第十二章(4):愛の証、目覚めの朝
夜が明け、柔らかな朝の光が部屋に差し込んできた。
目覚めると、私はルシアン様の腕の中にいた。
彼の温かい腕が私をしっかりと抱きしめ、規則正しい寝息がすぐ耳元で聞こえる。
昨夜の甘く熱い余韻がまだ体中に残っていて、目覚めたばかりの意識を、とろけるような幸福感で満たしていく。
顔を上げると、ルシアン様が静かに眠っている横顔があった。
朝日に照らされた銀色の髪が、彼の白い肌にさらりと落ちている。
その完璧なまでに美しい寝顔は、まるで絵画のようだった。
こんなにも近くで、彼の無防備な姿を見つめることができるなんて、夢のようだ。
(本当に…私、ルシアン様と夫婦になったんだ…)
改めてその事実を噛み締めると、胸がいっぱいになる。
私がじっと見つめていることに気づいたのか、ルシアン様の長い睫毛がゆっくりと震え、蒼い瞳が薄く開かれた。
視線が合うと、彼の瞳の奥に、夜とは違う、穏やかで限りなく優しい光が宿る。
「…セラフィナ…」
掠れた、けれどどこまでも甘い声で、彼は私の名を呼んだ。
その声は、昨夜の情熱と、今朝の満ち足りた安らぎが混じり合った、特別な響きを持っていた。
彼はそっと私を引き寄せ、額に優しいキスを落とす。
「よく眠れたか?」
その問いかけに、私は小さく頷いた。
恥ずかしさと、この上ない幸福感が入り混じって、言葉が出てこない。
ルシアン様は私の頬に手を添え、親指でそっと撫でた。
「昨夜は…その…俺は…自分を律することができなかった。お前を傷つけはしなかったか?」
その言葉に、昨夜の彼の葛藤と、私への深い配慮が滲んでいるのが伝わってきた。私は首を横に振ると、彼の胸に顔を埋めた。
「いいえ…ルシアン様の温かさで、私は…、とても幸せでした…」
絞り出すようにそう伝えると、ルシアン様が安堵したように息を吐く。
(ああもう、ルシアン様ってば、本当に罪な男! 昨夜のあの完璧すぎる肉体美も、月明かりに照らされた彫刻みたいな姿も、ぜーんぶ私の目に焼き付いて離れないんですけど! 脳内では「公式供給! 全裸バージョン! ひえええええええっ!」って大絶叫だったし、あのサラサラ銀髪が肌に触れるたび、色気ダダ漏れの推しに、本気で鼻血出そうだったんだから! しかも、「お前に優しくできるか自信がない」って言いながら、底なしの愛で私を求めてくれたじゃないですか! もう、すべてが最高すぎて、私の心臓、全然追いつきませんってば!)
彼は私をさらに強く抱きしめ、二人の体が隙間なく密着する。互いの肌の温もりと、鼓動が心地よく響き合った。
「…ありがとう、セラフィナ」
彼の声は、感謝と、そして深い愛情に満ちていた。
彼の唇が、私の髪にそっと触れる。
朝日は次第に高く昇り、部屋全体を温かい光で満たしていく。
二人の間には、もはや何も隔てるものはない。ただ、深く、そして永遠に結びついた愛だけがあった。




