もう一つのエピローグ
お付き合いするようにはなったけれど、生活は以前とあまり変わらない。相変わらず、衣蕗ちゃんは吸血は苦手だったし……と思っていたら、雪音さん曰く、「衣蕗の過保護が増した」そうだ。まあ元々衣蕗ちゃんは心配性で過保護な方だけれど。
確かに出動の際も私が怪我をしないように、とか気遣ってくれる事が増えた。……そもそも〈狼餽〉なんだから、頭の中さえ怪我しなければ、大抵の怪我はむしろ人より平気なんだけれど。つまり頭からバリバリ食べられなければ。
まあ、そりゃ怪我したら痛いけど。
ただし狙われやすくはあるのだけれど。それは元からだし。
ただ過保護と言えば、独占欲は強くなったのかも。
そもそも〈吸血餽〉は独占欲が強い傾向にあるらしい。〈花荊〉にはわからないけれど、軍施設の中でも微妙に縄張りがあるらしいし。
それはともかく、私が他の〈吸血餽〉と話していると、ちょっとやきもきしているのは感じている。露骨に「何を話していたんだ」とか聞いて来たりはしないけれど。近くに寄って来て、素知らぬふりで相手を牽制していたりとか。……ワンちゃんみたいだ。
雪音さんはそれを見て、「ウザい」って言っているけれど、雪音さんの紗凪ちゃんに対する独占欲もたいがい重いと思う。
まあ私も紗凪ちゃんもそれが嫌ではないし、大事にされてるなって思えて嬉しいけれど。
そんなわけで、数ヶ月に一度、軍には内緒で椎衣那中佐に診察してもらう事になったのだけれど、その日なんかはやきもちがひどくなる。軍には内緒なので、中佐の出張日と私の外出日を合わせて彼女の隠れ家で血液検査とか身体検査とかをしてもらう。中佐はさらにそれを闇医者にまわして精密検査してもらっているらしい。お陰様で問題はないみたいだった。中佐からも、医学的にも人間そのものだとお墨付きをもらっている。
けれどその日は衣蕗ちゃんの独占欲がひどい事になるのだ。
まあ……主に吸血面において。
吸血がねちっこくなると言うか。……雪音さんはウザいって言うけれど、まあ……私は大事にされてるんだなって、かえって嬉しいんだけれど。
そんなわけで、日常はあんまり変わらない。
訓練して出撃して。……吸血されて。私は衣蕗ちゃんの〈花荊〉で。
非常召集のラッパが鳴った。鼻の奥が少しツンとする。
――出撃だ。
こちらで完結となります。
こちらの作品は同人誌として発行予定ですので、お気に召しましたら手に取って頂ければ幸いです。
詳細は後日、活動報告とPixivにてお知らせします。
https://www.pixiv.net/users/2675148
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