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みんなとお婆ちゃん
蒸し暑い夜が明ける。
呼び出された伊藤さんのご家族が泣いている。甥御さんとそのご家族だ。
何故か安西氏の元ご家族二組もいらしてる。やっぱり泣いている。どういう関係だろう。伊藤さんが残されたご家族に何かされてたんだろうか。
伊藤さんならありえそう。
そんな私もそのまま病院に付き添い、今は容態の安定した伊藤さんの寝顔を見てる。
伊藤さんが目を覚ます。
「…あれ…?」
「あれ?じゃないよ叔母さん!」
「そうよ大叔母ちゃん!」
「伊藤さん心配しました」
「ホッとしました伊藤さん」
「伊藤のオバチャン、クソ親父に連れて行かれなくて良かった」
「そうよお婆ちゃんはダメよまだ行っちゃ!」
みんなが一斉に「伊藤さん」コールする。
ぼんやりする伊藤さん。
「…なんだか…」
伊藤さんは見回す。
「みんなに…会った…気がするの…」
ぼんやりぼんやり伊藤さんは微笑む。
なんだか皆涙ぐむ。
『みんな』はきっとここの『みんな』じゃないんだろう。
おそらく『みんな』わかってる。
たとえそれが妄想でもせん妄でも幻覚であったとしても。
今朝のニュースは月面移住計画の再始動がトップだった。
今日で明けるお盆は朝から暑くて
アブラゼミがひたすら鳴いていた。




