せ、未亜はピースを作ってにっこり笑った。ただ一人、男の子だけが状況を理解していなかったが、まあ、いいだろう。
「では、私はこれで失礼するよ」
それだけ伝えて、私は廊下を歩いていった。
まどか、彼らと楽しく生きなさい。
優純さんが部屋を出ていってから数分後。僕がもらった白撫さんグッズをもらった袋に丁寧にしまっているときに、部屋を出ていた三人が入ってきた。
「一ノ瀬君!」
「白撫さん!……ほら、一位!」
僕は、優純さんからもらった用紙––––空欄が多いが、順位だけは記録されている––––を見せた。
「はい、はいっ!」
白撫さんは、そんなものは知ってると言わんばかりに勢いよく僕に飛びついてきた。
「し、白撫さん!?」
「はい、はい!よく頑張りましたね、えらいです、えらいです!」
おふ、なんだかアレが僕の顔を包んでる!それと同時に、僕の頭を白撫さんの手が撫でている。
簡潔にいうと、馬乗りで愛でられている!?
「よく頑張りましたね、一ノ瀬君‼︎」
…………どうやら、倒れるまで勉強頑張ったら、美少女が褒めてくれるそうです!
ここまで読んでいただきありがとうございます。
村人Bです。
二章完結なり。いや、正確にいうと後日談があります。多分。
作品自体はまだまだ続きます!( 厂˙ω˙ )厂うぇーい
そうそう、まだまだ続くで思い出したんですけどね……
インフルの時に、テレビをよく見るんですよ。その時に、「まだまだ続くよ!」ってたまに言われるんですよ。でもあれ、2分くらいじゃないですか。全然「まだまだ」じゃないですよね。「もうちょっとだけ」の方がいいと思うんです(*`・-・´*)
まあ、この作品自体は「まだまだ」続くので、応援していただければ幸いです!
ということで、今回はここまで!読んでいただきありがとうございました!
二勝完結、ポイントとか評価とか感想とかレビューとか感想とか感想とか欲しいなぁー!くれないかなぁー!お願いします!m(_ _)m
それでは!
次回もよろしくお願いします!
村人Bでした!ばいばいヾ(・ω・`)




