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ほのかと魔人少女と魔法老婆?

やぁ


あぁ


調子はどうだい


まずいことになった


・・・悪いが、いまは動けない


気にするな。おまえはおまえの役割を果たせ。おれはおれで考えがある


まやかしが効くのは一部の人間だけだ


その点は安心しろ。あいつはまやかしや催眠の類に抵抗がない


君の企みは危険すぎる。


いつになく歯向かってくるな。


・・・心配してるだけさ


計画は変えない。おれはもう間違えない。


ほのか・・・


悪いが、しばらく寝ててもらうぞ


な、どういうこ、


おまえは邪魔だ



女子更衣室

どうしてどうしてどうしてどうして!天照天馬の姿が見当たらない。まさか悪の組織がもう一度誘拐を?いやそんなはずはない。魔法少女が力を合わせて、壊滅させたから。復権を狙っていた古代魔法少女たちも、依代となっていた咲の中に封じこめた。

いまや天照 天馬の正体を知ってるのは魔法少女たちだけ。でも、彼女たちがなにかするはずはない。ほのかの味方なんだから。天照 天馬の行動は全て把握しているはずだった。

ない!ない!!なんで!!!


「ねぇねぇ、探してるのはこれかナ?」

ピンクのスケジュール帳をもった白鳥華麗が入口にいた。

「華麗?!どこでその手帳を?」

「んっふっふ〜あなたこそ~どうしてこの手帳を探しているのかな〜・・・ミッキュ 」

咲も後ろに立っていた。彼女らの目線の先には、ほのかのカバンを必死になってさがすミッキュ の姿がそこにあった。

「ほのかのストーカー行動の賜物がこんな役に立つなんてな」

「わたしとしては天馬さまに未練はないですが、恋の戦友のため一肌脱がせてもらうワ」

二人がジリジリと近寄ってくる。

「ミッキュ。今日一日天照先輩がいないことの理由しっかり吐いてもらうよ。いや、いないように見えている理由を教えてもらう」

やはり巫女の血を引くだけはある。勘が良すぎる。

「ちっ、あまり使いたくなかったが、『ほのか』」

窓ガラスが割れ、魔法少女姿のほのかが現れ、二人の前に立つ。

「「ほのか!」」

虚ろな目で二人を見つめるほのか。

「・・・灼熱よ、桜のごとく燃やし尽くせ。」

ほのかから放たれた火球が二人を外に吹き飛ばす。

「・・・氷結よ、世界を止めよ」

地を這う氷が爆風で飛ばされた二人の動きを封じる。

「これはあの二人の!!!ほのかどうして!」

「あの二人は戦いを放棄したッキュ。あぁ、いまさらこんな口調、無意味か。」

「魔法少女5か条では一人の魔法使いと魔法生物がそろって魔法が放てるのではないんデスカ?」

「あぁ、なんだそんなことか。それこそ魔法少女の5カ条だよ」

「魔法少女の進退は魔法国によって決められる。全権委任者たる俺にはその決定権がある。」

「二人は、、、」

「安心しろ何もしてない。魔法少女離脱のペナルティーとして、記憶と魔法をほのかに継承してくれたからな。用済みだ」

ペタペタと二人に歩み寄る。

「いまや戦闘魔法は役に立たないと思っていたが、ストックしておいてよかった。」

二人の額に手を当てる。

「くっなにをする気だ」「近寄らないでくださイ」

「ふん・・・。お前たちも平和ボケしたもんだな。変身アイテムを持たずにくるとは。魔力はいただいていくぞ。」

これで魔法少女五人の魔力と器たる魔法少女が揃った。これで『魔人少女』を覚醒させる条件がそろった。

「なにをする気デスカ!」



「ほのかを乗っ取り、天照天馬に告白する」


「「は?」」

「もう俺はこりごりだ。いつまでたっても終わらない。イベントイベントいつもいいところまでくるのに、邪魔が入ったり、聞き間違えたり、もうたくさんだ!!おれは、元の場所に帰りたいのだ!!」

ほのかとミッキュ の足元に魔法陣が作られ、光りだす。

「ほのかも嬉しかろう。勝手に俺が告白してくれるのだからな。」

「・・・めて」

「ん?意識が戻ったのか?やはりこの術は精神力をつかう。複数の魔法の行使は無理か」

「やめ・・・てよ、ミッ・・・キュ ・・・・」

言葉は弱弱しいが、ほのかが強い目で魔法生物を見つめる。

「・・・恨むなら、己のヘタレさを恨むんだな」

魔法陣が二人の周りを回転し始める。

「こんなことしても!天馬先輩は・・・」

「無駄な説得だ。悪いが身体をいただくぞ!!」

まばゆい光が二人を包む。



「くそっどうなった!」

「あ、あそこを見て」

ぬいぐるみの頭をわしづかみにしているほのかがいた。

「「ほのか!」」

儀式のため、ゆるまった魔法の拘束をといて、二人が駆け寄る。ほのかの姿は魔法少女の姿のままだったが背中に羽が生えていた。また魔力の質も段違いだ。

「ははははははははははははははははははははは!

これが人間!これが魔法少女!!いや、わたしは魔人少女になったのだ!力がみなぎってくる!!」



「見よこの身体!すらりと伸びた手足!白魚のような肌!ストンとした胸部!!全て俺のものだ!!!」

高らかに笑う魔人少女と化したほのか=ミッキュ 。

「誰がストンよ!ぷっくりぐらいはあるッホ」

「「「ほ?」」」

魔人少女の手の内にあるぬいぐるみがもぞもぞと動く。アイアンクローをかまされてる状態で懸命に抗議していた。

「お前ほのかか?」

「前半は良かった!後半は貧乳乙女の怒りを買った!!胸は自前じゃ増えんのじゃい!!くらえ貧乳女子の怒りの鉄拳ッホ!!」

拳が燃えあがる。ミッキュ が驚き手を離すと、ほのかは着地と同時に地面を蹴り、アッパーカットをかます。

「ふっはっはっは!参ったか!さくらちゃん直伝!痴漢撃退炎のアッパーカットの威力は!観念しろわたし!!!!わたし??」

その魔法生物は自身の身体をモコモコとさわり、事態を把握する。

「いやーーーー!!!!わたしが小汚い妖精に!!!」

「誰が小汚いだ!!」


事態を見ていた咲が呟く。

「これは、りゅうっち。説明してよね」

自身のミサンガを見る。

「魔人少女の一件はあんたも噛んでいるでしょ。あの催眠状態のほのか。あんたの術でしょ」

「・・・いや・・・」

「あ、とぼけたり、偽ったりしたら、滅するから。勝手に分身体増やして、ミッキュ とつるんでただろ。」

冷ややかにいった。魔法生物(まじかる)になってしまったほのかの腕には咲と同じミサンガが巻かれていた。


事態に注意を向けながら、華麗の方もスマホで話をしていた。

「・・・というわけなのセバスチャン。いまから屋敷に行くから出迎えの準備をお願いするワ」

セバスチャンとは、白鳥の魔法生物である。羊のぬいぐるみで、現在は華麗の家にいる。今いる魔法生物の中で、信用できる妖精である。


ほのか=ミッキュがどこまで本気なのか意地悪な笑顔を浮かべてほのかに話しかける。

「ほのか、お前にとっても吉報だぞ。おれがぐいっとキスして、告白してやるから、あとはしあわせにくらせ」

「いやッホ。てかこのホッってどうにかならないのッホ!!!あ〜〜〜!!これもそれも全部ミッキュあんたのせいでしょうが」

再びアッパーカットが火を噴いた。



華麗ちゃんの屋敷について、すぐにセバスチャンが出てきた。

「華麗お嬢様おかえりなさいませモフ。ほのか様も咲様もいらっしゃいませモフ」

スーツを着た羊がとことこと歩いてきていった。


「ふーむ。魔人少女ですかモフ」

「そうっホ~。なんとか元に戻る方法はないのかッホ~」

必死にすがりつく。なんというか目線が魔法生物と同じだとなんか不思議な感覚だ。てか、羊って目が怖いな。

「ふむ、この腹立つぬいぐるみがほのか様モフと」

場所は華麗ちゃんの屋敷の地下室。いま華麗ちゃんはこの屋敷で使用人さんたちと一緒に暮らしている。私たちも時々利用させてもらっている。以前もこ地下室で変身の決めポーズの練習や戦闘の訓練を行っていた。使用人さんたちには演劇部の練習と伝えている。今は二人の魔法少女と1人の魔神少女(気絶中)魔法生物が3匹集まっていた。アッパーカットを食らわせた一瞬の隙をついて、2人の魔法少女と1人の魔法生物は、魔人少女に馬乗りになりボコボコに殴り上げしばりあげた。魔人少女は気絶し、隣の防音の部屋に閉じ込めてある。


「うむ。魔人少女は特別な条件下でないと発動しないとても危険な儀式と聞いているモフ。基本的には魔法少女が倒された時に緊急事態として使うことができる秘伝中の秘伝。魔法生物として人間とかかわるときに絶対にするなという風に教わったモフ。ミッキュ も愚かなことをしてくれたものでモフ」

「私は元の身体に戻れるホか?戻れないホか?それが大事っほ!!」

「戻れないこともないモフが、、、」

いい淀むセバスチャン。白鳥がセバスチャンを促す。

「ミッキュと天照さまがキスをしなければいけません」

「・・・え?え〜〜!!!」


「うむ。愛する者同士のキスは呪いを解く力を持っているモフ。それは君たち人間にもわかっていることじゃないかモフ。ほのか様の中身が別物だとしても、相手方がそれをほのか様だと思ったら、大丈夫だと思いますモフ」

「いやいやいやいやいや」

ほのかはブンブンと首を振った。

「まぁ先輩は鈍感だしなぁ。もしかしたらいけるかもしれない。」

咲がいたずらっぽく笑う。

「ほのかいいではないですカ。そのままの体でいいの?キスなんて挨拶ではないですカ」

華麗もニヤニヤと言う。

「だめだめだめだめ。たとえ魔法を解くためでも天馬さんとミッキュ がキスするなんて。そんなうらやましい、いや、人の気持ちを踏みにじるような事は許せない。」

「うむ。何しろこの魔法はとても古いため、情報が少なすぎるモフ。何か手がかりがあれば良いモフが」

「あ、手がかりなら、」

ぐるぐるに縛り上げられた龍を引っ張り上げた。

確かに古代魔法少女のパートナーだった龍なら何か知っているかもしれない。というよりもミッキュ とグルだったからなおさらだ。

そうだみんなで縛り上げよう

乙女の不気味な笑い声が響いた後、長い悲鳴が聞こえてきた。


魔法生物マジカルは古来より存在した。

ペガサスやヤマタノオロチ、場所、時間、大きさ、姿形、能力、人知を超える存在達だが、人と共存を選ぶもの、敵対するもの、利用するもの、様々な生物が現れては消え、消えては現れていた。今やミミズの干物のごとく、こってり絞られた、この龍もかつては魔法生物の王として君臨していた。しかし一人の少女との出会いが彼の人生を大きく変えた。元は彼の支配していた村のいけにえの1人であった。その少女は自身の爪よりも小さな生き物であったが、他のいけにえとは違いこちらに対して、問いかけてきた。それは命乞いではなく純粋な興味関心だった。「最後に1つだけ教えて。あなたは何がしたいのか」その問いかけに何千何万年も生きていた王は答えることができなかった。他のいけにえ同様その娘も食ったが疑問はいつまでも王の腹の中でくすぶり続けた。さらに数十年が経って、王は決意した。今まで食った生贄の力を合わせ1人の少女にその力を与えた。これが魔法少女の始まりである。王は魔法生物として魔法少女を助け共に戦っているうちに自分の使命を世界を守ることに捧げることを誓った。魔法少女が活躍するたびにその名声は広く世に伝わるようになった。王のもとに続々と他の魔法生物たちが集まり魔法少女が誕生していた。魔法少女が力をつけていくと、そのたびに新たな敵が現れ世界の平和を守るとともに新たな敵を生み出すジレンマに陥った。自分のやっていることが本当に正しいのか疑問に思ってしまった。はじめのうちはあくまで人間主体であったが、いつしか龍本人が魔法少女として力をふるいたくなった。戦いが激化していき、たくさんの加護を持つ魔法少女も命を落とすようになった。ついに王のパートナーであった魔法少女も力尽きてしまった。深くくいた王は魔法少女の亡骸に宿り魔人少女として戦いを終わらせた。しかしその反動で魔法少女の魂は縛られ古代魔法少女として後のように禍根を残すことになる。

「だが、愚かな私は咲さまをはじめステキな方々に出会い、悔い改め下僕として、さき様に踏んでいただくことを史上の喜びとしております。」

「話が長いんだよこの蛇野郎」

「哀れだ。」


「今回の場合はどうなるんかな?ほのかは生きてるわけだし」

咲がブンブンと龍を振り回しながら言った。

「やっぱりキスですカ?」

「キスはダメッホー」

「てかさー」

ひとりの幼女が、ほのかを抱える。

「ほのか姉ちゃんが魔人少女の契約をすれば元に戻るんじゃないの」

「「「ふぇっ?」」」

上をおさげに結んだ女の子がそこにいた中学生たちに話しかける。彼女の名前はソフィア。魔法国の出身で天馬さんの妹だ。彼女も魔法少女だがこちら側の人間では無い為、自分の魔力が十分にあり魔法生物の助けなしに変身できる。6人めの仲間だ。もちろん兄には内緒である。

「兄ちゃんが結局誰と付き合おうが私には関係ないけど、兄ちゃんが悲しむようなことになったら私何するか分からないから」

彼女自身は認めないがブラコンである。

「確かにもう一度魔人少女の契約をすれば入れ替わるかも」

「ちょっちょっとまて。それではロマンスが全くないじゃないか」

龍が慌てて口を挟む。

「刻むぞ蛇が」

「ひっ!」

この幼女敵なしである。

「魔神少女の契約のために必要な儀式は5人の魔法少女の魔力と魔法生物だ。今ここにあるのは私と咲姉ちゃんと華麗姉ちゃんの3人の魔法少女の魔力。あと2人が必要だな。」

「ソフィアちゃん」

この子には散々振り回されたけれども、味方になったらこうも頼もしいかと思うと涙が出てくる。初めて会った頃は同じ天満さんを狙う恋敵として散々な嫌がらせを受けたけれども今はもう水に流そう。幼女は腰に手をあて、ふんと鼻息荒く言う。

「魔法老婆に助力を頼む」

幼女から老婆へ急転直下である。


さちよさんちにほのかたちが尋ねる前日


魔法老婆の朝は早い。


5:00 起床

朝の運動がてら、異世界αでスライムを 蒸発するまで切り刻む。軽く汗をかく。

「ははは!今度は拳で蒸発させてみるかっ!!」


5:30異世界βに行くために異世界並行移動の魔術を改良する。

「術式展開を0.3秒ずらして、座標固定を魂方向に3.5、時間方向に1.97の力で引っ張って。毎度毎度めんどくせぇ。どこかにそういったことのある場所にはどこでも行けるような能力者はいないもんかね〜」


6:00朝食

異世界βにて、ガリアン鉱石のサラダに、バリアンヌ粉で焼いたバロンヌを食す。

「ははははっ!歯がかけちまうわっ!バリバリガリガリ」

259年間、この辺りの大陸を支配している魔石大帝ゴリナンデスの討伐を依頼される。


6:45討伐完了

住民から貴重な鉱石、国宝ガラヌドルグを譲られる。


7:00異世界δにて、げらぬばりがぬ をがるぬんちょ する。住民から激怒される。傷ついたので、家に帰る。


7:45気分転換に家で漬物づくりをする。

きゅうりとなすとマンドラゴラをぬか漬けにする。ちょうどいい重りの石がなく、ガラヌドルグを使う。


10:55地下帝国から、ドアーフの作成した鎧の試着を依頼される。78秒で壊す。ドアーフに筋肉ゴリラ扱いされる。家に帰って枕を濡らす。

「私だって女の子なんだぞ、、、今度滅ぼそ、、、」


12:45昼食として、町におりて、牛丼をたべる。クーポンをもらう。嬉しい。


13:15宇宙からの隕石を破壊する。お気に入りのカーディガンの一部が燃える。腹いせにいくつか撃ち漏らす。



15:25 バラガエザンの紅茶に異世界αの村娘からもらったクッキーと地下帝国でくすねたバリワサンバをお茶請けとしていただく。


16:00 来客

魔法国からの挑戦者。小指で相手をした。3秒 もった。身ぐるみを剥ぐ。


16:05 日課の山崩しを行う。

3発で更地にする。いつもより調子が悪い。風邪だろうか。


17:00夕飯

挑戦者が予想より金を持っていたので、バリアンゴドラゴンのテール肉を買い、ステーキにする。ナカスヌ草をソテーにしていただく。デザートは、ガイナスンバラのアイスクリーム


18:30腹ごなしにランニングをする。


19:00 風呂に入って寝る。


明日はだれか尋ねてきそうな予感がする。

茶でも沸かしておこう。



「はははははっ!悩める小娘ども!よく来たな!魔法老婆さちよさんだ!よろしく!」

その女性は赤髪のショートヘア、山高帽子をかぶり、下着同然の服を着て、両腰に手をあてて、高らかに笑う。

「魔法、老婆??」

その顔は若々しく、30代いや、20代といっても通用する気がする。

「失礼ですが、ご年齢は」

同じようにドン引きしていた咲が聞いた。

「あ?」

赤髪が浮かび上がり、魔力が膨れ上がる。

「チョチョチョ、レディーに年齢を聞くなんて失礼ですヨ」

「怒らせないでよ咲姉ちゃん!!?」

あの華麗ちゃんやソフィアちゃんが気圧されている。この魔法生物の身体になってから、魔力の感知能力が上がっている。ミッキュ のいってたことがわかった。私たちの中ではソフィアちゃん、華麗ちゃん、私、咲ちゃんの順で魔力が高い。でもあの人は、うちのツートップをはるかに超えている。

「年齢なんざ、100を超えてから数えてねえよ!はははははははははっ!」

豪快に笑う。ソフィアちゃんにつれてこられたのは、深い森の中にあるログハウス。部屋の中の棚はたくさんの得体の知れないもので埋め尽くされていた。ひとつひとつ小瓶に入っていて、いくつかの中身はうごめいている。

「あの、私たち、」

「あー魔人少女だろ?」

ニヤリと笑いながら言う。

「えっ?」

「わざわざ私のところに訪ねてくると言う事は、それなりのピンチの時位だ。この辺の世界の歪みは一時期、かなり減った。となると、悪の組織関係ではねぇ。それ以外の可能性だったとしたら考えられるのは、魔法少女自身の問題だ。そこの魔法生物の体と魂がズレてやがる。だとしたら魔人少女関係だ。前例は少ないがないわけではないぜ。」

「だったら、私元に戻れるのッホ」

やったぁ!

「もっともほぼ全員死んでいるがな」

え?

「何を驚いてやがる。魂と体がずれているんだ。長生きできるわけないだろう。まぁ人間いつかは死ぬんだ。気にすんな。がはははは。後はあー、世界の危機が迫っている」

赤髪の魔法老婆は続ける。

「私のもとを訪ねてくると言う事は世界規模の危機じゃないと訪れることはできない。そういった類の呪いを、私の隠れ家にかけている。私は私で表の世界も裏の世界も駆け回っているわけだから、そのぐらいのレベルじゃないと動けねぇ。」

悪意満載の顔で、ニヤリと笑う。

「さてとお嬢ちゃんたち、仲間の命と世界の命運どちらを取るか言ってみな」


「「「世界!!!!!」」」

「わたしッホ!」

笑顔で跳ねた私は、絶望の顔で落ちていった。

「なんでやねん。ここは世界よりほのかとか、どっちもって言うとこだろがい」

「ガッははは!血の涙流してら!!」

ヒーヒー言いながら魔法老婆は腹を抱えて笑う。ちょい腹たつ。

「いや、あんたも自分って答えてたじゃん」

「恋敵は少ないほうがいいネ」

「兄ちゃんは私がもらうから、安心して逝ってね。ほのか姉ちゃん」

ちくしょう!!!!味方がいねぇ!!!

えっなんで?ともに世界を救った仲じゃん!!

「あっ!さちよさん!この棚のうねうねしてるの何ですか?」

「セバスチャン。私しばらく帰れないからATMのことよろしくネ。マスクはいつもの場所にあるから」

「今日は兄ちゃんと何しようかなー」

私への興味ってそんなもんなの?一緒に帰り道タピオカ食ったじゃん!一緒に天馬グッズ漁ったじゃん!私の記憶の魔力と、ソフィアちゃんのトレースの魔力合わせて、天馬さん追跡報告ノート作ったじゃん!

「ははははははお前ら気に入ったぜ!」

どこに気にいる要素があんだよ。

「黒髪!そいつは魔力こめりゃ、そいつの欲しいもんの場所を示してくれる魔道具だ。金髪!あんたの判断は正しい!しばらく帰れないぜお前たち!おさげ!お前の兄貴を探すのが、まずは必要だな。そしてほのか!お前の命私に預けなっ」

えっやだ!カッコいい!

「小娘どもに教えてやるぜ!世界をまたにかけるババアの力をな!」


「アホっ子、お前が元に戻るには、3つのもんが必要だ」

部屋を歩きながら、魔法老婆は言った。棚に置いてある呪いの道具や、暖炉にかけてあったナイフなどを、ローブや腰に収めていく。定位置があるのか、次々に収まっていく。

「一つ目はあんたらの体・・・」

さまざまな色の怪しげな液体の入った小瓶を胸の谷間にしまう。

「二つ目は、5人の魔法少女の魔力・・・」

巻物の中身を確認し、胸の谷間にしまう。

「三つ目はその王子様だな」

身長ほどの杖を胸の谷間にしまう。

「って!どうなってんだよ!4次元おっぱいかっホ!」

魔法老婆は、ほのかを掴みあげて、乱暴に胸に押し付ける。

「ははははは!女の胸は神秘なのさ!」

さっと手をあてる咲ちゃんとソフィアちゃん。おぉ同志よ!はてな顔の華麗はトコトコとさちよさんに近づく

「あの〜お姉様」

この辺りはさすが、将来白鳥財閥を率いるものって感じがする。

「はんっ。いっちょ前にごますりおって、小娘が」

とはいえ嬉しいようだ。犬歯がチラリと見える。

「魔力をお借りすることはできないでしょうか?」

たしかに、彼女が加われば、あと2人探さなくても、いいかもしれない!

「悪いができない。理由がある。儀式に時間と魔力がかかりすぎる。悪いが私も忙しい身でな。この件以外にも宇宙生物を倒さないといけないのと、地下の怪獣軍団をどうにかしないといけない件をかかえているのさ。」

「でもミッキュ は一瞬だったっほ」

「アホっこ。あんたが軽々しく呼んでいるミッキュ は、何百年も魔法少女とともに戦ってきた、魔法のエキスパートなんだよ。あんたら小娘が同列に語るんじゃないよ」

え?あの尻掻きながら煎餅を食ってるのが?

「ミッキュ のこと知ってるの?」

「あいつが私を魔法少女にしたのさ。今のお前みたいなちんちくりんの格好ではなくて、森の主たる巨大な鹿の姿だったけどな。」

だが、と持っていたフラスコを粉々に砕いた。

「当時は魔法少女の数が少なすぎて私が何十年も魔法少女として活動しないといけなくなった。気づいたら、もうおばあさんだ。こんなことなら、さっさと恋でもなんでもして引退すればよかった。」

「恋と引退と何か関係があるんですカ?」

「あ?最近の小娘は10か条のことも知らないのか?運命の人とキスすりゃ、寿退社だよ」



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