15話 襲撃
僕は、ウェストヘイルに向けて帰路についていた。
バーイヤー辺境伯領に入りウェストヘイルまでほぼ1日の所にたどりつき……
僕は油断していたのだろう。
事件が起きた。
乗合の馬車で揺られ、ウェストヘイルまでの道のりの半分を来たころ、物陰から街道に人影が馬車を遮るように現れ、御者が驚き馬車を止める。
「何をしているんだ、危ないだろう」
御者はそう言いかけたが、次の瞬間首が飛んだ。
僕は御者をうしなった馬車の中に激しく頭をぶつけた。
「御者が殺されたぞ‼逃げろ、逃げるんだ‼」
そういって乗合で馬車に乗っていた男が一人馬車から飛び出す。
しかし、次の瞬間その男の首も飛んだ。
「ヴェルフと言う者はいるか……?降りて来るならば、他の者の命は助けよう」
乗合の人達は震えていた。
僕は立ち上がり、馬車の外へとゆっくりと出ていく。
「僕がヴェルフだ‼要件はなんだ……?」
僕は馬車から降りながら、ゆっくりと、相手を刺激しないように地に降りる。
馬車を降りた先で、フードを被った人物が僕の方を見ていた。
顔はよく見えない。
「何が目的だ!」
しかし、僕の問いにフードの男が放ったのはナイフだった。
そのナイフは、馬車に命中し、そして爆発、馬車は木っ端みじんに吹き飛んだ。
「お前!お前は何をしたか分かっているのか⁉」
僕の怒号に、フードの人物は、間髪を入れずに話し始める。
「私は黒の首の首領、今しがた邪魔な他人は消させてもらった」
フードの男、黒の首の首領と申し出た男は淡々と語る。
「ただではおかないぞ、その怒りで悪しきに罰を、ライトニングブレイク‼」
僕は黒の首の首領に雷の魔術を放つ。
それは、確実に彼に命中した。
しかし……
彼はその場から崩れ落ちることも、苦悶の声を上げることもない。
「その程度か?」
彼から帰ってきた言葉は残念そうな、あきれたようなそんな声だった。
「同類を見つけたと思ったが残念だ」
黒の首の首領は落胆をあらわにする。
僕の魔術をもろともせずに、黒の首の首領は、僕に向けてナイフを投げつけてきた。
警戒はしていたものの、彼の鮮やかなナイフさばきに対応することができず、防御魔術が遅れてしまい僕はナイフの直撃を受ける。
僕は、腕にナイフを受け、恐ろしい痛みに襲われた。
恐らく毒だろう。
僕はその場に崩れ落ちた。
「安心しろ、お前の命はとることはできない」
黒の首の首領は淡々と告げる。
その言葉を聞き取り、僕はその場で意識を失った。
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黒の首の首領は、ヴェルフの心臓に向かってナイフを突き立てる。
あっさりと胸をこじ開け、ヴェルフリッツの心臓がむき出しになった。
「これは……あらけずりだが、完璧な代物だ」
黒の首の首領はヴェルフの心臓をマジマジと観察する。
ヴェルフリッツの心臓には魔法陣が輝いていた。
「面倒だが、また会うこともあるだろう、完成された不死者よ……」
感情を感じさせない不気味な声で黒の首の首領は告げる。
黒の首の首領はヴェルフリッツを残し、街道の物陰へと静かに消えて行った。




