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26 宙ぶらりん
たしかにここにあったはずだ、と。
ピエロが泣き顔で呟くのを、私は黙って聞いていた。
遠くの空に浮かぶ雲の行く末を知る者はいないまま。
「花が散るのは運命かしら」
綺麗な人は中指を折って去ってしまった。
巨大なミミズクの羽音に驚き、口に諸悪の根源を投げ入れる。
夢中で走りまわった日々が懐かしく感じられた秋の日の午後。
公園で彷徨う一匹の幽霊を見つけ、探し物を尋ねる。
「みつけにくいものです」
寂しげに顔を伏せる。
足は透けていた。
妄想と現実が溶けあっている夕方なので、あの人は正気を失っているのだ。
もれなくついて回る噂話に辟易し、夜中に叫び声を上げたくなる飛車。
核酸はデオキシリボ。
「鼓動はおよそ半年で息絶えることだるぉ」
老人の迷い音を聞きながら、月の光にその身を晒した。
首は未だにつながっていた。




