与えてみた
「はぁ疲れた」
「毎日こんな感じだよ」
「そんな!?」
日も暮れ、修行が終わった。
頭使う。
体力使う。
これが毎日?
「はは。冗談だよ。座学だけの日もあるよ」
「労力の合計は変わらないんだね。いいなぁ。ヌガーもミルフィーも完遂できる体力があって」
「まぁ僕も元からできたわけじゃないからね」
「ミルフィーは最初からできたじゃん」
ヌガーの顔が強張った。
少し面白かった。
「ほ、ほら、彼女は僕たちより年上だし」
「はぁ。どうせ僕は才能無いから2年たっても彼女並みにはならないよ」
「……僕だって……お姉様のようにはなれないと思う」
「ヌガーはならなくたっていいじゃん。もうすごいから」
「いや、それは……」
え?
なんで顔赤らめてるの?
ははぁん。まさか。
「お姉さんのこと好きなの?」
「なんでそうなるんだ!」
「いや、見た目的にも明らかじゃん」
「いや、そんかに!?」
好きな相手がいるとなれば、
やることはひとつでじょ。
「抱きつくのだヌガー」
「え?」
「いや、だって好きならやらないとダメでしょ?」
「なんで強制なんだ!」
なんでそんなに嫌がるんだろう?
「簡単だよ『お願い抱きしめて』って言って手を広げるだけだよ」
「恥ずかしすぎるよ!」
「なにも恥ずかしがることはないさ。さぁ、やってくるんだ」
「え?今?」
「もちろん」
ということで、ヌガーの手を引き、寝室から彼を連れ出そうとした。
しかし彼は抵抗する。
「もう。行こうよ」
「でも恥ずかしいじゃん」
「はぁ。分かったよ」
「やっとわかってくれた?」
「じゃあ僕で練習しよう?」
「え?」
僕は手を広げようとした。
しかしそれをためらう。
違う。これではダメなんだ。
「ヌガー。さぁ言うんだ。『お願い抱きしめて』って。そして手を広げるんだ」
「なんだよその羞恥プレイは」
「え?どこが?」
「そのぅ。姉ならまだしも、友達にこれって」
あ、姉はいいんだ。
「ヌガー。君はたぶんこのままだとお姉さんにもハグはしない」
「え?別にしなくたって——」
「いつまでもハグできるとは限らない。今の君ならきっと間に合う。あ、間違えた、似合う」
「似合うって何だよ!」
二人が抱き合う姿を見たいってことだよ?
「ということでやって」
「無理」
即答か。
「えー」
「残念がってもやらないよ」
くそぅ。
あ、そうだ。
僕は彼に向かって手を広げる。
「え?何してるの?」
「さぁ。来い」
「まさか」
「僕に抱きつくんだヌガー」
「はぁぁぁ?」
顔を赤らめるヌガー。
何が恥ずかしいんだろう?
「無理だよ!」
「なんで?」
「なんでって……恥ずかしいからだよ!」
「僕は恥ずかしくないよ?」
「シルフィーはそうかもしれないけど!」
そうなの?
抱きしめてもらうのって、そんなに恥ずかしいのかな。
「ほら。早く」
「なんで急かすんだ!」
「じゃあ、いつまで待てばいい?」
「それは……」
「……明日まで?」
ヌガーが目を泳がせる。
しかし——
「今やらないと。だめなんだ。思いついたら吉日だからね」
「抱きしめを奨励しながらいわれても」
僕はもう一度、両手を広げた。
「ほら。来い」
「うう……」
一歩。
ヌガーが近づく。
でも、止まった。
「ちょっと!」
「わかってるよ!」
また一歩。
「あとちょっとだ」
「だから急かさないでって!」
そして――
ぎゅっ。
「……」
ヌガーの顔が、僕の肩に触れた。
最初は、腕が宙に浮いていた。
「ヌガー?」
「……これ、どうすればいいの?」
「抱きしめるんだよ」
「それがわからないんだよ!」
ええ?
「こうするんだよ」
僕はヌガーの背中に腕を回した。
「……あ」
しばらくして、ヌガーの腕もおそるおそる僕の背中に回る。
「できましたね」
「……うん」
思ったより、強い。
「ヌガー?」
「……もうちょっとだけ」
え?
「練習だから」
「うん。いいよ」
なんだ。
やっぱり、甘えたかったんじゃん。
◆
「え?何やってますの?シャルロット様」
「あらまぁ」
「あらまぁじゃありませんわ。姉として思う事はありませんの?」
「ちょっと——」
ほっとするミルフィーユ。
「やはり」
「甘えるべきだと思ってました。ヌガーは」
「シルフィーにつくのですの!?」
この日の事は二人だけの秘密。
そう、ヌガーとシルフィーは思っていたが、意外とそうでもなかっただとか。
――そして、一年の月日が流れた。
作風を変えて本作を描きたいと思ったため、神様のミステイクはいったんここで完結にしたいと思います。
別枠を設けてそちらで続きを書いても良いのですが、いったんコミカライズ原作として持ち込みをしてみたいですね(^^♪)
ここまでご愛読ありがとうございました。またお会いできると嬉しいです。




