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好奇心は夫を絶望させるが希望の種でもある。

南辺境の日差しは刺し殺すように振り注ぐ。

王都で夏の日差しが辛い話をしていたが南辺境にくらべたら実に柔らかいものだと痛感した。


人や家畜の屋外での活動は早朝か日暮れ、日差しの強い時間帯は普通日陰や屋内で大人しくしている。


南辺境騎士団(一部の馬鹿)を除いて。


殺人的な日差しの中で上腕筋や胸筋を汗で輝かせ訓練に励む狂気の集団を横目でみながら日焼けが重症化した騎士に使用する消炎を兼ねた保湿剤の素材集めをしていた。


王都に居た頃のような強制的な業務ではなく辺境に来てからは自発的に動いていていた。

充実した日々が楽しく夫婦の何気ない会話で胸が暖かくなる、話しかけて返事が返って来ることが何より嬉しい。


だから、何かを南辺境に恩返ししたいと思うようになった。


そこで、手始めに取り組んだのは訓練中に日焼けを通り過ぎて火膨れを起こした時の消炎剤を思いついた。

南辺境に自生する保湿力の高い多肉植物をベースに化膿や炎症を抑える薬草を混ぜた物は火膨れの悪化を抑え騎士団の薬師達から重宝された。


多肉植物は刈取り過ぎないよう幾らか残していたのですが領主屋敷周辺は取り尽くしたので範囲を…と思った時、見慣れない魔石を持った討伐帰りの騎士団員を見つけた。


魔石は討伐した魔獣の胎内で稀に見つかることがある。

魔獣の魔力が凝縮され石化した等諸説あるが現在は研究段階から抜け出ていない状況だが必ず何らかの加護を持っている。

召喚石と同様に魔力が少なくても魔石の加護を引き出せるため魔道具の核として利用され珍しい魔石は高額で取り引きされる。


私の中で未知の魔石。

好奇心が騒いで思わず何に使用する魔石か声をかけると返って来た返答はガッカリするものだった。


「良く分からない魔石なんで裏庭に廃棄するんです。」


王都なら魔法省に未知の魔石は届け出て鑑定し対応を検討するがここは南辺境で『分からないもの=要らない』という思考回路の土地だった、忘れていた。


「魔石を廃棄している場所に案内してください。」


真剣な私の勢いにビビった騎士団員が案内してくれた場所は領主屋敷を囲む屏と建物の入り組んだ隙間に作られた秘密の庭だった。

植えられた棗椰子やアデニウムに違和感を感じながら魔石が固まっまって埋められた場所に案内された。

屈んで探そうとした気配を察知したのか侍女が自ら掘り起こすと進み出た。

ただならぬ雰囲気に背後にいる騎士団員は大きな図体で震えているため鬱陶しい。


黙々と魔石を砂地から掘り起こした所、5つほど乳白色の希少魔石見つかり侍女の鑑定眼から『増殖』の加護を持っていることがわかった。

ふと、周囲に生えている植生を確認した。

…多いのだ、葉も棗椰子の実の数も通常の倍以上ある。


魔獣の生殖器付近で見つかることの多い希少魔石がスタンピードの引き起こしていた可能性が否定できない。

他にもあった可能性があるが腐食して溶解したと思われる小さめな物を選び王都に送っても調べて貰う事にした。

大きな物を王都に送ってもっと欲しいと言われても現時点では数が少ないし私も使い道を色々探りたい。


魔石以外に襤褸布に包まれた()()()も見つかった所で背後の扉が勢い良く開いた。


「あっ…あぁぁ……あ…。」

振り返ると青い顔をした夫が私達の手元にある襤褸布を見つけ庭の敷石に膝から崩折れるように埋まるよう倒れ混んだ。


後に私達は夫が隠したかった脱毛共同墓地(パンドラの匣)を空けてしまった事を知る事になる。

次回、王都に住まう一般市民からの目線。

『反抗期の息子に殿下の処遇が良く効く』

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