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終章:希望の円環、そして推しと歩む未来


勇者の世界の挙式を終えた数日後、私たちは佐倉花の世界、日本へ一時的に帰国することになった。


すでに日本で、家族や友人を招いて簡素ながらも温かい結婚式を挙げた私たちだが、今回は異世界での盛大な魔法使いの王としての結婚式の映像を、改めてみんなに見せるためだ。


魔王と勇者という身分を超え、互いを深く愛し合った私たちの、異世界での姿を皆と分かち合いたかった。



実家へと足を踏み入れると、懐かしい空気が私たちを包み込んだ。


温かく出迎えてくれた両親は、すでに私たちの結婚を心から喜んでくれている。


私がルシアン様の隣で心から幸福そうにしている様子を見て、改めて感無量の面持ちで頷いた。



持ち帰った魔法使いの王としての壮麗な結婚式の映像を流すと、皆の目は釘付けになった。


壮大な城、神秘的な魔法、そして何よりも幸せそうな私たち二人の姿に、みんな感動してくれた。



「うわーっ! ルシアン様、めちゃくちゃカッコいい!」



「花もすっごく綺麗だよ! 本当におとぎ話みたい!」



有紀と健太郎の興奮した声が響く中、私も皆の祝福を全身で受け止める。



ルシアン様もまた、佐倉家の温かい雰囲気に、いつものごとく居心地よさそうに微笑んでいた。




日本滞在中、私はガイア様へのお土産にと、最新の乙女ゲームを何本か手に入れた。


きっと喜んでくれるだろう。







日本での報告を終え、私たちは次に魔界へと向かった。


三度の結婚式を終え、ついに魔王と勇者が夫婦となったことを、魔界の皆に正式に報告するためだ。



魔王城の広間に集まった魔族たちは、私たちの帰還を心待ちにしていた。


緊張した面持ちで見守る彼らの前で、私たちは改めて結婚の報告をした。



ルシアン様が私の手を握り、彼の言葉で永遠の愛を誓うと、広間は熱狂的な歓声に包まれた。



「ルシアン様、セラフィナ様、おめでとうございます!」



「ついに、魔界と人間界に平和と幸福が!」



皆の喜びの顔を見て、私まで胸が熱くなる。



そして、日本の家族に見せた魔法使いの王としての結婚式の映像を魔界で流すと、再び大きな歓声が上がった。


異世界の文化、そしてルシアン様の新たな一面に、魔族たちは目を輝かせた。


彼らがこんなにも無邪気に喜んでくれる姿を見て、私は改めて、この世界の平和と、ルシアン様との未来を護っていくことを心に誓った。







最後に、私たちは神界へと向かった。


この奇跡的な巡り合わせを可能にしてくれたエリアス様とガイア様へ、心からの感謝を伝えるためだ。


神界の荘厳な空間で、エリアス様は温かい笑顔で私たちを迎えてくれた。ルシアン様と共に、私たちはこれまでの感謝を述べた。


「ルシアン君、セラフィナ君。私の推しである、君たちが互いを見つけ、真実の愛を育んでくれたこと、心より嬉しく思う」


エリアス様が慈愛に満ちた声で語りかける。



ガイア様は、腕を組み、顔を少しだけ背けながらも、その瞳の奥には柔らかな光が宿っていた。


「まったく、私の美しい世界をこうもめちゃくちゃにしてくれたわね、アンタたちは!…はあ…。まあ、私の専属の騎士たちが頑張ってくれたおかげで、どうにか世界も持ち直したってことを、しっかり感謝しなさいよね!」とガイア様が言う。


私は、日本で手に入れた乙女ゲームをガイア様に差し出した。


「ガイア様!これ、ご所望の『魔法使いの王ルシアンと四人の勇者の物語』の乙女ゲーム限定版です! きっと、ガイア様のお眼鏡にかなうと思います!」


ガイア様は一瞬、目を輝かせたが、すぐにその表情を元に戻し、フン、と鼻を鳴らした。


「ああ、例の。今更、私にくれるわけ?…べ、別に、欲しかったわけじゃないけど…まあ、せっかく持ってきたんだから、見てあげなくもないわ。」


そう言いながらも、ガイア様は差し出したゲームを素早く引っ手繰るように受け取り、その瞳はきらきらと輝いていた。


その無邪気な笑顔に、私まで嬉しくなる。



傍らでは、エリアス様や他の勇者たちも、その様子を温かく見守っていた。


そして、エリアス様が私たちに柔らかな視線を向け、にこやかに言った。



「君たち勇者の物語は、まだまだ書き続けるからね。次はカスパール君とローゼリア君の挙式かな?楽しみだよ。」


その言葉に、カスパール君は「な、なんだってんだよ、急にそんなこと言うなよ!」と顔を真っ赤にしてプイと横を向く。


ローゼリアちゃんも「え、ええっ!? エリアス様ったら!カスパール君も、もう!」


と顔を手で覆い、二人で恥ずかしそうに身を寄せ合っていた。


その可愛らしい反応に、思わずみんなから笑みがこぼれた。



かつて世界を救うための勇者となった私たちは、今、それぞれの場所で幸せを見つけ、新たな未来へと歩み始めている。




ルシアン様がヴェクスと共に異界に跳び、一度は廃れた魔法文化。


三千年の時を経て、魔王にして再び魔法使いの王となったルシアン様は、その古き良き伝統を復活させるべく、壮大な計画を立ち上げていた。



それは、若き才能を育む「王立魔法学院」の設立だ。



学院では、様々な才能が開花できるよう専門的なコースが設けられた。


ルシアン様は自ら魔法学の最高指導教員となり、アルドロンさんはその深い知識で賢者の道を、カスパール君は自身のルーツを活かした魔術(闇の魔術)の、ローゼリアちゃんは癒しの力で聖職者(ヒーリング)の、そして私は剣術の指導教員として、それぞれの道を教えることになった。



「リル、入学を楽しみにしているわ!」



幼いリルも、目を輝かせて学院への入学を心待ちにしている。


彼の無邪気な声に、私たちの胸に新たな使命感が芽生えた。


この学院が、未来の世界を担う多くの勇者たちを育んでいくことだろう。






―――そして、私たちの物語は続く


白亜の城の広間。


五光の勇者たちが集まり、未来への希望に満ちた顔で語り合っていた。



「チッ、ま、これから色々あんのは、しゃーねーけどな。でも、予想外のことってのは……悪くねぇ、だろ?」


カスパール君は照れくさそうに頭を掻きながらも、楽しそうに笑う。


アルドロンさんも静かに頷く。


ローゼリアちゃんの桃色の宝珠が優しく輝き、フワワはカスパール君の肩で満足げに身を震わせた。


ルシアン様は私の手を握り、その蒼い瞳は未来を見据えている。



「そうだな。だが、どんな困難も、この仲間たちと、そしてお前がいれば乗り越えられる」



ルシアン様の言葉に、私の胸は温かい光で満たされた。





私の推しは、ルシアン様!



前世、日本の女子高生・佐倉花だった私が、この異世界で勇者セラフィナとして転移して、一度は寿命を終えたんだ。


それでも、私の魂は彼をずっと求めてて、奇跡みたいに、またセラフィナとしてこの世界に転生できたんだよ!


三千年っていう途方もない時間が流れてて、また会えた推しは、まさかの「魔王様」になっちゃってたけど――



どんな姿になっちゃっても、ルシアン様がルシアン様である限り、私の「推し」であることに変わりなんてなかったの!


色々な大変なこともあったけど、魔王と勇者っていう身分なんて関係なく、ただ一人の人間として、深く愛し合って、一緒に歩んでいくことができた!


この奇跡に、本当に心から感謝してるんだ!



私とルシアン様の、愛と希望に満ちた物語は、これからもずっと、ずーっと続いていくんだ!




「転生したら推しが魔王様になってた件」

これにて、おしまい!




あとがき

読者の皆様、ここまで長きにわたり「転生したら推しが魔王様になってた件」にお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

佐倉花がセラフィナとして異世界に転移し、大好きなルシアン様と出合い、再びセラフィナとして転生してからも様々な困難を乗り越えて夫婦となるまでの道のりを、皆様と共に歩んでこられたことを心から嬉しく思います。皆様からのブックマークや評価が、私自身の創作意欲を支える大きな力となりました。感謝しかありません。

この物語はここで一区切りとなりますが、彼らの未来には、まだまだたくさんの「予想外」な出来事が待っていることでしょう。もしかしたら、未来を担う王立魔法学院の生徒たち、特にリルの成長を描く物語が生まれるかもしれませんし、他の勇者たちの新たな展開もあるかもしれませんね。

また、どこかの物語でお会いできることを願って。

心からの感謝を込めて。


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