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█の見た平和  作者: 白河田沼


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第11話 三人目の裏切り者

「貴方の子種を私の胎に注いで下さい。」

と淫猥な娼婦のように笑みながらもそう言った。

「断る」というルシファーの言葉を微かに期待しながら、

けれど、誘うように、

服を脱ぎ捨てた裸の状態で

胎の上に白魚のような手を這わせて

瓶底眼鏡越しでは無い、

沈みかけの上弦の月のような赤い瞳で見つめてそう言った。

「情報の種計画」に記された特記事項通り






「断る。」

とただ一言、ルシファーは言った。





◻︎

あの後、二年程時間が経った。

殆どの研究員が裏切り辞めていった。

おそらく黒の魔女であるフリージアの事を信じられなくなったのだろう。

彼女達が信じていたのはいい意味でも悪い意味でも"ローズ所長"だったのだ。

断じて第二次七国戦争を引き起こした黒の魔女ではなく。

それも仕方がない。

ローズの仇であり、フリージアの父親であるヨセフ・ブルーリィンカーネーションとの研究で、

一週間程前、情報の泡の擬似生成にも目処が立った。

あとは本番を待つまでである。

大罪術式後継者であるルシファーが連絡したのか、

それとも「戒めの鎖」が数秒解除した事を重く見たのか、アドナイから「戒めの鎖」の魔素を操れなくする力を解除するかを会って直接聞かれたフリージアである。



その提案は断った、最後の裏切り者の正体は割れているのだ。もう居なくなった彼だが、憤怒の術者に関係する事は知っている。

だからこそ、どこに居ようと地獄の底まで追いかける気のフリージアである。





ルシファーの子を孕めなかった事、

フリージアは一辺も後悔していなかった。

この二年間で背中まで伸びていた髪が腰まである長い黒髪にまで変わったように、

けれどルシファーに対して「対話によって生まれる「平和」で形作られた誰も憎む必要の無い世界」

それを創る為の情報の種計画、

それの中の特記事項に記された大罪術式次期後継者でしかない。

・・という思いも変わらなかった

そう、その筈だ。

だからこそ、裏で糸を引く彼に対するこの胸に燻ぶる思いはしまっておくのだと、

フリージアは自分に言い聞かせた。

この二年間で裏切り者達が送って来た刺客の数がうなぎ上りに上がっていったが、毎回フリージアやルシファー顧問が対処していた。

首席補佐官でもあるルシファーの事は頼っている。

それが何れ切り捨てなければ行けない敵だとしてもだ。



所で二年経ってまだフリージアは赤子を産まずにいた。

堕胎したのではない、

未だに赤子の成長を止め、多重結界で守っているのだ。

だからこそ、「母を許して下さいね。」と未だに育ち切らない情緒を使い言って、

優しく腹を撫でさする事が癖に成っていた、フリージアである。

残った研究員とは業務上の事は話せているものの距離を置かれているのが現状だ。

和解する事を自ら拒絶したフリージアである。












「・・・・・」

沈黙の内に体を泡の付いたタオルで拭い、汚れと汗を落としていく。

17歳になったフリージアの裸は神秘的になっていた。

成長して尚、肌は更に白く瑞々しく、

髪に隠された乳房は年に相応しく、けれどその豊満さを増し、

日々のジム通いと散歩のおかげかくびれは女神像のように綺麗になっていた。

臀部は若者でありながら、

日々の運動と健康的な食習慣によってかあの時よりも程よく肉が着いていた。

沈みかけの上弦の月のような瞳を持つ、黒髪赤目の魔女、その恐ろしさすら感じさせる美貌に相応しいスタイルを兼ね備えていたのだ。

175cmという褒められるような身長を持っていたフリージアである。












「波瀾万丈の二年間でしたね、私の至らなさの結果を凝縮させたような二年間でした。

ローズの仇は本番で打つ機会があるかも知れませんが、その前にこの子を産んであげられなかったのが心残りでしょうか。全く煩わしいですね」

そう言えば、優しく腹を撫でさするフリージアである。

三人目の裏切り者について、フリージアは既に情報をある程度仕入れていた。

憤怒の術者の部下であった彼は、けれど既にここに居ない。

フリージアが黒の魔女だと分かり、

多くの元WPRI研究員が刺客を送るようになった今、WPRIに潜入する理由が無くなったのだろう事は理解した。











「・・・けれど、きっと「罠」を貼っても彼は帰ってくる。多くの真実を明かすと言って、

私を敵視する元WPRI研究員を引き連れて、

そのリーダーを彼は引き受けてくるでしょう。

彼はそういう男だ。であればこちらの手段は限られています」

そう言えば、けれどフリージアは温水を止めて扉を開ける。棚の上に置いていたタオルを用いて体に付いた水滴を落とせば、

けれど「戒めの鎖」がじゃらりと鳴るのも気にせずに、服を着ていくフリージアである。

ブラのホックを止め、

ショーツを履き、

タートルネックを着込む、

パンツスタイルのボトムスに足を通す。

そして瓶底眼鏡を付ければ「神」のように笑んでフリージアは言った。











「「対話によって生まれる「平和」で形作られた誰も憎む必要の無い世界」を創りこの子に見せる為にも貴方を迎え撃ちましょう。

"人類の未来の為に"「平和」を成す為に」

そうして、ベッドの前に立てばフリージアはいつものように再び服を脱いだ。

いつものように全裸で布団で包まって寝る為に

まるで「神」に生贄を捧げるかの様に、











◾️

その日は正しく最凶の日だった。

監視カメラ越しに研究所の前に多くの元WPRI研究員が居たのを見たフリージアとルシファー顧問である。

それをWPRI研究員達はカタカタとコンピュータを叩きながら、霊子コンピューターの操作を行っていた。

畏敬するような瞳をした、赤髪赤目の中年の男

ミケリア・スミルナを中心としてある実験を行うつもりであったのだ。

その実験の内容を聞きつけたのか元WPRI研究員達はこう外の森を背に叫んだ。







「「出てこい、黒の魔女!

貴方に死の餞別を送ろう、

出てこないというのならこの森の中で七国中に「真実」を告げてやる!!」」

と、瓶底眼鏡をくいっと上げるフリージアの呑気な様子を知ってか知らずか。

元WPRI研究員をリーダーとしてデモを起こすようにそう言ったのだ。

その言葉に最早反応するWPRI研究員では無かった。

彼らは知っていた。

情報の種計画の第三段階▇への挑戦が、

世(・)界(・)全(・)て(・)の(・)人(・)間(・)を(・)含(・)め(・)た(・)生(・)物(・)の(・)「死(・)」である事は理解していたからだ。

元WPRI研究員ですら知るその事実をけれど今更突きつけられようと、WPRI研究員である彼らからすればどうでも良かった。

フリージアの母親が、

あの全知全能の「魔女」である傲慢の術者である事も既に黒の魔女の経歴から知っていた彼らである。

そんな物知りの彼らを部下として持つルシファーはけれどこう言う。










「既に補給物資輸送機が数台壊されている。

全て壊されるのも時間の問題だろう。

この嫉妬の街の外れにある森での補給物資の枯渇はWPRI全研究員の「死」を意味する。

我々はこの問題に必ず対処しなければいけない訳だが、どうするフリージア所長」




「"ローズ所長"と呼んでください、

兄弟姉妹(きょうだい)を名乗る愚か者、

万が一ここの監視カメラに残った音声記録を大罪の術者に渡さないといけなくなった場合、

面倒な処理が必要になりますから、これ以上私の手間を取らせないで下さい。」






「であれば、どうする迎撃するか?

この研究所前でのデモは明らかに罠だぞ。」





「いつも通り、ここは私が出ます。ルシファー顧問は研究員を守っていて下さい」

瓶底眼鏡をくいっと上げてそう言えばけれどフリージアは研究室の扉の前に立った。

「転移門を開いて下さい。」

そんな言葉に「はい」と淡々とした返事が返ってくれば、研究室の門が光りだす。

けれど光を放ちながら扉が金属が噛み合うような音をさせながら形を変えた後、

数度回転するように錠前自体が駆動すれば、

しゅーと空気を吐き出すような音と共に開いた。

そうして、何度目とも知れない光景に目を見開いていればけれどそこには居た。






元WPRI研究員達が、

刺客を送ってくる敵が目の前に居た。

それを前にして黒い気配(オーラ)が放たれる。

預奪の魔術を用いて数秒間だけ「戒めの鎖」の機能を解除したのだ。

けれどそれを気にもせずに瓶底眼鏡をくいっと上げた後、

胸ポケットからナイフを取り出す。

そうして外に一歩を踏み出せば、けれどグサリと言う音に足を止める。











「お久しぶりですね、黒の魔女殿」

痛烈な痛みと吐血と共に下を見て、血に濡れた剣によって貫かれた胸を見る。

瓶底眼鏡とナイフが転がるのを視界に収めた後、

けれど振り返るフリージアである。

そうして見たのは畏敬するような瞳をした、赤髪赤目の中年の男。

ミケリア・スミルナだった。

彼は、更に剣をフリージアの胸に深く突き立てればけれど抜き放った後こう言った。

まるで畏敬する人物に話しかけるかのように、






「WPRIの「真実」をこの老躯めが明かしに来ました。」

畏敬するような瞳をした、赤髪赤目の中年の男ミケリア・スミルナはただそう言った。

そうして研究所の扉が自動的に閉まれば、

けれどフリージアは窮地に立たされた事を理解した。

「神」のような笑みを浮かべながら









◻︎

ミケリア・スミルナ研究員

彼は普通だった

憤怒の術者であるサタンの後見人として七大貴族である憤怒の一族として生まれた。

「憤怒の形相」という

赤い剣を父親から受け継ぎ、

赤髪赤目という憤怒の術者の家系にのみ受け継がれて来た特徴をミケリアは持って生まれた。

畏敬するような瞳をした、赤髪赤目の少年である彼は、平凡な日々を過ごしながらも友人を人並みに持ったという。して、魔女戦役を乗り越えてWPRIに所属した彼は周りに流される事すらなく性的に堕落しなかった。

嫉妬の街のスラム街で少女を買う老害に成り果てず、

その刻んだ脳味噌のシワを活かすように、"人類の未来の為に"「平和」の研究をしたのだ。

そんな彼が、フリージアの血液を浴びた剣を持って言ったのはこんな言葉だった。











「WPRIの「真実」をこの老躯めが明かしに来ました。」

畏敬するような瞳をした、赤髪赤目の中年の男である彼は、研究所の扉が自動的に閉まるのを歴戦の勘で感じる。「神」のように笑みながら窮地に立たされたフリージアを見てこう続ける。










「素晴らしい胆力ですね、

老躯である私ですが、それでも17歳にしてその精神力は恐れ入りました。」





「黒の魔女ですからね、がはっ

それくらいはぐふっ出来ないと第二次七国戦争で一千万人以上の命は奪えませんよ、ゲホゲホ

まぁ、私が殺したのは三百万人程度なんですけれど・・ガバっ」





「・・・それについてはこの老躯も理解しております。

私とて子供の頃世界各地の伝説や伝承を聞いて眠っていましたから。

所で再生が遅れているようですね、大丈夫ですか

もう一刺しすれば貴方の命も終わりです、頑張って下さいね、黒の魔女殿。」

そんな狂気に満ちた心からの優しさにけれどフリージアは再びガハっと血反吐を吐いた。

魔素融合炉が起動出来ない、

霊子融合炉を動かせない。

半ば以上まで霊子コンピューターと化した魔術式を辛うじて残った魔力で起動させながらも考える。

この再生阻害の力に少しだけ思い当たる節があったのだ。

レッドハット、

憤怒の術者麾下の特殊部隊彼らが使っていた剣に感じた気配に似ていると

第二次七国戦争の時に見たそれとは違う。

その「憤怒の形相」の赤い刀身はまるで使用者の憤怒を示すようにキラリと赤く輝く。

その刀身をフリージアに向けてミケリアはこう言う。












「この様子は全世界のメディアに同時配信させています。彼ら一般人にも知って欲しかったのです。

WPRIの裏に蠢く「真実」、

それを最も利用してきた黒の魔女フリージアについて、

いいえ、ここは敢えてロ(・)ー(・)ズ(・)所(・)長(・)と呼びましょうか、その彼女について語りましょう。」

「カメラ回ってます」という敵である元WPRI研究員の言葉を聞きながら、

フリージアは全身に魔力を流そうとして頭を「憤怒の形相」で刺し貫かれた。

脳味噌をぐちゃぐちゃと攪拌し、

それに連動してぶしゅーぶしゅーと血が噴出する。

不随意的に片方の目玉が自身の思う所とはあらぬ方向に回るのを気にもせず、

背後のミケリアをじっと見つめるフリージアである。

「早く話せ」と片目だけでミケリアに訴えたのである。




そうすればけれど、ミケリアはフリージアの脳味噌を攪拌する手を止めれば、

頭から「憤怒の形相」を当たり前の顔をして抜き放った。

投げ出されたように前に倒れ、

死にかけの死体のようにビクンビクンと体を痙攣させるフリージアの倒れた背中を踏みつけ、

血溜まりの中で殆ど死んでいる彼女をグリグリと淡々と足蹴にした後ミケリアは言った。










「WPRIではかつて所長によって実験が行われて来ました。

カーネーション首席補佐官の補佐の元、「覚醒者」の人体実験が行われていたのです。

その一人がこの実験体No.666と言われた。

黒の魔女フリージアです。

彼女は初代傲慢の術者ととある研究員の遺伝子を合成して生まれた人工の「覚醒者」でした。

残滓に等しい状態の常時発動型でありながら、

三つの魔術を同時に扱えたという傲慢の一族が調査によって解き明かした幼い時の彼女の能力の高さも。

実験体No.666であるが故だったのです。」







「そうして、生み出されたNo.666はけれど赤子の状態のままコールドスリーブされる事に成りました。

全知全能の「魔女」でもある、

現代に蘇った初代傲慢の術者アドナイの血を継ぐ彼女自体の体が赤子でありながらも危険視されたのです。

そうして、コールドスリーブされて100年後。

世界歴1115年、今から約17年前にある愚かな学者により彼女は外の世界に連れ出されました。

マリア・エフェソス、先代傲慢の術者です。」





「彼女は知っていたのです。

この子が代々傲慢の術者に受け継がれた「魔女」の血を継いでいる事を、

彼女が、伝説の黒の魔女である事を」






「けれど、彼女は目の前の凍結された赤子を

赤子の血液を輸血パックに詰めるように取り出し、

細部に至るまで切り刻まれ解剖されるこの状況を看過できなかったのです。

そうして、赤子を連れ出し、

逃げ出した彼女は七国中を指名手配されました。

なにせ純粋な「魔女」の後継者の一人です。

それを持って逃げ出すなど、許されざる事態でした。

「「覚醒者」にあらずんば人に在らず、傲慢の街の国民にあらずんば人に在らず。」と言われて来た傲慢の街からも彼女は自身の善行故に、

半ば追放される事になったのです。

それこそが傲慢の街が所詮は人によって統治された国家に過ぎない事を如実に示していました。」






「そうして、七国中を逃げ回った彼女は嫉妬の街のスラム街の裏路地で倒れてしまいました。

その赤子を愛おし気に抱きながら、

生活費の為に男に身を捧げて身重になった体で、

その赤子が自身の死肉を糧として生き残り、

対話によって生まれる「平和」を目指す事になるとも知らずに。

その赤子が己同様男に身を売り、

人を殺して結果巡り巡って孕まされる事になるとも知らずに 、

伝説の黒の魔女になる事も知らずに」

血溜まりの中でビクンビクンと痙攣しながらも、

死にかけ故に虚になった、

沈みかけの上弦の月のような赤い瞳を、ミケリアに向けていたフリージアの瞳が大きく見開かれる。

死に損ないの状態であってもフリージアの耳には聞こえたのだ。

先のミケリアの冗長なけれど確かな語り口が己が実験体であった事を、

No.666と呼ばれた、ただの実験体だった事を












「嘘だよね、所長」

そんな言葉がその様子を見守って居たWPRI研究員の口から漏れる。

大罪術式次期後継者であるルシファーが、

顧問として監視カメラの映像を霊子コンピュータを用いて大画面にホログラムさせるように言った結果である。

そのフリージアの余りに凄惨な過去に、

けれどミケリアは笑う。

他ならないフリージアへの畏敬を込めて笑いながらこう言った。










「諦めて死ぬ事を勧めます。

貴方にとってこの世界は地獄そのものだ。

その忌々しい男に孕まされた腹の子同様、今死ぬといい」

敵である元WPRI研究員に囲まれてながら、

ミケリアに脳味噌を貫かれ、

心臓を破壊されて、

血溜まりの中足蹴にされながらけれど、フリージアは虚な瞳で「神」のように笑んだ。

そうすれば、黒い気配(オーラ)がフリージアの体から発せられる。

それが体を覆い、周囲へと伝播していく。

それに覆われた血溜まりが掻き消える。









「・・・っく、危ないですね」

そんな言葉と共に黒い気配(オーラ)を避けて後ろに飛び退くミケリアである。

敵である元WPRI研究員達も同時に逃げ出したが、

けれど間に合わなかったのか、

黒い気配(オーラ)に足を掴まれ、飲み込まれていく。













「うわぁああああああああああ!」





「助けて!助けてよ、ミケさん!!』





「やだ、やだやだ!死にたくない、死にたくない死にたくっぐ」

そうして元WPRI研究員達がブシュっと黒い気配(オーラ)に飲み込まれ、血溜まりになって潰されていく。

その光景を見ていればけれど、ミケリアは地を蹴った。

翔る、翔る、翔る。

身体強化魔術を用いて脚力を極限まで強化し、地を蹴った。その速度は単純にして音の五倍、マッハ5に達していた。

その黒の魔女の一撃を上回る速さで、

けれどフリージアの背中に回り込み「憤怒の形相」を振るえば、瞬時、黒の魔女本人であるフリージアの黒い気配(オーラ)に包まれた掌に受け止められる。




して、転がっているナイフに浮遊魔術を掛け操作し空いた片方の手の平に握る。

黒い気配(オーラ)と共に吹き出した魔素に包まれ癒されたフリージアの体と呑まれていく周囲の血溜まり。

これら二つをミケリアが見ていれば、

そうして、神のように笑めば黒の魔女はこう言った。














「さようならです、

レッドハットのミケリア・スミルナ。

「対話によって生まれる「平和」で形作られた誰も憎む必要の無い世界」を創る糧になる様な私の過去を教えてくれてありがとうございました。」

そんな言葉と共に黒い気配(オーラ)を用いて全身を飲み込めば、

けれど、ブシュリという湿った何処か硬質な音と共にミケリア・スミルナは血溜まりに変わった。

その様子を見ていた敵である元WPRI研究員ごと黒の柱が、







森の一部を飲み込んだ。

















・・そうして、研究所に戻ってきたフリージアは、

けれど瓶底眼鏡をくいっと上げ、

ナイフを胸ポケットを仕舞った後、

敢えて黒い気配(オーラ)に飲み込ませなかった多少傷の付いたスマホを使って、釈明配信を行った。

そうして、一日を終えたフリージアはルシファーの部屋の扉を叩いて開かせれば、こう言った。







「今晩だけ、私を慰めてくれませんか。」

とそう言って服を着たまま、

ただ純粋にルシファーに抱きついた。

「今夜だけだぞ、姉上。」という言葉を聞いて

そうして、激しい行為の後。

布団に包まれながら二人目の子を孕めるように「調整」した胎。

それに注がれた精の感覚を反芻しながら、

けれど、自身の一糸纏わぬ姿すら気にせずにルシファーの背に腕を回し、

布団ごと抱き締めれば「神」のように笑んでこう言った。









「胎に精を注いでくれてありがとう。愛していますよ、愚かで可愛い私の弟(こ)」

ただ、母のように笑ってそう言った。

そうして、三人の裏切り者を全て殺したフリージアはそれを裏で操っていたルシファーを体で籠絡して、

同時にルシファーとレヴィアタンの二人の子を孕んだ。

成長を止め、多重結界で守っているが故に、

布団越しにまだ薄い腹を優しく撫でながら平等に成長するように魔術で栄養を調整しつつ、

「神」のようにフリージアは笑んだ。




「情報の種計画」に記された特記事項通りに

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