百一話 でーと!
「お、お待たせしました!」
出かけよう、という白撫さんの誘いによって僕は今駅前の時計台にいた。そして、その白撫さんもちょうど今集合場所に到着、顔を合わせたところだ。
こういう時って「俺も今きたとこ☆」っていうんだっけ?絶対やんないけど。
「大丈夫だよ。じゃ、いこっか」
「えっ、あ……はい」
「ん?どうかした?」
「いえ……」
なぜか「こいつまじか」みたいな顔をされた。僕なんかしたっけ?
「そ、その……」
少し顔を赤くしながら、もじもじする白撫さん。
「え、えと……す、少しおしゃれしてきたんですが!」
こいつまじか。あえて触れなかったのに。
ブッサイクな猫か虎かわからないバケモンがプリントされたTシャツにジーパン。それが彼女のファッション。
「ど、どうでしょう!」
「どうなんすかねぇ……ははは」
「だ、ダサいと思うのですが!」
思うんかいっ!
「そこで、その、私の服を選んでもらえないでしょうか!一ノ瀬君が選んでくれたものならなんでも着ますよ!」
よっし水着だ!……って、なんだ、そういうことか。
「別に変な格好したり理由つけたりしなくても、僕でよければ服くらい選ぶよ。センスは保証しないけどね」
「えっ……見抜かれて……!?」
逆にわからない人っているんだろうか、あの棒読みの台詞で。
「そ、それで、一ノ瀬君は私にどんなものを着せるつもりなのでしょうか……」
「変なものは着せないよ」
「…………本当に?」
あれれ?おかしいぞ〜?こっちも見抜かれてるよ?
「ホントウホントウ」
「なら、大丈夫です!」
あっやめてそんなキラキラした瞳で僕を見ないで!
「あ、そうだ!今度みんなでプールに行きましょう!その時の水着も選んでください!」
やっぱり見抜かれてんじゃねえか。
「じゃあ、早速行きましょう!」
意気揚々に、白撫さんはデパートに向けて歩き出した。
「おい」
「なに」
「絶好調じゃねえかっ!」
「やったぜやったぜ!」
これでまどかも遅れを取ることはないだろう。
「…………俺たち、なにやってんだ?」
「やめてそれを言わないで」
緑のTシャツに黒のズボン。完全に緑に溶け込むための装備。こんなの、客観視したら恥ずか死ぬ。
「はぁ…………あ、行こうぜ。あいつら、移動始めたぞ」
「あ、うん…………」
楽しそうに歩いていく2人を隠れて観察しつつ、程よい現実逃避を堪能する。
「ほんと、なにやってんだろ…………」
「いやだからいうなって。というか、お前が言ったんだぞ、追尾しようって」
「ははは、よくそんな血迷ったことできるよね……こんなバカ暑い日に。発案者はキチ○イだよ」
「だからお前なんだって…………もういいや、今日は俺らも楽しもうぜ。あいつらなんて知らねえ」
「それがいいや……」
仕事を放置するなんて、私は熱中症にでもなったのかもしれない。それと、ちょっと嬉しかった。




